諏訪内晶子 ベレゾフスキー 大阪公演 R.シュトラウス ヴァイオリン・ソナタ ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

諏訪内晶子&ボリス・ベレゾフスキー

デュオ・リサイタル

 

【日時】

2017年7月2日(日) 開演 14:00

 

【会場】
ザ・シンフォニーホール (大阪)

 

【演奏】

ヴァイオリン:諏訪内晶子
ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー

 

【プログラム】
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 「春」 op.24
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ

プロコフィエフ:5つのメロディ op.35 bis
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18

 

※アンコール

マスネ:タイスの瞑想曲

ウォーロック/シゲティ:カプリオール組曲 より Basse-Dance

ホイベルガー/クライスラー:喜歌劇「オペラ舞踏会」 より 真夜中の鐘

クライスラー:シンコペーション

ドヴォルザーク/クライスラー:我が母の教えたまいし歌

 

 

 

 

 

諏訪内晶子&ベレゾフスキーのリサイタルを聴きに行った。

遅れて行ったため、前半のプログラムは聴くことができなかった。

昨年の彼女のコンサートで聴いたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が素晴らしかったため(そのときの記事はこちら)、おそらくベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「春」も素晴らしいだろうと思っていただけに、残念だった。

 

後半のプログラムは、プロコフィエフの「5つのメロディ」と、R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ。

特に後者は、大好きな曲の一つである。

R.シュトラウスの若い頃の作品で、彼が後年に作曲した「サロメ」や「ばらの騎士」ほどの濃厚な和声進行はまだみられないが、その萌芽は十分に感じられ、また若いR.シュトラウスならではのさわやかさもあり、美しい曲だと思う。

録音では、五嶋みどり/ロバート・マクドナルド盤(Apple Music)や、ユリア・フィッシャー/ミラーナ・チェルニャフスカヤ盤(CD)あたりが好きである。

ただ、私としては2000~2003年頃に岡山で聴いた、上記録音と同じ五嶋みどり/ロバート・マクドナルドのペアによるコンサートでの同曲演奏が、未だに忘れられない。

上記録音(1990年カーネギーホールでのライヴ録音)でも大変素晴らしい五嶋みどりが、その録音から約10年を経て、よりいっそうの洗練を加えて披露してくれた岡山での演奏は、この世のものとは思えない美しさと完成度を誇っていた。

なにぶんかなり昔のことなので、演奏のこまごまとした詳細まで覚えているわけではないけれども、第1楽章の出だしのヴァイオリンの絶妙な入り方だとか、第1楽章コーダ直前のヴァイオリンの、録音で聴くよりもずっと柔らかで透き通るような音だとか、部分的にはまるで昨日のことのように思い出すことができる。

 

諏訪内晶子の演奏は、細部までとことん突き詰めたというよりは、全体的な流れを重視した自然な感じの演奏だった。

ただそのぶん、全ての音が磨かれているわけではなく、やや大味な感じで出てしまう音も見受けられた(ヴィブラートの大きさも一定していない印象)。

また、ピアノのベレゾフスキーは、草書体の演奏スタイルというか、さらっさらっと流して弾いていくタイプの、気まぐれな印象のある演奏だった。

彼自身の場合は、そのスタイルで一種独特の「味」を出せていたのだったが、一緒に弾いている諏訪内晶子のほうはというと、そのスタイルに引きずられてやや弾きにくそうな印象も受けた。

 

まぁ、でもそういったことはぜいたくな話であり、彼女ならではの美しい音も聴かれたし、全体的に良い演奏だったと思う。

アンコールも盛りだくさんで、大いに楽しめた。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。