『残虐記』 桐野夏生 新潮文庫
- 残虐記 (新潮文庫 き 21-5)/桐野 夏生
- ¥420
- Amazon.co.jp
新潟柏崎少女監禁事件をネタにした小説だが、
一年間の監禁生活(史実は9年だったか?)で、
25才の変態青年は10才の美少女に挿入しないという、
パターン外しの傑作。
裸にして見ながら自慰するだけの本物の変態w
少女が救出された後に、
青年の家の庭からは死体が発見されるのだが、
マスコミの期待を裏切って20過ぎの成人女性なのも痛快。
青年が少女と夜な夜なプレイしていた変態プレイは、
学校ごっこである。
小学校も満足に出てない青年は、
毎夜、少女と小学校の勉強をするという究極の変態w
小学生と一緒に学校の中に存在したいと考える教師が、
いかに変態であるか揶揄した傑作。
少女が誘拐される前に目撃者がいっぱいいた筈なのに、
目撃者が見つからないのも素晴しい。
普通の大人は街にいる少女になんて興味を持たない。
少女を目で追うのは変態だけだと看破した傑作。
性的いたずらはされなかった少女だが、
救出後、世間は当然いたずらされたと思い込む。
少女は世間から自分の心を守る為、
想像の世界に逃げ込み、
事件の真相を推理する。
想像力が先鋭化した少女は小説家としてデビューする。
35才になった彼女が事件を元にして書いた小説というのが、
本書であるという構成である。
経験してない男の性欲を小説として追求する果てに、
801に行き着く想像力が素晴しい!
現実と同じように少女が犯されて殺される小説を書いて
満足している小説家は想像力が貧困過ぎる。
桐野夏生 の想像力の素晴しさに打ち震える傑作である。