平成25年、IT総合戦略本部が、世界最先端IT国家創造宣言を発表しました。
自動走行システムに関する政府の組織、宣言の発表・改定の歴史については、
新交通システムに向けた政府の取組(1)を参照ください。
今回は、平成27年に改定されたこの宣言に、
新交通システムに関してどのように記述されているか見てみようと思います。
首相官邸による公式案内ページはこちらです。
同宣言は、
道路交通社会に関して目指すべき像として、「環境にやさしく、交通事故の危険や交通渋滞が回避される、世界で最も安全な道路交通社会」を挙げ、東京五輪を一つの契機として、自動走行システムの開発の推進を進めることとしています。
また、期限を設定して、より具体的な目標も示されています。すなわち、
・2018年には、交通事故死者数を2500人以下とする
・2020年には、世界で最も安全な道路交通社会、
つまり交通事故死者数が人口比で世界一少ない割合になることを実現する
・2030年には、世界一安全で円滑な(交通渋滞を大幅に削減すること)道路交通社会を
実現する
ということです。
そして、その社会実現のために行う取組として、
①ITS(Intelligent Transport System)技術の活用
・車と車、道路と車、車と人等が相互に、タイムリーな情報交換ができるようにする
・地図情報や車・人の位置情報などの地理空間情報(G空間情報)、蓄積データを活用する
②高齢者や障がい者などの交通制約者にとって、
安全・安心かつ円滑な移動が可能となる移動支援システムの構築
③人が移動する際のニーズを正確に把握することにより
最適な車と公共交通機関を組み合わせた移動手段の提案が可能となるシステムの構築
を挙げています。そして、このために、
「府省横断的なロードマップである「官民ITS構想・ロードマップ2015」を踏まえ、安全運転支援・自動走行システムの開発・実用化や交通データ利活用等を推進する」としています。
具体的な施策として、
①全国主要交差点におけるインフラの配備
②対応車載機及び高齢者や子供に配慮した歩行者端末の開発・実用化・導入支援
③2020年代前半に準自動走行システムの市場化、2020年代後半以降に完全自動走行システムの試用開始
(そのために、車の自律型システムと協調型のシステムや衛星測位技術等を組み合わせ、運転支援技術の高度化を図るとともに、実用化に向けた公道上での実証を実施)
④移動を支援するロボット技術等を活用した超小型モビリティ(1~2人乗りの超小型車)等の開発、普及拡大
⑤駐車場など、高速道路以外の施設でもETCなどのITS技術が利用可能となる環境を整備し、利便性の向上
⑥安全運転支援、渋滞対策、災害対策等に有効となる交通情報の集約。配信に係る取組
⑦自動車関連情報の利活用のための環境整備を図り、新サービスの創出・産業革新などの取組を推進
<新サービスの具体例>
・テレマティックス等を活用した新たな保険サービス
・自動車の履歴情報を収集・活用したトレーサビリティ・サービス
を挙げています。
以上の具体的施策に取り組み、ITS技術等をITS世界会議等において国内外に発信していくとしています。
ざっと宣言に示されている内容を整理してみましたが、
それぞれ具体的にどのような内容を表しているのかイメージがつきにくいですね。
次回からは、各内容について、
現状と併せて少し具体的に勉強していこうと思います。