ほぼ毎日お祭り炎上になりそう... とあるニュージャージー州の片田舎の町で、警察がFacebook..........≪続きを読む≫
これ
司法試験や法科大学院の期末試験等で出題したらおもしろいと思います。
このとき書くべきポイントはどこにあるか
前提として
法令違憲と適用意見にわけて書くのでしょうが
→問題にもよるが
立法目的は、いわずとしれて
「犯罪の未然の防止」
立法事実としては
「ニュージーランドでは、すでに犯罪抑止効果があがっている」
→副次的効果として、捜査・取締手法の適法性を担保させるというものもある。
なんてことを書いていくのでしょう。
犯罪者・被疑者・被告人(以下、「被疑者等」とする)側の主張としては
「プライバシーは被疑者等であっても、十分に保障されるべき」
ということを書いていくのでしょう。
→単に、二重の基準論 → プライバシーは精神的自由権 → 厳格な審査基準 なんてしたら、「不良」の烙印を押されてしまいます(平成21年度新司法試験ヒアリングより)。もっとも、書く必要はありますが、これで終わってしまってはいけない。
→また、検察側(被告側)の主張として、プライバシーは明文で認められていない → 憲法上の保障の対象にならない。なんてことを長々と書いたら、それこそ「不良」となりそうです(まして、それで反論を終えてしまうなど言語道断)。プライバシーが憲法上の権利であることは、いまやほぼ争いのないことですので、普通、被告はそんなことを主張しません。それよりも、プライバシーの射程範囲外であると主張することのほうが、重要です。
→詳細は後述するが、プライバシーが犯罪者等に保障されるか、というよりも、保障の程度は犯罪者等であってもかわらないことを主張することになろう。
ここで重要なのは、プライバシーの侵害を受けた者が被疑者等であり、当該犯罪事実について犯行現場を録画等していること。
→つまり、被疑者等の「普段の」私生活を暴露しているわけではない。当該被疑者等の当該犯罪事実という形で場面を限定していることに注意しなければならない。
これをどう料理するかです。
被疑者等にプライバシーがあるかないかということを長々と書くよりか
犯罪抑止効果との関係で、プライバシー侵害が正当化されるかどうか
つまり、三段階審査論でいうところの第3段階目で徹底的に争うと言うことになりそうです。
→被疑者等にプライバシーがあるかないかという争いは、第1段階目。ただ、まったく書かないというのも怖いので、数行程度触れてもいい?
適用違憲について
具体的な場面にもよります。
たとえば、現行犯性が強く、かつ、誰がどうみても犯罪をしていることに疑いをいれる余地がない場合については、問題はないでしょう。もっともこんなものが試験に出るとは思えません。
問題になりそうなのは、職務質問の場合やデモの場合
普通の職務質問やデモの様子を、ビデオ等で録画していた場合。
京都府学連事件最高裁判決などをもってきてあてはめするのもいいでしょう(同判決をもってくるのは必須。ただ、事案の違いは意識するようにしなければならない。詳細後述)。
→ただ、現行犯性の要件をどこまで重視するかという問題はある。近時の最高裁判決で、現行犯性を重視しないものも現れているので、職質のようにそれが直ちに現行犯としての性質を帯びないからといって、直ちに違憲となるわけではない。
あとは、必要性・緊急性・相当性の要件です。
必要性は、立法目的との関係で書くことになるでしょう。
つまり、「犯罪抑止のため」に必要であるかどうか。
→職質そのものを撮影して、「犯罪抑止」のために必要といえるのか?他方、捜査・取締等の適法性担保という方面からは、必要性の要件はみたされそう。
また、個人の容貌や犯罪行為のみを撮影するのであれば、必要性はみたすとしても
それを超えて、免許証を提示させてそれを撮影したり、あるいは、個人の名前をネット配信の際に伏字(ピー音)を入れなかったり、さらには、個人の容貌を特定できないように、モザイクを入れる必要もある?
→犯罪抑止という観点からしても、個人名を明かす必要はまったくない。個人名を明かすことを「個人の」制裁目的としてあるのならば、それは立法で明記しなければならない。そうなると、また別の問題が発生する。
必要以上に個人のプライバシーを暴露することになれば、やはり必要性の要件に欠けるということができるのでしょう。
→あるいは相当性の要件で検討する?
緊急性について
今まさに、その場で撮影しなければ意味がないので、緊急性の要件は認められそう。
→常時設置してある防犯カメラ等であれば緊急性の要件の問題は発生しそうですが、本件の場合で緊急性はそれほど問題にならない?
相当性について
立法自体合憲なんですから
立法の範囲内であれば、手段の相当性は認められます。
普通に撮影している分であれば、相当性は認められそう。
→京都府学連事件はビデオ撮影を認める直接の立法が存在しなかったが、今回は立法が存在することを前提とする。明文で「ビデオ撮影をすることができる」なんてあれば、普通にビデオ撮影していて、少なくとも違法になることはない。法律が合憲であれば、違憲になることもない(合憲限定解釈をとる場合は別として)。
厳密に言うと、撮影レベルと配信レベルとでわけて考える必要があり
さらにそこには、肖像権や(国民の)知る権利との関係でも問題となります。
これは、試験がどこまで求めているかで解答をわけていくしかないのでしょう。
ただ、近時の司法試験は、割と書くべき範囲が限定されていますので、そんなに議論が広がったり錯綜したりしたりすることはないと思われます。
※ちなみに、今回の内容は勝手に頭の中で構成しただけの極めてお粗末なものであり、このまま書いて平均以上の成績がくるかといえば微妙です。読者諸氏には、「こんな構成をしている人もいるんだよ」という程度にとらえてくれれば幸いです。