『蜃気楼・13の殺人』 山田正紀 光文社文庫
- 蜃気楼・13の殺人 (光文社文庫)/山田 正紀
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想像できないものを想像する天才山田正紀。
今回のモチーフは史上最大の密室殺人事件、
テーマは環境破壊して大勢の市民を不幸にしても
自分の利益を追い求める官僚や資本家への呪詛か?
社会的問題意識は真面目な正紀なのでそうなったのだろうが、
それがなくてもミステリとして上出来の傑作である。
全長10キロメートルの密室で13人が消える!
消えた死体は後に、高い木の上の枝に串刺しになって発見されるが、
葬儀の前に棺桶の中からまたもや消える!
それ以後にトラクターが200メートルも空を飛んで人間を圧死させたりと、
超絶な殺人技の大サービス!
犯人がシュライクみたいな凄い事件が連発するが、
SFではなくてミステリとしてきっちり説明を付けます。
ミスディレクションを誘う手掛かりのバラまき方も巧い!
史上最大の密室は全長3万キロメートルという作品が出たので、
この作品の10キロメートルの記録は破られたが、
さすがSF作家というスケールの大きいミステリで堪能しますた。