みなさま、ご無沙汰しております。
お元気にしておられるでしょうか。
ポスドクだった僕が民間就職して三ヶ月が経ちました。
僕はどうしているか?
ひとことで言うなら、
「民間就職は当時の僕にとって最良の選択だった。」
もちろん、変化を続ける社会の中で、
僕の会社や雇用が将来どうなるなんてことは分かるはずもない。
だけど、
僕は今、充実した日々を送っているし、
待遇にも満足している。
多分、5年もしたら、大学でそうだったように、
今の世界の一人前の専門家に育っていることだろう。
研究員の不安定な身分に比べたら、民間のほうがマシなくらいだ。
それに、民間に移るにあたって心配したようなことは、
実際のところ僕にとって大して問題にはなっていない。
専門的な仕事に就いたから、
同僚たちの雰囲気やバックグランドも近いので
ほとんど違和感なく溶け込めた。
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僕は少しのん気なものですから、
そんな僕のブログを読んでくださった方は
こんなので大丈夫かな、とお思いになったかもしれない。
別に、デメリットが見えてない訳じゃないよ。
基本的な僕のスタンスは、
悲観するよりも楽観的でありたいし、
文句を言うより可能性を探したい、
というもの。
会社に入っても、
愚痴ばかりこぼしている同僚もいるし、
悪いところだって挙げたらきりがないはずだ。
それでも、僕は「よかった」って言うよ。
僕は僕のポジティブな性格が
自分の周りの雰囲気をちょっとだけ明るくできることも知っている。
どんな環境でもいいことを言う人も、悪いことをいう人もいる。
人生を楽しめるかどうかは、結局その人次第だ。
研究に、学習に、努力を厭わない勤勉な博士たちなら、
多少の残業や会社外での勉強だってそれほど苦痛には思わないはず。
正直なところ、
大学での研究のほうが僕にとってはよほど重労働だった。
そのせいか、就職してから体重が少し増えた。
当時、待遇が悪すぎて、
遊ぶこともお洒落をすることも忘れていた自分に気づいて
ちょっと切なくなったくらいだ。
***
民間企業に入ったら、休みなんてあまりないのかと思ってたけど、
結構週末も友人たちに会ったり、スポーツをしたりと楽しんでる。
(研究してた頃って、メリハリもないけど、
土日もあんまり関係なかったよな…)
「週休半日」の外資銀行なんて行かなくてよかったっす。
ほんと、“ブランド”でものを決めないほうがよいよ。
研究をしている頃は、民間なんて夢がないなんて思ってたけど、
仕事は地味といえば地味でも、今だって目指すものがある。
(研究分野はろくに進展しないのに、自分の研究には意義があると
自分に言いきかせ続けることもなくなった…)
あれ? 悪くないじゃん!
僕が研究していた分野は、
その競争の熾烈さでも知られてる。
運も味方にして、あきれるくらいに勝ち続けないと、
大学の先生にはなれない。
というか、研究者って研究そのものが目的なのであって
教授になるのが目標じゃねぇだろ。
それなのに、
・常に論文で結果を出すプレッシャーや
・来年のポスト(収入)も保証されず、賞与もなく、
・社会保障(雇用保険、厚生年金)もない環境におかれ、
ポストを繋げること自体が目的になってしまった
あの研究生活はいったいなんだったんだろうとすら思ったり。
優秀な、力のある博士たちが、
大学特有の視野の狭さゆえに人生の大切な選択を誤らないことを願う。
別に、就職する気がなくても、就活してみていいのだよ。
どんな道を選んだとしても、何かしら得るものがあるはずだから。
ともかく、みんなそれぞれの道での健闘を祈ってる。