東海大相模に一二三慎太あり | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

「関東頂上決戦」と勝手に期待した準々決勝は、東海大相模が7-0と浦和学院に圧勝。
浦学が期待ハズレだったのでは無く、東海大相模が想像以上に強かったという感想。
東海大相模は、例年通りの選考基準に照らし合わせれば、センバツ出場を確定的にした。


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傾斜が急なので分かりにくいが、平日開催なのにお客さんは結構入っていた


東海大相模と浦和学院の力量の違いが、そのまま現段階での得点差に現れたような印象だ。
浦和学院は、久保翔平・萩原大貴・濱田優太・阿部良寛など、例年以上に粒揃いのメンバーである。
それだけに「7回コールド勝ち」という結果に東海大相模の成熟度と力量の高さが際立った。


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整列の瞬間にチームのスタイルや取り組みが見えるような気がする


2、3点を争う試合展開を予想したが、東海大相模が徐々にエンジンを吹かして得点差を拡げていった。
攻撃ではギアを上げていき、守備でもギアを落とさないような熟練した試合運び。
書き綴るのは簡単だが「言うは易し、行うは難し」で、強いチームの強い勝ち方である。


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マウンドに一人だけ大学生がいるような堂々とした立ち居振る舞いの一二三


東海大相模の攻守の中心は、一二三慎太である。
184cm、80kgというサイズはもちろん、下半身は大腿部の発達を中心にプロのような体格。

余談だが、一二三は「ヒフミ」と読み、父の実家である熊本をルーツにする名字らしい。
「攻」では八番という打順に似つかわしくない豪快な打撃。
「守」ではエースとしてマウンドに上がる。
更には、キャプテンとしてチームを引っ張る。文字通り、チームの大黒柱である。

一二三を初めて観戦したのは二年前の夏、綾瀬戦(北神奈川・準決勝)だった。
第一試合の慶応対桐光学園戦がお目当ての日程。
しかし、第二試合の最後に出て来た一二三に、最後まで観戦を続けた甲斐があった。
横浜スタジアムの熱さに朦朧とする中、他校ならエース級の投球に三年生だと思い込んだ。

昨日は140km/hを越えるようなボールは少なかったが、スピンの利いたボールがミットに収まる。
一塁側スタンド裏通路での東海大相模の父母の会話によると、人指し指のツメが割れているらしい。
おそらく割れたツメの影響だと思うが、清峰・今村猛を彷彿とさせる省エネ投法だった。


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先輩、大田泰示(巨人)に瓜二つなバッティングフォームとおじさま達は評していた


一二三は先制となるセンター越えの特大ホームランで球場を騒めかせた。
強風も手伝ったが、右腕で押し込み”ひとのび”する長距離打者の放つホームランであった。
イニングは失念したが、二塁・三塁の場面で満塁にするリスクを負って浦学は敬遠を選択した。
彼の打撃センスの高さを分かって頂けるだろうか。

簡単に「関東No.1右腕」などと評価する事は出来ない。
しかし、今秋、試合観戦した投手の中ではケタ違いの完成度と底知れぬ将来性を感じる。
社会人と遜色がないと言えば大袈裟かもしれないが、東海大のエースと言われれば信じてしまう。

今季は、帝京・日大三、智弁和歌山・大阪桐蔭などの試合を球場で観戦している。
強力打線と評されるこれらの学校と一二三との対戦は、どんな試合になるのだろうか?

東海大相模が関東を制した暁には帝京との対戦は年内にも実現の可能性がある。
「夢の対戦」とまでは言わないが、明治神宮大会やセンバツで対戦を心待ちにしたい。


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