ケーブルテレビ(CATV・有線テレビ・光回線)はNHK受信料契約が不要です? | 見義不爲 無勇也のブログ

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放送法とNHK受信料契約を中心に気の向くまま…
ボトルレターのように…

近年になってケーブルテレビや光回線などでNHKを視聴している場合はNHK受信契約は不要であると主張する人たちが増加してきましたね。無責任な情報が蔓延した結果、ネットの世界では常識とさえされているらしいですから匿名社会というのは恐ろしいものです。
現在国会で審議中の放送法改正案が成立すれば誤解の可能性はなくなり妙な主張も姿を消す筈ですから検証の必要さえ無くなるのですが…。今日からはケーブルテレビと受信契約について検証します。

◎まず最初に結論を申し上げておくと、ケーブルテレビであろうが光回線であろうがNHKと受信契約をしなければなりません。あたりまえすぎて説明の必要も感じない…とおっしゃる方はここで読むのをおやめください。貴方の感覚は間違っていません。
◎私が細かい話を辛抱強く続けられる保証もありませんから、有線テレビジョン放送法(有テレ法・昭和47年7月1日)が制定された際の国会での議論を引用しておきます。

○昭和47年6月12日参議院逓信委員会 (検索方法は昨日の記事をご参照ください)
●鈴木強君 もう一つ、これは特にNHKの関係になると思いますが、CATVに加入した加入者が、NHKのテレビを見ることになると、当然受信契約をやらなければなりませんね。その点はっきりしてもらいたい。そうすると、そのCATVに入った人たちは、放送法上のNHKとの受信契約義務ということは、いささかも変わらないのですね放送法上は。そういうことははっきりできますね。
●政府委員(郵政省電波監理局長藤木栄君) おっしゃいますように、法律的にもNHKと契約しなければならないと、そういうことになるわけでございます。

◎上記のとおり、NHK受信契約義務があることを確認したうえで国会は有テレ法案を可決成立させています。国会の立法意図を感じていただけたでしょうか?

◎それでは放送法32条を見てみましょう。
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

◎ケーブルテレビにNHK受信契約は不要だと主張する皆さんの論拠の一つは、「有線テレビジョン放送」を受信しているのであって「放送」を受信しているのではないというものです。もちろん有テレ法が定めるとおり、NHKの「放送」を有線テレビ事業者が再送信した時点でそれは「有線テレビ放送」になります。しかし、放送法は受信形態について何ら制限を加えていませんから、NHKの「放送」を「有線テレビジョン放送」として「受信」した場合であっても「受信」しているのならば契約義務があるということです。
◎「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信なのだから、受信契約義務が有るのは直接受信した場合に限られるのだとする主張も同様ですね。「直接受信されることを目的とする無線通信の送信」を間接「受信」した者を除くとは規定されていませんから、やはり契約は必要です。
◎「有線テレビジョン放送」を受信しているのであって「放送」を受信しているのではないから、32条ただし書きの「放送の受信を目的としない受信設備」に該当するのだという主張もありますね。しかしケーブルテレビは難視聴対策としてスタートしており「放送」を見るためのものですし、NHKを含む放送事業者から法定の同意を得て再送信をおこなっているのですから「放送」を見るための設備では無いと主張することはできません。
◎NHKが再送信に同意しなければ問題がないなどと主張する人もおられるようですが…これは本末転倒というものです。NHKにはあまねく放送を届ける義務がありますから再送信に同意しないことのほうが問題ですし、ケーブルテレビは当初において共聴組合と称していた「あまねく放送を届ける」ための制度なのです。

○ケーブルテレビとNHKの関係について興味がある方は、社団法人日本ケーブルテレビ連盟25周年記念誌「日本のケーブルテレビ発展史」を御覧ください。
http://www.catv-jcta.jp/history/index.html
○ケーブルテレビ事業者の契約約款や契約時に交付される大切な文書に「NHK受信料を含みません」というような記載があるのはNHK受信契約が別に必要であることを示しています。ケーブルテレビ等にご加入になっておられる方は一度お確かめください。また、法的に契約義務があるからこそ日本ケーブルテレビ連盟は「受信料業務委託」「団体一括支払い」「NHK・BS受信契約自主取り次ぎ制度」等を実施しているといえます。
契約約款の一例(ケーブルビジョン新宿・第34条)
(3)WOWOW及びデジタルWOWOWの視聴料
ペイテレビサービス及びデジタルペイテレビサービスのうち、WOWOW及びデジタルWOWOWの視聴料は、株式会社WOWOWと別途に加入契約を結び、同社に直接支払うものとします。
(4)NHK受信料
TCVのサービス料金には、日本放送協会(以下「NHK」という。)の受信料は含まれていません。TCVの加入者は、NHKと別途に受信契約を結び、NHKに直接支払うものとします。

◎政府側の見解をお示しすることが皆さんの疑問解決の一助になればと思っておりますが、私個人は政府やNHKに与する者ではありません。申し上げるまでもなくwebには虚実様々な情報が溢れており、とりわけ匿名のものは私を含めて信憑性に欠けます。しかるべき機関でご確認のうえでご判断ください。