『紐と十字架』 イアン・ランキン 早川ミステリ文庫 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

『紐と十字架』 イアン・ランキン 早川ミステリ文庫

紐と十字架 (ハヤカワミステリ文庫)/イアン ランキン
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本書のベストセリフ


「世の中は偽善に満ちたものであり、


大学の外に贅沢な生活が待っていることを悟ったとたん、


理想主義は跡形もなく消える。


大学を卒業したとき、彼女はすべてを手に入れたくなる。


ロンドンの管理職、自分のフラット、車、高給、ワインバー、


おいしい生活を手に入れるために、


理想主義など丸ごと捨てるだろう。


しかし今はそれが理解できない。


今は自分の恵まれた環境に反抗しているのだ。


それが大学というところである。


両親の保護から離れた学生は、


世の中を変えることができるとうぬぼれるものなのだ」



ジョン・リーバスシリーズ1作目。


リーバスものは500P超えがほとんどだが、


これは300Pちょいしかない。


登場人物紹介欄も一桁しかなくて、


リーバスものの中では一番単純で、


読書の腕前が低い人にもお勧めである。


単純だが捨てろタイプなハードボイルドではないので、


最初に読むランキンとしてベストであろう。


8歳から13歳の少女が四人殺される。


使い古されたサイコパスの犯人かよ!と思ってはいけない。


犯人は一切性的暴行はしない。


誘拐して殺して死体を捨てるだけ。


想像を絶する異常なサイコパスと言うが、


凡百の作品では、


若い女ばかりを犯して殺すが、


正常な奴でも若い女を犯すのに、


どこが精神異常者やねん!


と思っていたが、さすがランキンである。


女に興味がない本物のサイコパスを見事に描いた。


リーバスの軍隊時代のトラウマも暴かれるが、


これも凄いネタであった。


アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』 読んでなかったら、


世界一悲惨な地獄の軍隊体験と絶叫するところであった。


ネタバレになるので詳しくは書けない。


読んでランキンファンになって下さい。