「タウ・ゼロ」 ポール・アンダースン 創元文庫 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

「タウ・ゼロ」 ポール・アンダースン 創元文庫

なんだって今ごろになってでるんだ?
今となっては、大笑いの結末じゃないか。
これだからSFは旬の内にださなきゃダメなのだ。
この小説は発表された当時の、
最新の宇宙物理理論を基に書かれていたはずだが、
その後の宇宙物理学の発展によりこの小説に書かれているようなことはありえない、
と言うのが定説となってしまった。
今となっては茶番劇だ。
このSFがもし10年前に翻訳されていたらたぶん星雲賞も夢ではなかっただろうに。
ただこのSFを科学的に誤りがあると言って否定するのは大きな過ちだ。
この小説はSFにしか表現できない壮大な世界をみさせてくれたのだから。
特に宇宙船が銀河団をばく進し続け、
相対時間の流れはまさにSFならでは科学のロマンだ。
(途中の相対論は時代遅れの理論じゃないからね、たぶん。
結末のつけかただけがちょと古いだけだからバカにしないで読んでみて)
たぶんこの作品がポール・アンダースンの代表作になると思うんだけど、
アンダースンもいまいち名前の割には代表作と呼べるものがない。
このことは水鏡子も書いていたけどほんとにそう思う。
アンダースンらしさというのも分からないし、
アンダースンが非常にオーソドックスなアイデアをテーマにしているからかもしれない。
このSFも古典的なテーマだもんなあ。
それにこの小説の副主人公(途中から主人公みたいなもんだけど)
どうにも好きになれないいやな性格の奴なのだ。
もっと親しみのある性格にすれば、
もっとドラマティクになったのに。
そのあたりにいまいち受けが悪い所なのかもしれない。(神谷)
ポール アンダースン, Poul Anderson, 浅倉 久志
タウ・ゼロ