「フラックス」 スティーヴン・バクスター  内田昌之 訳 早川文庫 | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

「フラックス」 スティーヴン・バクスター  内田昌之 訳 早川文庫

冒険小説の冒険の舞台の広がりを求めてとしてのSFもある。

ヴェルヌは、地底、海底、月へと舞台を広げていった。


で、本書はもっともスケールの<小さい>大冒険物語である。


数ヶ月かけて冒険旅行して移動した距離は、たったの1メートル!


ただし、主人公達は、中性子星に住む、身長10ミクロンの宇宙人であるがw


地球上の生物は、化学反応で命を維持するが、


陽子と電子が超重力でみんな中性子に圧縮されてしまう中性子星では、


そもそも、化学反応が発生しない。


核反応ベースの生命という、凄いネタをバクスターは提示します。


肉体は異質すぎるがメンタリティは地球人と一緒。


何もかも異質だったら、小説にならないので仕方ないが、


メンタリティが地球人と同じ理由を私は発見しました。


この小説の宇宙人は、自然発生した生命体ではない!


地球人が造ったロボット生命体、ナノマシンだと思います。


その根拠は、彼らの食べる食料にある。


中性子星には、彼らがおいしく感じるのだが、


エネルギー発生量がゼロの「植物」が生えているという描写がある。


生命体がおいしく感じるのは有益な物質でなければならない。


まずく感じるものは食べてはいけない毒である。


栄養価ゼロの食べ物をおいしく感じる生命が、種族として生き残るのは不自然である。


ロボット生命であるからこそ、地球人が安全システム「セネカ」として、


そういう設定をしたに違いない。


最後まで地球人は登場しないが、地球人の存在を暗示する、


謎の巨大な椅子がある空間は出てきたよね。


私の素晴らしい発見へのツッコミキボーン!

スティーヴン バクスター, Stephen Baxter, 内田 昌之
フラックス