■地元・広島「ジョークと思ったが…」

 「(答弁は)2つ覚えておけばいい」と、国会軽視発言をした柳田稔法相が22日、辞任に追い込まれた。検察改革など難問を抱える法相として資質を問われる声も上がり、続投意向は通らなかった。不慣れな法務行政を担ってわずか2カ月。「辞任やむなし」「政権は末期状態」。民主党関係者からは厳しい意見が聞かれ、来春の統一地方選への影響を懸念する声も広がった。

 労組を支持基盤とする柳田氏の選挙を中心になって支えてきた三菱重工労働組合広島支部の幹部は、発言のあった14日の会合に出席。「いつもの柳田氏を知っているだけに、いい発言ではないが彼なりのジョークだと思っていた」と振り返る。「辞任は非常に残念だが、今の状況を考えると仕方がない」とショックを隠せない様子だった。

 民主党広島県連の中原好治幹事長は朝のテレビニュースで辞任を知り、広島市内の県連事務所に駆けつけた。「不適切な発言だったことは間違いないが、柳田さんは飾らない性格で実直な人柄。党県連初の大臣として活躍を期待していただけに大変残念」と唇をかんだ。

 法相辞任は支持率が急落する政権への打撃となるだけに、地方議員からは統一選への影響を懸念する意見も聞かれた。

 大阪府連幹事長の土師幸平府議は「軽口をたたいただけかもしれないが、場所や時節柄を考えて発言すべきだった」と指摘。ある府議は「党への不満がマグマのようにたまっており、それを統一選にぶつけられてはたまらない」と本音を漏らす。

 政府主催の全国都道府県知事会議に出席するため上京している大阪府の橋下徹知事は「僕も大阪でしょっちゅう(問題発言を)しているが、2つの答弁で乗り切れるというような発言は、公の前では僕にはできない」と切り捨てた。

 有権者の反応も手厳しい。「辞任は当然」という大阪市北区の男性会社員(41)は「腹の内で思っていてもいいが、言わなくてもいいこと。政治家としての資質を疑う」。大阪・新世界でたばこ店を営む大西幸次郎さん(59)も「法務省のトップとして、モラルも資質もない。まあ、信じられませんな」と突き放した。

 評論家の大宅映子さんは「柳田法相の発言は、自分は無能で、ばかですと言っているのと同じ。菅政権は、首相が次々と代わるのはよくないという一点だけで、維持されている。通常の政権ならつぶれてもおかしくなく、政権は末期状態だ」と痛烈に批判した。

産経新聞 11月22日(月)15時7分配信