スクープ

ライターになりたいなぁ~ 芝居の道も厳しい それでもハッピーな日々
今野敏著
集英社文庫


読んでいるときは楽しくて、どんどん読みたくなるけど、読んだ後何も残らない小説


 乃木坂のTBNテレビ「ニュースイレブン」の遊軍記者の布施京一は、夜の街で型破りな取材をしては、スクープをものにしている。毎日6時に始まる会議には、平気で遅刻。杓子定規な上司は、規則を守らない布施に毎回小言を繰り返している。
 警視庁の黒田警部がよく行く店で会っては、情報を交換しあい、今日も他社を抜いたスクープをものにしていた…。

1997年に刊行された「スクープですよ!」を改題して、文庫化したものだそうです。

「スクープ」「傷心」「遊軍記者」「住専スキャンダル」「役員狙撃」「もてるやつ」「渋谷コネクション」の七編が収められた短編集です。


主役の努力しているところを見せない(努力していないのかもしれないけど)心情って、私の年代ではよく理解できるのよね。「努力しているんでしょ、がんばっているんでしょ。」と言われると、「たまたまですよ」と答えるあたり、「わかるわかるよ、君」って言いたくなります。


野心とか、報道に携わる者の正義感とか、そういう“熱い”気持ちが全然ないところが、良いわ~。 登場人物もユニークで楽しく、テンポもあって、軽く読めます。


この作家、「こんのびん」って読むらしいですが、ドラマ「ハンチョウ」の原作安積班シリーズも書いていたんですね。原作も読んでみようかしら。


☆☆☆★★ 3つ