最近、よくテレビやネット番組に出ているひろゆきさんなどの話の中で、外国人が日本の給与を下げているという話があるようです。
これは本当なのでしょうか!?
日本給料が韓国に抜かれたというニュースが話題になっています。
ただ韓国も日本同様に外国人労働者は増えており、逆に韓国は急速に所得を増やしています。
なぜ、日本だけ所得が上がらないのでしょうか?
おそらくこの話のベースにあるのは技能実習制度に対する問題を指摘しているのだと思います。
これは外国人が問題なのではなく、研修という制度が実態として労働力として利用され、日本が世界から批判されている制度に関しての指摘だと思います。
良い例も多々ある事を前提ではありますが、確かに技能実習制度には多くの課題があります。
この写真は私がフィリピンで撮影した写真で、熱心に日本語の勉強を頑張っている様子です。
この写真もフィリピンで、日本の自動車メーカーで働くために実際の車などを使って高度な教育を受けています。
今回はあえて課題を中心に取り上げたいと思います。
一つは、入国までの諸経費、手数料などが高すぎて借金をして入国するケースが多い
補足:教育費や手数料、諸経費で総額100万円以上するケースもあり、2019年のベトナムの平均年収が、日本円で約41万円程度ということからすると、その額が大きいことがわかると思います。
一つは、日本語レベルが乏しく、入国後の教育体制、日本人とのコミュニケーションも少なく日本語レベルが上がらない外国人が多くいる
補足:N5レベルが義務付けられていますが、N5では日本語でコミュニケーションは取れません。一番の問題は入国後の教育環境がなく、3年から5年いても日本語が話せない方が多数いるという問題はあると思います。
一つは、入社後の環境整備の役割はあるが行政のチェックが乏しく、劣悪な環境での生活を強いられる外国人がいる
補足:一人に一部屋という環境はまれで、6帖程度のスペースに2名程度が入居することが多い。そのうえで衛生的な環境やインターネットなどの通信環境は不十分な場合もあり、制度不満の要因となっています。韓国では行政が定期検査をして衛生環境、設備環境の向上に努めています。
一つは、転職の自由がなく、問題が発覚しても他の企業に転職ができず、帰国するしかない
補足:帰国すれば借金が残っている場合なども多く多額の借金をベトナムでは返済できません。日本とは比較にならないほど金利も高く、帰国すると家族などにも迷惑をかけてしまうので、帰ることができません。
一つは、残業代未払い、パワハラ・セクハラ・いじめなどの問題が多数報告されているがこれに対する対応が不十分
補足:転職できない帰国できないという厳しい環境に強いられても十分な相談者や行政窓口が存在しませんし、その結果、働いている会社からして不満を持たれたら帰国させられるという不安も存在します。
一つは、双方が求めても3年から5年以内でビザが切れてしまい、更新ができないこと。
補足:結局辞めてしまうという前提であることから企業から見て長期な視野でのキャリアプラン提示ができず、「使い捨てだ」という厳しい指摘を受ける結果になってしまいました。
このように多くの課題があることは様々な専門家や行政も把握しており、解決に向けて動いているのが実情です。
見方を変えると技能実習制度は、安い労働者という側面も存在しますが、これにより日本社会は安い食品や製造品などを手にすることができた側面もあったり、帰国後に技術を送り出した国に還元したりできた場面も多くあります。
ただこの技能実習制度は国際的にも問題があると指摘されており、改善に向けた動きが加速していくものと思います。
現在、欧米を中心とした先進国を中心に人権に関するチェック機能を企業に強く求めております。
これは人権デューデリジェンスと言われ、それは当該企業だけでなく、関連会社や取引先にまでチェックを求められ、問題のある企業からの商品に対して輸入制限をかけるといった対応が行われるようになります。
この取り組みは2021年に法案可決され、2023年から本格的にスタートされます。
中小企業には関係ないと思ったらそうではなく、大企業のサプライチェーンに結局は取り込まれることは多いはずです。
例えば、中小企業のネジ会社であっても最終的な商品は自動車や電子製品などになったときに大手企業はそのサプライチェーン上で人権デューデリジェンスを行ってくるようになります。
食品でもコンビニや小売りスーパーなどがチェックしてくるかもしれません。
これは他人ごとではなく、日本企業すべてが考えるべき重要な課題なのです。
2019年春に、技能実習の課題解決に向けて特定技能という新しい制度が出来ました。
これにより解決できることは多くあります。
1番大きいことは、転職が可能になり、その結果として競争原理が働き、所得面、生活面などの待遇が改善されていくと予測され、それによりもし問題ある企業があってもそこを辞めて別の会社に転職することができます。
また日本語力に関しても自社、もしくは登録支援機関(登録制で一般の民間企業の参入が可能)で教育が義務付けされ、地域社会との共生や面談以外の相談環境の用意も義務付けられています。
ただコロナで制度が普及する前に入国が止まっていることや企業側も外国人側もこの制度が本当に機能するのか不安もあるようです。
現在は、新規入国が出来ないので技能実習で3年から5年の期限を終え、延期したい場合の活用がほとんどです。ただ入国が始まれば大きく動くと思います。
私はこの制度自体はポジティブにとらえています。
また技能実習生は40万人程度おり、できるだけ早く問題のある企業で働く技能実習生が別の会社に転職できるようになれば上記の様々な問題が解決できると予測できます。
今の時点で特定技能もほとんどの場合、5年という制限があり、企業にとっても外国人にとってもキャリアデザインが難しい制度であることは解決できていません。
指摘した高額な手数料がどうなるかはわかりません。
安くても辞めない労働力という競争原理がない労働制度を許容してしまったことが問題であり、外国人の問題ではないかと思います。
また日本の失業率は、コロナ前は2.2%まで減少し、日本社会はバブル期よりも強烈な人手不足になりました。
2.2%という数字は、働きたくても働けないというよりも働きたい所に働けないことの差分の場合が多く、世界から見て日本ほど失業率の低い国はほとんど存在しません。
仕事がないといっても農業や建設業は大変そうだから嫌だなとか、介護はちょっと私には向いてないとかいうのは誰しもあるのだと思います。
私も残念ながら「職人さんや学者さんになれ」と言われたらできません。
なので失業率0%や1%というのは「職業選択の自由」がある中では存在しないみたいです。
また日本はバブル期の高卒者は60万人規模いましたが、今では少子化や高学歴化やで18万人規模まで減少しました。
なかなかこれから国内回帰が増加している製造業など、様々な産業や企業が増える中で、日本人でIT、農業や漁業、工場などで十分な働き手を確保できていません。
賃金を上げる方法はわかりやすくて規制を撤廃して競争原理を働かせることだと思います。そうすれば様々な産業の賃金も上がると思います。農業などは顕著だと思います。
護送船団方式で産業を守ると失業者は減りますが、国が支援する賃金にどうしても引きずられる傾向があるようです。
また日本には労働者だけでなく、納税者と消費者が足りないことが問題であります。
GTNは働く社員も日本人同様に消費者であり、納税者であり、社会保障料も支払って日本社会の維持・成長に貢献しております。
また日本に足りない、ITの知識や言語力や海外での市場展開などに大きく寄与しており、日本社会に大きく寄与しています。
そして彼らが平和に礎になるはずです。
ちょっとセンシティブな内容なので長文になりました。すみません。
最後に、
早くもっと気軽に海外を行き来した~い!!(心の叫びw)