こんにちは。
久しぶりの更新となってしまいました。

今日は、入管法改正の目玉である「介護」在留資格について、残念に思う点を書きます。

平成29年9月1日より施行される、「介護」ビザ。
介護職人員の不足に対して、外国人労働力を活用するために新設されたものです。

介護職は、介護を必要としている人に寄り添い、介護サービスを提供する職業です。
要介護者と支援者の距離は非常に近く、コミュニケーションはとても大切です。

そのため、外国人が職業として介護職に従事するためには、高いハードルが設けられています。
「介護福祉士」という国家資格を取得しないと、従事することができません。
日本語はもちろんのこと、介護に必要な技術について一生懸命勉強し、資格を取得して、ようやく介護の仕事ができるようになります。




ここで、残念に思う点があります。
それは、「介護福祉士」の資格の取り方で、扱いが異なること。
実は、同じ「介護福祉士」の資格を持っていても、「介護」在留資格がとれない場合があります。



介護福祉士の資格を取るためのルートについて確認してみます。

日本人も含め、資格取得ルートは大きく4つあります。

※公益財団法人社会福祉振興・試験センターのHPより

 

 

 

このうち、外国人が該当するのは、主に赤枠でくくった右の2つのルートです。

 

 

養成施設ルート・・・本国で高校や大学を卒業し、来日。日本の介護専門学校で学び、卒業後に資格を取得するルート。

 

EPAルート・・・本国で高校や大学を卒業し、来日。EPA(二国間経済連携協定)の枠組みの中で、資格を取得するルート。

 

 

どちらでも、ゴールは同じ。介護福祉士の国家資格が取得できます。

 

 

 

 

ところが、「介護」在留資格に該当するのは、養成施設ルートのみで、EPAルートは該当しません。

 

EPAルートで資格を取得した場合、「介護」ではなく、「特定活動」という在留資格が付与されます。

 

 

 

「特定活動」でも、介護職に従事することはできます。

 

仕事ができるなら特に問題ないのでは?
と一見思うのですが、EPAの場合大きな制約があります。

 

それは、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)というあっせん機関を通さないといけないというルールです。
あっせん機関を通すということは、

「管理費が発生する」

ということです。

 

EPAの枠組みは、技能実習生の受け入れと似ている部分があります。資格取得を目指しながら実務経験を積む、という期間があるため、一定の管理・フォローの仕組みが整備されています。

 

そして、資格取得後、就職が決まり、介護福祉士として仕事を始める!となったそのあとも、ずっとあっせん機関に管理されているのです。

 

 

 

ちなみに、自分で転職活動を行い、別の介護施設に移ったとしても同様で、あっせん機関にずっと管理費を徴収されます。あっせんされていないのに。

 

さらに、すでに介護福祉士資格を取得している人が、養成施設等に入りなおすこともできません。

もう、どうにもならないのです。

 

 

 

 

「介護」在留資格の場合は、もちろん管理費などは発生しません。

介護施設は、どちらの人材をほしがるでしょうか?



同じ国家資格保有者なのに、取得経路が異なるだけで扱いが異なるなんて。

ちょっと違和感を感じませんか?

法の下の平等は守られているのか?

 

 

 

 

「あなたはEPAで介護福祉士の資格を取ったから、「介護」ビザは取れません。
介護の仕事はできますが、あっせん機関に管理費を支払って仕事をしてください。」

 

 

そう言われた外国人が本当に気の毒です。。。


 

あっせん機関て、誰のためにあるのでしょうね。

 

 

「介護」の在留資格について、少し残念な気持ちでした。