島袋洋奨、大学デビュー戦 | アマチュア野球をめぐる旅。

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中央大・島袋洋奨(1年・興南)の東都大学リーグ開幕試合の先発登板を観戦に神宮球場に足を運んだ。

島袋は2月の宮崎キャンプで左肩に軽い炎症を起こし、沖縄に帰郷するアクシデントに見舞われる。
3月26日、中央学院大とのオープン戦で4イニングに登板。打者12人から8三振を奪って戦線復帰を果たす。
続く30日、法政大とのオープン戦では先発登板。7イニングを96球で被安打3、無失点に抑える好投。


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後ろから見る島袋のトルネード①


高橋善正監督は「オープン戦で無失点と一番良かった。2戦で11回を投げて無四球。
3ボールになったのも一度だけ。制球力は沢村よりも上。大舞台の経験もある」と開幕先発の理由を挙げた。

島袋の先発が発表されると場内から若干の歓声が上がるものの、通常の東都の雰囲気と大差はなかった。
甲子園の春夏優勝投手の大学デビュー戦であっても、平日開催では集客への影響力は無いに等しい。
スポーツ紙が取り上げた高橋監督の予告先発は観客動員を煽動した部分があったように推察される。
少なからず島袋先発による観客動員を期待した東都大学関係者は拍子抜けしたのではないだろうか。


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今日の神宮球場のお客さんの入り具合です


島袋は140㌔台のストレートを軸にブレーキの効いたカーブ、スライダーを織り交ぜて投球を組み立てる。
右打者のアウトコースに沈み込むチェンジアップが効果的にピッチングに彩りを加えていた。

1番・小林勇登(3年・北海)を中飛、2番・中谷泰周(3年・八頭)を空振三振と上々の立ち上がり。
3番・岡将吾(4年・西日本短大附)が中前安打で出塁。すかさずに盗塁で得点圏に進塁。

4番・白崎浩之(3年・埼玉栄)の遊ゴロを島田隼斗(3年・常総学院)の失策の間に岡が長駆ホームイン。
二死を簡単に取った後の失点だけに悔やまれると同時に島袋は大学野球の厳しさを痛感しただろう。


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後ろから見る島袋のトルネード②


中央大は島袋失点後の二回表、7番・島田が中前安打で出塁。失策後の汚名挽回とばかりの安打である。
島田は盗塁で得点圏に進むと、9番・影山潤二(2年・桐蔭学園)の右前適時打で同点に追い付く。

続く三回表には1番・西銘生悟(3年・沖縄尚学)の右翼スタンドへの本塁打で2-1と勝ち越し。
ちなみに西銘は中央大の合宿所で島袋のルームメイトである。
高橋監督が同郷であり沖縄との気候の違いに戸惑った経験のある西銘を充てがったという。
更に西銘は08年、当時の一年生の島袋と沖縄県大会準決勝で対戦。3打数2安打と打ち込んでいる。


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後ろから見る島袋のトルネード③


五回裏、駒沢大は白崎の左中間適時二塁打で2-2と同点に追いつく。
更には5番・奥野智也(4年・玉野光南)の三塁ゴロの送球を一塁手・二十八貴大(2年・岩国)が落球。
二塁から白崎が勝ち越しのホームイン。タイムが掛かり、高橋監督がマウンドに駆け寄り島袋は降板。

島袋の東都初登板は4回2/3を打者23人に対して被安打5、四死球2、奪三振4。球数は96に及んだ。
失策が絡んでいる為、自責点は1でありながら失点3という苦いデビュー戦になってしまった。


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一塁側からみた島袋のトルネード


甲子園で春夏連覇を勝ち取った投手ではあるが、大学では当然ながら最下級生としてリスタートする。
エースナンバー18を背負っての登板は相当なプレッシャーであったと想像するのは難しくない。

失点直後に自軍ベンチに戻ると柔らかい表情を浮かべ、白い歯が見え隠れしていた。
島袋は立ち上がりから終始一貫して低目への制球を徹底していた。
飯田大祐(3年・常総学院)にはショートバウンドするカーブ、スライダーを臆することなく投げ込む。

先輩捕手に対しても物怖じしない投球に春夏連覇の甲子園投手の片鱗を垣間見たような気がした。
自軍選手の学年はもちろん、少々の得失点に一喜一憂しているようでは下級生からの活躍は覚束ない。


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島袋を追い掛けた取材陣


今後も第一戦の先発を継続するのかどうかは分からないが、島袋の投球を長い目で見守りたい。
島袋と対戦する相手チームは簡単には勝たせまいと目の色を変えて対峙して来るだろう。
得点後の駒沢大ベンチの盛り上がりは「春夏甲子園連覇の島袋から捥ぎ取った」というニュアンスである。
「戦国東都」に今季からは島袋攻略という新しい趣向が加わった。

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試合終了後のスコアボード