2001/2002:ジュニアの季節~ISU公式戦デビュー | Mikipedia : History & Memory of Miki Ando

Mikipedia : History & Memory of Miki Ando

不世出のフィギュアスケーター 安藤美姫さんの「記録と記憶」のアーカイブ

2001/平成13927-3013歳、名古屋市立城山中学校2年)

HISTORY

ISU Junior Grand Prix of Figure Skating 2001/2002
CZECH SKATE

SP : 3rd pl. / Pts. 1.5 / Score 87.8R.E. 4.8 avg. / Pre. 4.9 avg.

FS : 1st pl. / Pts. 1.0 / Score 97.8T.M. 5.5 avg. / Pre. 5.4 avg.

Fnl. : 1st pl. / Pts. 2.5 / Score 185.6

 *R.E.: Required Elements,  Pre.: Presentation,  T.M.: Technical Merit
Rink : Palace of Culture and SportsOstrava, Czech Republic

Cat. : Junior Ladies

Club : Orion FSC

Coach : Tsuguhiko KOZUKA / Sachiko KOZUKA

PRG :

 【SPV.Monti ”Csardas”
 【FSP.I.Tchaikovsky "Ballet in four acts Swan Lake - Act III"

 【EX】 Doop "Doop"

Choreo. : SP/EXSachiko KOZUKA, FSKumiko SATO

 

MEMORY

2001/2002シーズン、美姫はジュニアクラスに本格移行(前季までのジュニア大会出場は推薦出場)。その本格移行を控えて、20014月、美姫は日本スケート連盟からジュニア特別強化選手に指定される。併せて、所属クラブも名東FSCから門奈コーチの現役時代の古巣であるオリオンFSCへ移籍。「門奈先生にはジャンプを教えてもらったから今度はスケーティングをしっかり伸ばそう」とクラブ移籍を直接美姫に話したのは母であったが、移籍先としてオリオンFSCを薦めたのは門奈コーチだった。また、それは、次世代を担うホープとして本格的な競技スケーターに育成しようとする日ス連の強化方針を受けての移籍でもあった。

 

ジュニア移行後の美姫の初戦はいきなり海外の国際試合、それもISU公式戦へ日本強化選手として派遣される。ISUジュニアグランプリシリーズへの参戦である。その初戦の舞台、第3戦チェコ大会(チェコ・スケート)で美姫はジュニアGP初出場で早くも優勝を果たした。

SPで美姫は、2位のエカテリーナ・ワシリエワ(ロシア)に僅差で続き3位でスタート。1位は1番滑走でいきなりクリーンな演技をしたタチアナ・バソワ(ロシア)。FSでは最終第4グループの1番滑走になった美姫が本領を発揮。得意のトリプルジャンプを次々に成功させ、技術点で5.45.6のハイスコアをマーク。この時点で全ジャッジから1位の支持を得て暫定トップに立ち、4番滑走のSP1位のバソワを待つ。バソワはジャンプでややミスがあったものの全体をうまくまとめ、芸術点では美姫を上回るスコアを獲得。しかし、注目のジャッジの支持は、9人中5人が美姫を1位、4人がバソワを1位とし、接戦を制した美姫がFS1位となった。総合順位点では両者とも2.5ポイントで並んだが、FS1位となった美姫が総合1位になり、SP3位からの逆転優勝を果たしたのであった(FSのトータルスコアでも美姫が97.8、バソワが97.4という大接戦だった)

後年、シニア移行後の美姫は、フリーで逆転優勝をすることが多いため「逆転の美姫」と呼ばれることがあったが、このジュニアGPデビュー戦がその嚆矢となった。

2位以下の上位成績者は以下の通り(得点=全ジャッジの技術点+芸術点)

2位 タチアナ・バソワ 191.0SP1位、FS2位、ロシア)、3位 鈴木明子 175.2SP5位、FS3位、名古屋FSC)、4位 ロクサーナ・ルカ 163.9SP6位、FS5位、ルーマニア)、5位 ステファニー・ジャン 166.9SP4位、FS6位、オーストラリア)、6位 エカテリーナ・ワシリエワ 170.4SP2位、FS7位、ロシア)

 

ISU Junior Grand Prix of Figure Skating

国際スケート連盟(ISU)が主催するジュニアクラスの公式シリーズ戦。通称は、ジュニアグランプリシリーズ。略称はジュニアGP、または単にJGPと表記することもある。1997/1998シーズンに開催された “ISU Junior Series” が前身となり、翌1998/1999シーズンから本格開催。

現在の基本カレンダーでは、各国持ち回りによるシリーズ78戦を8月下旬~10月中旬に、上位者による決勝大会 ISU Junior Grand Prix of Figure Skating Final(ジュニアGPファイナル)を12月に開催する。シリーズ各戦とファイナルの間を約2ヶ月間あけてあるのは、10月下旬~11月下旬に開催されるシニアクラスのGPシリーズ(後述)との日程重複を避けるため。特に競技人口の少ないペア競技に限ってはジュニアとシニアの両GPシリーズへのダブルエントリーが認められているので、掛け持ちするペア選手の負担軽減に配慮したカレンダーになっている。

エントリー資格は「ISUジュニア年齢規定」に則って規定される。年齢の起算日はISUが規定するスケートシーズンの開始日である71日。これによると、男女とも、当該シーズンが開始する71日より前に(当該シーズン前の630日までに)満1318歳であることがエントリー資格となる(ペアとアイスダンスの男子選手は満20歳まで可)。満19歳以上(ペア/アイスダンスの男子は満21歳以上)になるとジュニア資格を失うのでシニアGPへのエントリーとなる。(シニア競技会の年齢規定については後述)
ジュニアGPは育成年代の大会でありジュニア世代に多くの出場機会を与えるという趣旨から、シニアGPとは異なり各大会では多くの選手のエントリーが可能となっている(最も競技人口の多い女子の場合、各大会とも20-30名のエントリーが通例)。シリーズ各大会へのエントリーは1選手/組当たり2大会まで(当該シーズン規定により3大会エントリー可能なシーズンもある)。各大会の1-10位までの選手にはシリーズポイントが与えられる(1-10位の順に、15、13、11、9、7、5、4、3、2、1ポイント)。シリーズ各大会で得た同ポイントの合計が上位の8選手/組がファイナルへ出場する。
なお、大会正式名称に表記される年号は開催年ではなく開催シーズンとなっているため、2001年中に開催された大会でも正式名称は ”ISU Junior Grand Prix of Figure Skating 2001/2002となる。

 

★オリオンフィギュアスケートクラブ

名古屋市のスケートクラブ。略称、オリオンFSC。主宰は小塚嗣彦・幸子夫妻。創設は古く、嗣彦の父・光彦が戦後、満州から帰国後ほどなくして創設。国内屈指の老舗クラブである。ホームリンクは邦和スポーツランド

 

★小塚 嗣彦 / 小塚 幸子(こづか つぐひこ / こづか さちこ)

小塚嗣彦は男子シングルの元フィギュアスケート選手。全日本を三連覇し(1966-68)、国際試合でも日本代表として活躍。1968グルノーブル五輪21位、世界フィギュア1969コロラドスプリングス13位。妻の幸子も元アイスダンス選手で夫婦でコーチをしている。嗣彦の父は「愛知フィギュアスケートの父」と尊称された光彦。嗣彦の息子・崇彦が「サラブレッド」と呼ばれるのは、こうした小塚家の三代に亘る活躍があるため。

嗣彦と幸子は共同で選手指導を行なうが、主に嗣彦が技術面、幸子が表現面を担当。そのため、プログラム制作・振付けは幸子が行なっている。

 

★佐藤 久美子(さとう くみこ、旧姓=大川)

女子シングルの元日本代表選手。1964年インスブルック五輪、1968年グルノーブル五輪に出場(インスブルック13位、グルノーブル8位)。世界フィギュアでは1967年ウィーン大会、1968年ジュネーブ大会で連続5位入賞。全日本フィギュアでは、1965/1966シーズンの第34回大会(19663月開催)、翌1966/1967シーズンの第35回大会(同年11月開催)を連覇した。

現役引退後、佐藤信夫(後述)と結婚。夫婦で選手の指導を行なっているが、先述の小塚夫妻同様、妻の久美子が専ら表現面の指導、振付けを担当している。共にスケート一家である佐藤家と小塚家の交流は深く、オリオンFSC所属となった美姫のプログラム制作・振付を佐藤久美子がしばしば担当している。美姫は2001/2002シーズンからオリオンFSC所属となりメインコーチは小塚夫妻だが、同クラブに所属して間もなく佐藤夫妻からも同時に指導を受けるようになるのは、両家に頻繁な交流があったからである。

 

★邦和スポーツランド・スケートリンク

名古屋市港区にある総合スポーツ&カルチャー施設「邦和スポーツランド」にある通年営業のスケートリンク。スケートリンクの他に、プール、インドアテニス、各種教室(書道、英会話等)を開催している。スケートリンクは60×30mの国際規格を誇る本格的なリンク。800席の観客席も有し、フィギュアスケート競技以外にもアイスホッケーの試合やアイスショーも開催されている。

現在はオリオンFSCの他に、名古屋FSC、名東FSCのホームリンクでもある。

 

 

 

2001/平成13106-813歳、中2

2001中部フィギュアスケート選手権大会

 兼2002年世界フィギュアスケート選手権大会第一次選考会

 兼2002年世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会第一次選考会

SP3位 順位点1.5 得点68.0(技術点:平均4.7、表現点:平均5.0

FS3位 順位点3.0 得点72.9(技術点:平均5.3、表現点:平均5.2

総合:3位 順位点4.5 得点140.9

・会場:愛知青少年公園アイススケート場(愛知)

・出場:ジュニア選手権女子

・所属:オリオンFSC

・コーチ:小塚嗣彦/小塚幸子

PRG

 【SP】モンティ「チャルダッシュ」 V.Monti ”Csardas”

 【FS】チャイコフスキー「バレエ『白鳥の湖』第三幕」

P.I.Tchaikovsky ”Ballet in four acts Swan Lake - Act III

・振付:【SP】小塚幸子 【FS】佐藤久美子

 

MEMORY

美姫はジュニアGPシリーズの合間を縫って、全日本ジュニア、世界ジュニア出場を目指して国内競技会にも出場。ノービス時代には全日本ノービスチャンピオンとして全日本ジュニアに推薦出場の形で出場していたが、ジュニアに完全移行したこのシーズンからは地区大会を勝ち上がって出場権を獲得する必要があった。

ジュニアGPチェコ大会から続けて2週連続の出場となった本大会では、SPFSともジャンプにやや精彩を欠いた演技となったが、4位以下に差をつけて表彰台に上った。優勝はフリーで全ジャッジから1位の支持を得た中野友加里(東海FSC)。

上位選手は以下の通り(得点=全ジャッジの技術点+芸術点)

1位 中野 148.42位 鈴木明子 146.0(名古屋FSC)、4位 曽根美樹 126.0(名古屋FSC)、5位 山口幸恵 121.7(オリオンFSC)、6位 松村早葵 117.1(名東FSC

 

★中部フィギュアスケート選手権大会

中部地区7県(富山、石川、福井、静岡、愛知、三重、岐阜)における最高格式の競技会。全日本選手権の出場を懸けた中部地区予選を兼ねているため「中部ブロック大会」、または単に「中部ブロック」とも通称される。シニア、ジュニア、ノービスの全カテゴリーが同時開催される。日本スケート連盟主催、主管は各県連の持ち回り。毎年9月末~10月初旬頃に開催。