銀時夢小説*野良犬と海 4 | I LOVE 銀魂~夢小説~

銀時夢小説*野良犬と海 4

野良犬と海 3 のつづきです


獣と雨 シリーズ、サイドストーリー。



4話で収める事が出来ました!!ww


今回で最終回です(TωT)


どうぞ!!



――――――――――――――――――――



野良犬と海 4
















漆黒の闇のなか、集う黒い集団。



「――――知り合いか、晋助」



サングラスをかけた男は、隣の紫髪の男へそう声をかけた。



静かに冷たい風が流れるそこには、つい先程まで1人の女と1人の男が居た。



かけられた声に、晋助と呼ばれた男は手に持ったキセルを口にくわえ、煙を吐き出した。



「前に話したことがあるだろ。…海に置いて来た女だ」



女と男が走り去っていった先を遠く見つめながら、ポツリと呟く。



正式に言えば、隣にいた男も知っている。



――――――新しく踏み出せてるみたいだ、晋助は心の中でそう囁いた。



「あぁ、ずっと前に斬り合いのなか指輪を無くしたと言っていたが…あの女と関係があるでござるか」



サングラスの男はそう言って、ニヤリと口角を上げる。



晋助はそれを見て、ククッと笑みを零した。



「懐かしい話だなァ」



サラサラと髪が風にゆれたと思えば、フイと向いていた方向に背を向け



来た方向へ戻ろうと歩みを進めた。



「…指輪まであげて、何故別れる理由があったでござるか」



腕を組み、帰ろうとする男に眉を下げる。



そうすれば、晋助は足を止め、もう一度キセルを吸った。



「純粋な水に、泥水は混ぜたくねぇんだよ。俺にそれを防ぐ力はねぇ」



ククッと笑みを零し、もう一度歩み始める。



志士達は分からない比喩表現に頭をかしげる。



長い付き合い、サングラスの男はすぐに理解した。



―――――何もしらない純粋な奴を、危険に巻き込みたくない。



―――――自分じゃ、それを護り切れない。



言葉こそないが、そういう意味だと。



サングラスの男は納得して小さく笑った。



「それでは、みなちゃんはどうなる」



去っていく後ろ姿にそう声をかければ、男はすぐに答えた。



「あいつは強ぇ女だからな」



…確かに、晋助の刀にも恐れなかった女だ。



彼女こそ純粋な水かもしれない、けれど、泥水を弾くほどの力を持っている。



深く納得すれば、自分も晋助の後に続いた。



他の志士達も同じように自分の後に続く。



――――今宵は、月が綺麗だ。



「仕事はいいんでござるか」



「やめだ。…大事な奴が船で待ってる」



紫髪の男らしからぬ、言葉



サングラスの男はバレないよう笑みを零す。



けれども気がついてしまった晋助に、ジロリと睨まれた。

















――――――零れ落ちそうな、無数の星。



瞳に映ったかと思えば、それはすぐに消えて



目の前に移るのは、彼だけ。



我に返ったのは、彼の唇が自分の唇から離れた時だった。



目を細めてこちらを見つめる―――彼、銀さんに



言葉もでずに目を見開く。



なんで、こんなことになっているんだろう。







ついさっき、高杉さんに会った。



どれぐらい久しいんだろう。



昔の私なら、すぐに駆け寄って



何故私を置いていったのかとか、聞きたいことがたくさんあって



胸が苦しくなっていた。



―――――だけど、どうしてか。



胸も痛まなくて、ただ偶然の再会に驚くだけで



もしかしたら、もう私は彼を好きではないのかもしれない。



彼、高杉さんの目を見た瞬間、そう思った。



だからすごく気持ちは落ち着いていて、挨拶はした方がいいのかな



そんな事を思っていた…なのに、銀さんはどうしたんだろう。



突然私の手を引いて走り出した。



立ち止まったかと思えば抱きしめられて――――






――――気がつけば、唇が重なっていた。



ドクン、ドクンと心臓が鳴り響く。



今頭の中にあるのは、銀さんだけで。


体が感じてるのも、銀さんだけで。



顔が熱くて、力が入らなくて



ギュッと彼の肩を掴んだ。



そうすれば、強く抱き寄せられて、深く唇が重なる。



胸の置くが苦しくて、でもこれは嫌な苦しみじゃない。



…私は、この感情を知ってる。



そっと離れた互いの顔。



まだ信じられなくて目を見開けば、彼はすっと目を細めた。



優しく撫でられた頭に、また心臓が暴れだす。



数秒間絡み合った視線。



――――――思わず、言ってしまいそうになった。



私は、銀さんが―――…



だけど、それよりも先に。



彼の口から出た言葉に、思考回路が止まった。








「お前が、好きだ」










真っ直ぐな目に、体が麻痺したように動かない。



真っ直ぐな言葉に、言葉を知らないよう口は開かぬまま。



信じられなくて、体全体が熱を帯びていく。



目をあわせていられなくなりうつうけば、2人の間に沈黙が流れる。



どうしよう。



自分の気持ちも言えばいいのに、恥ずかしさから口が動かない。



目を泳がせて、ギュッと拳を握り締める。



…すると、銀さんの掌が私の頭にそっと乗せられた。



そのままポンポンと優しく撫でられて、私はゆっくり彼を見上げる。



「無理しなくていい。ただ言いたかっただけだ」



寂しそうな、笑顔。



囁くようにそう言った彼に、眉を下げれば



彼は私から離れて、うんと背伸びをした。



「あースッキリした。早く帰んねぇとあいつ等心配するぞ」



そう言って、気だるく私の横を通り過ぎる。



――――――このままじゃ、なかったことになる気がした。



帰り道へ歩みを進める銀さんの後姿を見て、深く息を吸い込む。



いつからだったろう。



気だるげな後姿も



さり気ない優しさも



面倒くさがりでも、最後はきちんとやってくれるところも



そっと頭を撫でられる事も



口角を上げて笑うところも



全部、全部、愛しくて。



その気持ちに気づいていたはずなのに、気づかないフリをしていた。



「…銀さん!」



大きな彼の背中に、そう呼びかけた。



すぐに走り出した私。



不思議そうな顔でこちらを振り返った銀さん。



彼の目の前にたどり着けば、私はグッと背伸びをした。



「…―――――っ!?」



彼の肩を強く掴んで、つま先立ちをして



目を見開く彼の唇に――…自分の唇を重ねた。



数秒間触れて、ゆっくりと離れる。



自分でやったくせに、足も手も震えて、顔が熱い。



目の合った銀さんは、ポカンと瞬きをしていて



耳まで顔を赤くしてこちらを見ていた。



「なっ……!?」



いやいやいやいや、え!?と慌てたように私から離れ、「落ち着け!」とこちらに掌を向けた。



待った、というポーズの彼に大人しく黙っていれば



彼は自分胸に手を当てて大きく深呼吸をする。



「…今のは、その、どういうつもりですか」



そしてそっと盗み見るように私を見て、口を開く。



頬を赤く染めた彼に、自分もさらに頬を赤く染める。



そして大きく息を吸い込み、真っ直ぐに彼を見た。






「――――私、銀さんが好きです!!」






静かな夜に、響く声。



…言ってしまった、というか、声大きかったかな。



言った後の恥ずかしさに、ついうつむく。



しん、と沈黙が流れ、手が震える。



あまりにも何も返してこない彼に不安が募り、そっと顔を上げてみた。



「…ぎ、銀さん?」



目の前にいる銀さんに、眉を下げて声をかける。



彼はといえば、ポカンと口を開けて固まっていて



ビクともしない彼を不審に覗き見る。



私の声にハッと我に返った銀さんは、照れたように目をそらして頭を掻いた。



「…幸せすぎんですけど」



ポツリと呟いた言葉に、胸の奥が熱くなった。

















「で、昨日の夜は何があったアルか?」



早朝、めずらしく早起きをした神楽が口角を上げてそう言う。



同じくニヤリと笑った新八はその隣に立ち、心なしかその横の定春もニヤけているように見える。



昨日、あんな事が会ってから民宿に帰れば



もう2人は睡眠に入っていた。



いろいろと事情は朝になってから話そうと思っていたが…勘のするどい奴らめ。



分かってるみてーだから、言わなくてもいいか。



「まぁ、いろいろと」



無表情でそう返し、「な?」と隣にいる未希へそう声をかければ



真っ赤な顔でうつむき、小さな声で「はい」と答えた。



そんな姿も可愛くて、つい昨日のことを思い出す。



思わず口角が上がりそうになるのをこらえて、視線を神楽たちに戻した。



「さっさと仕事して、こいつ連れて万事屋けーるぞ」



横にいる未希の頭にポンポンと手を乗せながらそういえば



キョトンと目の前の2人+一匹は目を丸くする。



「どういうことですか?それは」



「そういうことだ」



「どういうことアルか」



「そういうことだ」



「そんな急に、どういうことですか!?」



「そういうことだ」



「ワン!!」



「そういう…だーから!」



ググッとこちらへ詰め寄ってきた3人+一匹にイラッと顔を歪ませれば



強制的に全員が輪になるように、互いの手を結ばせた。



自分も隣にいる未希と新八の手を握り、気だるく両手を上に上げた。



「はーい、新万事屋完成ー」



よし、仕事すっぞ。そう言って手を離せば、「ちょっと!」という未希の声が聞える。



眉を寄せて彼女を見れば、困ったような表情。



「迷惑でしょう、私みたいのがいきなり入ったら」



そしてこちらへ近づき、こそりと小声でそう言った。



そんな言葉に俺は眉を寄せ、「嫌か?」と訊く。



「……っ」



顔を歪ませた彼女は、神楽達を振り返る。



「私は大歓迎ネ!女子も増えるし」



「僕も賛成ですよ。未希さん気が利くし」



「ワンワン!」



ニッコリと笑う奴らに何も言えずにいる未希の肩に手を置き、口角を上げた。



「俺も大賛成なんだけど?」



そういえば、ゆっくりとこちらを見上げる未希。



その目には大粒の涙が溜まっていて、慌てて肩から手を離した。



「おっおい、なんで泣いてんだよ!」



「…泣いてないです」



ぐっと堪えているんだろう、涙を溜めて零さずにいる。



明らかに泣いているのに強がる未希が愛しくて、つい笑う。



「私なんかでよければ…万事屋に入れてください」



もう、涙が頬を流れ落ちていて



やっぱ泣いてんじゃねーか、といっても断固として泣いてないと言い張る未希。



それがさらにたまらなく愛しくて、つい神楽達の前で彼女を抱きしめてしまいそうになった。







潮風が、顔に当たる。



心地よい波の音に耳を澄ます。



行き先を失った野良犬は、大きな海に恋焦がれ



くすんだ心を、綺麗に洗い流された。



「銀さん!」



俺を呼ぶ彼女の笑顔。



真っ青なその海と、よく合っていた。















――――――――――――――――――――



完結!!


今まで読んでくださったみなさん、ありがとうございました><


高杉は遊びでなく、ちゃんと未希ちゃんのことが好きでした。


けれども純粋かつ弱い彼女とこのままこの関係を続けていては


高杉の仕事上、巻き込みかねない。


そう考えて別れました。


(みなちゃんは高杉が強いと見込んでます。

獣と雨の最終話で刀を向けても恐れなかったのがポイントですかねw)


指輪は切りあい中なくしてしまい、お互い指輪をなくしたってことになりますね^^


そして結ばれた二人、万事屋で仲良く暮らしますとさ。




リクをくださった定春!!本当にありがとう!!


銀さん愛が今強まっているひらり、書いていてむっちゃ楽しかったですо(ж>▽<)y ☆


なんだかリクからそれた話になってて、本当ごめんなさい;;


よければ次もリクしてくださいねヾ(@^▽^@)ノ




お知らせ!!




というわけで、第三回リクエスト企画終了となりますっ(*^▽^*)!!


みなさんたくさんのリクありがとうございました^^


これから少し短編を書いたら、また長編を再開したいと思っています。


そしてなんですが・・・あの総悟のトリップ長編。


まだ第一話しか書いてないのですが、書き直させてください!!!


まことに勝手ながら申し分けないのですが・・・


あの第一話で上手く話を続ける自信がないのです(涙)


主人公の性格とかはそのままで、第一話をリセットさせてください。


そのため、今更新している第一話を削除させていただきます;;


コメントをせっかくいただいたのに、本当にごめんなさい!!!




読んでくださりありがとうございました!



ポチッとしていただけると幸いです(/ω\)!



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