「過ぎ去りし日々の光」アーサー・C・クラーク&S・バクスター 冬川 亘 ハヤカワ | 表層人間の半可通読書とゲームリプレイブログ(略称半読書リプレイw)

「過ぎ去りし日々の光」アーサー・C・クラーク&S・バクスター 冬川 亘 ハヤカワ

アーサー・C. クラーク, スティーヴン バクスター, Arthur C. Clarke, Stephen Baxter, 冬川 亘
過ぎ去りし日々の光〈上〉
この二人が合体するとは凄い!

とSFファンなら誰でも胸ときめかせて、

どんな感動を与えてくれるのかと、狂喜したと思うが、

合体したら弱くなったという非常識なユニットです。

スローガラスネタを科学的にハードにして発展させたのだが、

ポッと出の新人ならともかく、この二人の名を冠するには低レベル過ぎる。

クラークのワースト3(火星の砂・地球帝国・リーとの合作もの)よりは上だが、

バクスターとしてはワースト1である。

小説としてキャラは立っているので、それなりに読めるが、SF者の琴線には触れない。

もっと壮大な結末を用意して欲しかった。

社会と人間の意識を変える大発明をして、そのテクノロジーを広めるのが、

民間企業であり、政治業者より、民間人の方が賢いという視点はいいと思うが、

ベットシーンあり、路上ストリップする14歳の少女ありの、

受けを狙った姑息な萌え萌え作品である。

SFが提示する新しい性欲処理の方法に興味ある人は、妄想のネタとしてどうぞ読んで下さい。

究極の覗き盗聴の新発明品の物語です。

エロを提供出来るハードだと、科学技術製品は爆発的に普及するというのはリアルだけど、

志しの低い夢で白けるねえ。

もちろん、エロ以外にも宗教を退治するのにも使うのはいいが、

エロエロ以外の使い方の提示が物足りない。

今更、人類誕生の謎解かれても、あんまり感動しない。

人類に遺伝的に繋がる嫌気性細菌の前に、

地球に発生していた全く別系統の生物たちのエピソードはちょっとバクスターぽくていいか?

クラーク的に言うのなら、オーバーロードでもいいが、

あらゆるSFに登場したオーバーロードの中で、

一番弱いオーバーロードなのは泣かせる。

ファーストインパクト(ゼロインパクト?)に対抗出来ずに全滅した彼らだが、

彼らが避難所を作ってくれたから、人類は発生することが出来たのだ。

透明な存在はいやだと同族を殺す少年に読ませると教育的効果があるか?(笑)

生命体の目的は生きることである。

自分が永遠に生きられない環境では子孫を残すことである。

子孫を残せない環境なら、自分達の種族は全滅しても、

まったく別の生命形態が誕生するように環境に細工することである。

生命は生命を育む為に生きるのだ。

自分の生命が脅かされているわけでもないのに、他の生命を奪う存在は、

自分は生命体ではないと主張しているようなものである。

殺人者は人でなしと言われるが、人どころか、生命体でもない。

生命を持ってないのだから、殺人者は死刑にするのが、当たり前である。

人権どころか、彼らを生命体と認識する必要はない!

けっこうネタに出来たな。

無駄に長い小説だが、思索のネタに出来たので、

スペキュレティブフィクションとしては評価していいか。