リクエスト*銀時夢小説*一目惚れ | I LOVE 銀魂~夢小説~

リクエスト*銀時夢小説*一目惚れ

第三回リクエスト企画


SYURA様からのリクエスト




――――――――――――――――――――




一目惚れ






「あぁ、あれが銀時だよ」



深夜、にぎわうスナックお登勢。



ボーッと皿洗いをしていた私にそう声をかけたのは、キセルを手にしたお登勢さんだった。



「え…へっ!?」



思わず素っ頓狂な声がでて、皿を落としそうになった。



顔を上げて、玄関が目に入る。



そこに立っていたのは、よく目立つ銀髪。



着流しに腰に差した木刀、気だるそうなたたずまい。



「バーさん、なんか出して」



彼はそう言うと、カウンター席に座った。



――――――この人だ、やっぱりそうだ。



あの時の、彼。



トクントクンと波打ちだした心臓を押さえて、私は小さくうつむいた。



彼を見れただけで幸せだ。



でも、やっぱりお礼がしたい。



「金も払わねー奴に何出すってんだい」



「あ、あのっ」



ギロリと彼を睨み吠えるお登勢さんをなだめながら、控え目に声をかける。



一斉にみんなの視線がこちらに集まり、つい肩をすくめてしまった。



「これ、よければどうぞ」



彼のためにと買っておいたお酒。



おずおずと差し出せば、キョトンとした表情をされた。



やれやれとキセルをふかすお登勢さんを横目に彼の反応を見ていれば



「マジでか!…つーか、新人か?」



嬉しそうにそれを受け取り、不思議そうにもう一度お登勢さんに向き直っていた。



…やっぱり私のこと、覚えていないのだろうか。



まじまじとこちらを見つめられて、つい顔が赤くなる。



それと同時に残念で、眉をしかめた。





――――――――あれは、ほんの一週間前のことだった。



夜、コンビニでバイトをしていた私が



仕事を終えて帰ろうとしていた時だった。



その時入り口でたむろしていた不良に絡まれたんだ。



『ねぇ、名前なんてゆーの?』



『すいません、疲れてるんで…』



囲んできた男の人達を振り切るように走り出そうとした私は



案の定、腕を掴まれた。


だけどその時だった。



丁度コンビニから出てきた彼―――銀時、って言うんだよね。



彼が助けてくれたんだ。



『ちょっとこの子借りてくわ』



掴まれていた腕をひょいと持ち上げ、あまりにも自然に手を引かれた。



驚いて何も言えなくて、それこそ彼はずんずんと前へ進んでいく。



『あ?んだテメー』



後ろからキレる男たちの声がしたけど、そんなのお構いなし。



殴りかかってくるかと思ったけど面倒だったらしい。



そのままコンビニから離れたところまで、私は手を引かれたままだった。



民家に入ったあたり、



『ありがとうございました』そう言った私に背を向け



ひらひらと手を振った彼は気だるそうに歩いていってしまった。



―――――ベタな出会い、だけど。



遠くなっていく背中を見つめて、高鳴る鼓動。



私は彼に、一目ぼれをしていた。







「夏、と申します」



ペコリと頭を下げれば「おう、銀さんだよろしくなー」と彼は言った。



私があげたお酒をさっそく開けて、コップについでいく。



銀さん、か。



彼にまた会いたくて、ずっと探して



ここにたどり着いた時にお登勢さんが言ったんだ。



『ここに居りゃ会えるさ』



その口車に乗せられてここで雑用をやらされてる私だけど、彼に会えたから言う事なし。



聞いたところ、ここの上の階で“万事屋銀ちゃん”という店を営んでいるらしい。



…う、うさんくさい、けど。



彼が、銀さんがやってるんだからしっかりした仕事なんだろう。



あの時の彼が目の前にいることに心臓がうるさい。



「…お前、さっきからずっとその皿拭いてね?」



「…え!?」



突然こちらを向いた銀さんは、私の手元を指差した。



ハッとして目を開く。



あまりにボーッとしすぎて一枚の皿を拭き続けていた。



不思議そうにこちらを見る彼に顔が熱くなって、持っていた皿をその場に置いた。



「わ、わたし…買出し行ってきます!」



「この時間に?」



スバッと突っ込む銀さんに口をつぐんでしまった。



「あ、でもお客さん増えてきたので」



丁度おつまみも無くなってきたとこだし。



とっさに言ったけど、本当に買出し行った方がいいかもしれない。



「ちょっと行ってきますね」とお登勢さんに言い、財布を持つ。



そのまま私は小走りで店をでた。















外ではセミの音が鳴り響いている。



星が出ていて空は綺麗。



「…せっかく会えても、全然話せないや」



とぼとぼと夜道を歩いて、そう呟く。



やっとか会えたんだけどなぁ、緊張しちゃう。



道に転がる石をコロンと蹴って、溜息をついた。



――――――「うわぁぁぁ!!」



外の時、夜道の奥から聞こえた叫び声。



男の人の、声。



ビクリとして肩を上げ、立ち止まる。



「やめてくれ!!」



もう一度聞こえたのは、そんな悲痛な叫び。



その後すぐに聞こえたのは――――ザシュッ



何かが切られるような、鈍い音だった。



ドクン、ドクンと心臓が鳴りだす。



体が震えだして、一歩後ずさる。



何…今の、音。



道の奥から聞こえた音、このまま前に進めば何があったのか分かる。



だけど怖くて、体が動かない。



どうしよう、どうしよう、どうしよう。



逃げなければ、そう思っているのに…気づけば前方から聞こえる足音。



暗闇に、不気味に何かが光った。



あれは――――刀だ。



「……っっ」



目こらせば相手が見える距離。



目の前に現れた人物に声がでなくなる。



「獲物を見つけた」



一本の血のついた刀を手にし、ニヤリと笑う男。



―――――最近、ちまたで辻切りが流行っていると聞いたことがある。



前に聞いた人切り仁蔵とは違う、無意味な殺し人。



きっと、そいつだ。



一歩一歩とこちらへ近づく男に、ついに体が動かなくなった。



…これだから、鈍くさい自分が嫌になる。



早く、早く逃げなきゃいけないのに。



相手と目が合ったままそらすこともできない。



冷たい風が背筋を通り抜ける。



こんなことなら、買出しになんてこなければ良かった。



拳を握り締め、目に溜まり出した涙をグッと堪えた――――…






「あー、思い出した」



その時、頭上で聞こえた低い声。



ぽんっと頭に乗せられた手。



溜まった涙がツーと頬を伝った。



「銀、さん…」



顔を上げれば、真っ直ぐに前を見る彼がいた。



もう一度ポンポンと頭を撫でられたかと思えば、銀さんはこちらを見た。



「お前、コンビニで絡まれてた奴だろ」



フッと口角を上げて、そう言う。



その笑った顔が本当にかっこよくて、つい見とれてしまった。



「は、はい!」



嬉しくて、大きく頷く。



思い出してくれたんだ。



嬉しくて嬉しくて、頬が緩む…だけど。



「獲物が増えたか」



ボソリと呟いた目の前の男に気がつき、再度顔を強張らせる。



そうだ、人切りが来ていたのだ。



…このままじゃ、私だけでなく銀さんもやられてしまう。



「銀さん、逃げてください」



相手に聞こえない様、コソリと彼に囁く。



この前助けてもらえたのだ、今回は私が助けたい。



だからといって私がこの男をなんとか出来る訳じゃない。



だけど少しでも力になれれば、彼を逃がす事でもできればそれでいい。



…それなのに彼は、一歩もその場を動こうとしなかった。



「銀さん?」



少し眉をしかめて隣を見る。



彼は無言で相手を見据えて、ゆっくりと腰にある木刀に手を伸ばした。



何を、する気なの?



彼を見ていても、刀を振り回す様には思えない。



温厚で喧嘩を好まないように見える…なんて、それはただの私のイメージ。



――――だけど、そんな私の考えは一瞬にして消え去った。



「人切りなんざ、人間のすることじゃねーぜ」



嘲笑したように口角を上げ、するりと木刀を抜く。



「ぎ…」



隣にいた彼を見て、“銀さん”そう彼の名前を呼ぼうとしたと同時



風がなびき、目の前の彼が消えた。



…一瞬の出来事だった。



ハッとして視線を前に戻す。



その時には既に、あの男は道に倒れていて



彼がゆっくりと木刀を腰に戻していた。



一体、何が起きたの。



「うーし、けーるぞ」



買出しなんて明日で大丈夫だ、そう言って頭をかきながらこちらへ戻ってくる銀さん。



「あ、あの…」



隣を通り過ぎていく彼に声をかければ、「あ?」と振り返る。



「今の、銀さんが?」



チラリと倒れた男を見てそう言えば、彼は気まずそうに目をそらす。



「物騒なもん見せたな、怖ぇか?」



困ったようにこちらから顔を逸らして、悪い、というかのような小さな声。



私は慌ててぶんぶんと顔を横に振り、「そんなことないです!」と声を上げた。



また、助けられてしまった。



こんな彼の一面に、また心臓がうるさく鳴り出す。



こちらへ背を向ける彼の姿がかっこよくて、胸がしめつけられる。



「何度も助けられて…すみません」



初めて会って、助けられて



追いかけてきて、また助けられて



迷惑極まりないよね、私。



申し訳なくてうつむいてそう言えば、彼が振り返ったのが視界に入る。



すると、またさらりと頭を撫でられた。



触れられた頭が熱くて、顔を上げられない。



「じゃ、お詫びとしてこれから俺に酌してくんね?」



けれど、そんな言葉を聞いて



勢いよく頭を上げてしまった。



「は…はい!よろこんで!」



夜なんか気にせず、大きな声でそう言う。



ニッコリと笑顔を浮かべれば、銀さんの手がこちらへ伸びた。



また頭を撫でられるのかな、なんて思っていたけど。



「…へ?」



後頭部に支えられた手で、グイッと彼の方へ引き寄せられる。



その瞬間、おでこに触れた、温かい何か。



「…酔ってるかも」



わしゃわしゃと頭をかきながら私の横を通り過ぎていく銀さん。



い、今のって・・・。



真っ赤な顔でその場に立ち尽くす私を動かしたのは



「夏、行くぞ」



少し頬の赤い、愛しい人の声だった。











――――――――――――――――――――


銀さんリク!!


久しぶりの銀さんに張り切りました(`・ω・´)←


シリアス・甘ということだったのですが…上手くできていたでしょうか;?


SYURA様、リクをくださりありがとうございました!


そして次回もよければリクしてください♪


そしてみなさん、読んでくださりありがとうございました^^





ポチッとしていただけると幸いです(/ω\)!



I LOVE 銀魂=夢小説ROOM=



次は定春様からのリクエスト


ラストです(^ω^)