銀時夢小説*野良犬と海 2 | I LOVE 銀魂~夢小説~

銀時夢小説*野良犬と海 2

野良犬と海   の続きです。



獣と雨 シリーズ、サイドストーリー。


更新停止前に、これだけアップしときますっ!


どうぞヾ(@^▽^@)ノ


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野良犬と海 2













視界いっぱいに広がるのは、青い青い海。



大きな波を立てて、透き通るように輝く。



「キャッホー!!!」



「綺麗ですね!」



「ワンッ!!」



一目散に走り出すガキ共を見送り、俺は砂浜へ腰を下ろした。



神楽は日に弱いからワンピースに麦わら帽子、そして傘を常備。



新八と俺は水着は持ってきてないので、濡れてもいい軽い服に着替えた。



『せっかく海に来たんだし、遊んできてください』



親切にもそう言ってくれたのは民宿の未希。



お言葉に甘えて俺達は3人プラス一匹で遊びに来た次第。



キャッキャと騒ぎながら水をかけ合う姿を眺めながら、俺はコロンと砂に横になった。



「あっち!!」



…案の定、暑さに慌てて起き上がる。



シートでも持ってこればよかった。



そう思い眉を寄せた時―――「大丈夫ですか?」



後ろで聞こえた声にふと振り向けば、クスクスと笑う未希がいた。



白いワンピースに麦わら帽子、手にはシートらしき物を持っている。



「大違いだな…」



神楽と同じ格好でも、随分と違う。



暑くなる頬を隠すように顔をそむけて呟けば、「はい?」と不思議そうな声が聞こえる。



なんでもねぇよ、と言えば彼女はその場にシートを敷いた。



その上に座れば、隣をポンポンと叩きながら俺を見て笑う。



「座ってください」



言われるとおりに座れば、意外と距離が近くて驚く。



シートが小さくて、二人の肩は触れ合いそうだった。



「お前も行ってこいよ」



自分と一緒にあいつらを眺める未希を見て、なんとなしにそう声をかける。



けれどもあいつはふんわりと表情を崩して笑った。



「私は、いいです」



どこか寂しげなその顔をチラリと横目で見る。



遠い目をしている彼女の髪を、潮風が揺らす。



白い肌にジリジリと当たる太陽に、暑くないかと心配になった。



「…別に、話せとは言わねぇけどよ」



もうシートがある。



暑さを気にせずその場にコロンと横になる。



「悩みがあんなら言った方が楽だぞ」



視界いっぱい海だったのに、今瞳に映るのはいっぱいに広がる空。



雲ひとつない快晴で、カモメがふわふわと踊る。



俺の言葉にこちらを見た未希は、眉を下げて笑った。



「…ありがとうございます」



揺れる瞳は知らないフリをした。



――――どこか、俺と同じ気がした。



同じ傷を、抱えているような。



「銀ちゃーん!未希ー!一緒に遊ぶアルー!」



遠くから聞こえた高い声に身を起こせば、神楽がこちらへ手を振っていた。



フッと笑った俺は立ち上がり、座ったままの未希を見下ろす。



「…ほれ」



そのまま片手を彼女の前に差し出す。



キョトンと不思議そうにこちらを見上げる未希に、上げていた口角を下げて眉を寄せた。



「あの、恥ずかしいから分かってくれない?」



片手は差し出したまま、顔をそむけて頬を掻く。



そんな俺を見てハッとしたように目を見開く彼女。



「あ…は、はい」



戸惑ったように声をだしながら、恐る恐る手を握る未希。



それに満足したように笑みを浮かべて、彼女の手を引いた。



けれど立ち上がった彼女を連れて波打ち際まで向かうと



ピタリと未希の足が止まった。



丁度俺の足にはちゃぷちゃぷと水が当たっている状態。



「あ?どーした?」



不思議に思って振り返る。



何故かあと少しで水だというのに、そこから一歩も動こうとしない彼女。



少し顔が強張っていて、握る手が震えていた。



「……です」



ボソリと、呟いた言葉。



大きな波の音にかき消されてよく聞こえない。



「悪ィ、なんつった?」



首をかしげて相手の顔を覗き込めば、彼女は控え目に俺の目を見た。






「み、水が…怖いんです!」



―――――大きな声で叫んだ後、ザプーンと波の音が響いた。






「…は?」



ポカンとして目をパチクリとさせる。



今にも泣きそうな顔で眉を寄せる彼女を数秒間見つめ



思わず吹き出した。



「水がってお前…ガキか!」



あっはっはっはと声を上げて馬鹿にしたように笑う。



海の近くに住んでるっつーのに、そういう奴もいるんだな。



そんな俺にムッとした表情で頬を膨らました未希は、



パッと握っていた手を離してしまった。



「酷いです…本当に苦手なんですよ、水!」



私帰ります、そう言いながらフイとこちらへ背を向けた彼女に



慌てて「待った!」と声をかける。



不服そうに振り向いた彼女を見て、口角を上げる。



そのまま手を伸ばして、綺麗な手を握った。



「…こうしてりゃ、怖くねーだろ」



つーかこんな浅瀬、何が怖ぇんだよ。



そう続けながらちゃぷ、と足で水と遊ぶ。



けれど何も言わない相手を不審に思い、顔を向けてみれば



真っ赤な顔で浅瀬を見つめる彼女がいた。



「おーい」



ヒラヒラと顔の前で手を振ってみると、我に返ったように顔を上げる。



俺と目が合うと、焦ったようにそらした。



それから今日はおろしている髪を耳にかけ、口を開いた。



「なんか、銀さんって分かりません」



透き通ったような、綺麗な声。



BGMのように波の音がバックで聞こえて



…まただ、その寂しそうな目。



「掴めない人というか、なんていうか」



泣き出しそうな、悲しそうな笑み。



心から笑った笑顔などあるのかと思うほど…未希は作り笑いをよくする。



――――――その時、彼女の足に水が当たった。



「――――っっ!!」



その瞬間、目を見開き顔をしかめた未希は



慌てたように俺の腕にしがみついた。



細い腕が絡みついたことに、驚いて彼女を見下ろす。



顔が近くて、お互いに頬を染めて離れた。



「す、すいません!」



「や、別に」



…本当に調子狂うな。



ガシガシと頭を掻きながら、ポツリと心で呟く。



そして困ったようにうつむいている彼女を見下ろして



――――引っかかっていた言葉を落とした。



「お前、失恋しただろ」



あまりにも直球すぎただろうか。



俺の言葉にバッと顔を上げた彼女は、あんぐりと口を開けている。



「な、な、な…」



分かりやすくどもる彼女にクスリと笑みを零し、海の奥に浮かぶ小さな船を見つめた。



「じゃーお互い様、だな」



「…え?」



独り言のように言った俺の言葉に、驚いたように声をだす未希。



だけどそれには答えず、彼女の手を引いた。



「うーし、おめーらー!ビーチボール大会やっぞー!」



新八を砂で埋めている神楽と、その横で砂を掘る定春。



俺の叫んだ言葉に目を輝かせた2人。



「お前も強制参加な」



さすがにあいつ等の前で手を繋ぐのは…と思い手を離して



その代わりに、彼女の頭に手を置いた。



「…はい」



どこか嬉しそうに笑みを零した未希に口角を上げ、俺達は新八達の所へ向かった。



















「お前…ボールを破裂させる奴があるか」



大いに盛り上がったビーチボール大会。



すっかり日は暮れて、神楽がボールを破裂させたのを区切りに終了した。



「ちょっと力入れすぎたネ」



ちょっとって…破裂だよ?もうボールの原型ないんですけど。



なんてことない、といった表情の神楽に青ざめる3人。



そんなことも気にせず「ご飯ご飯」と楽しげに民宿へ向かう神楽に、やれやれと溜息を零した。



「あっ!!」



その時、そう声を上げたのは未希。



何事かと見れば、慌てたような表情で後ろの海を振り返っていた。



「あの、私落し物しちゃって…先帰っててください!」



よほど大事なものでも落としたのか、眉を下げてそう言った彼女は



一目散に海へと戻っていった。



「何落としたんでしょうね?」



大丈夫かな、と心配そうにその後姿を見る新八。



神楽はいつのまにかもういなくて、多分今のを聞く前に民宿に行ってしまっていたのだろう。



神楽の後を追う定春を見てから、俺は新八に目線を移した。



「お前、先行ってろ」



「え、銀さん?」



キョトンとした新八の言葉には返さず、俺はあいつの背中を追っていた。





―――――砂浜に着くと、潮風に髪を遊ばれながら



必死に砂浜を探しまわる未希がいた。



夕日が海に沈んでいくようで、彼女の影が砂の上に映る。



「何落としたんだ?」



焦った様子のその後姿に、そう問いかけた。



俺の声にビクリと肩を上げた彼女は、驚いたようにこちらを振り返った。



「銀さん」



目を見開いてポツリとそう言えば、困ったように笑みを零した。



「…指輪を、落としたみたいで」



眉を下げながら自分の左手を握る彼女に、胸の奥が苦しくなった。



…指輪、ねぇ。



それが自分で買ったものじゃなくて、誰かから貰ったものだなんて



考えなくても分かる。



一瞬顔をしかめてしまいそうになったが、気持ちを悟られない様に平静を装う。



「どこら辺で落としたか分かるか?」



少し熱の引けてきた砂浜。しゃがみこんで砂をかき分けながらそう聞けば



慌てたような彼女の声が返ってきた。



「大丈夫です!なんか…なんとなく、これで踏ん切りついたので」



砂はさらさらと指の間をすり抜ける。



風に吹かれて飛んでいくそれを見つめていれば、未希は静かに言葉を続けた。



「馬鹿ですよね、遊ばれてただけなのに。指輪なんか大事にして」



無理をして笑っているのが、声だけで分かった。



見なくたって、眉を下げて目に涙を溜めて



すべてを堪えて笑っているのが、声で分かる。



「でもなんか、すっきりしました!これで前に進め―――」



…聞いてらんねーよ。



いつのまにか反射的に立ち上がって、彼女の手を引いていて



その小柄な体を、強く抱きしめていた。



「泣いてる奴が言うか、んな事」



溜息混じりにそう言い、震える彼女の頭を優しく撫でる。



「………―――っっ」



何も言わずに、声を押し殺して泣く未希。



―――――泣きそうなのは、こっちだっつーの。



心の中でポツリと呟いた俺は



そのままぼんやりと、落ちていく夕日を眺めた。













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未希ちゃんの失恋相手、だせなかった!(´Д`;)


次こそは、うん!!←


そして4話では終らせられないと確信した。←


ちょびっと長引くかもですが、ついてきてくださると嬉しいです><


毎回下手くそですみません・・・頑張ります!!!


更新停止しますがすぐ帰ってくるので、待っていてくださいヾ(@^▽^@)ノ



ポチッとしていただけると幸いです(/ω\)!



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野良犬と海 3  へ続く!