リクエスト*高杉夢小説*会いたかった人 | I LOVE 銀魂~夢小説~

リクエスト*高杉夢小説*会いたかった人

HAPPY BIRTHDAY 高杉 о(ж>▽<)y ☆


と、いうわけで今日は晋ちゃんの誕生日です!


しかも今日のリクエスト小説が高杉だったというナイスタイミング( ̄▽+ ̄*)



第三回リクエスト企画


優鈴様からのリクエスト



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会いたかった人













「んー、いい天気」



広がる緑に、さえずる小鳥。



上を見上げれば、大きく広がる青い空。



のどかなこの田舎の風景が私はとても好きだ。



――――この大きな空を見ると、あの人達を思いだす。



ばらばらになって去って行ってしまった、あの人達を。






――――――――みんな、今頃何してるんだろうな。



1人分の洗濯物を干しながら、そんなことをふと思う。



昔はよくここで遊んでいた。



銀ちゃんと、小太郎くんと…晋ちゃんと。



決まって銀ちゃんは松陽先生を引っ張ってきたりして。



この空の下、みんなで遊んだんだ。



そして、あれからいくつも年を重ねた。



攘夷戦争に行ったっきり、私の前には姿を現さなかった3人。



…きっとあの人達のことだから生きてる。



私はそう信じて毎日、いつかみんなに会えることを夢みていた。



―――松陽先生は、もうこの世にはいない。



ここに私の知る人は誰一人としていなくて。



父も、母もいない。



もともと一人っ子だった私は、ついに一人ぼっちになってしまった。



彼等が生きていれば、別なのだけど。



姿を現さない分私は、一人だ。



「…よし!っと」



すると、洗濯物の最後の一枚を干し終えた時だった。



プルルル―――…そう、家の電話が鳴り響いた。



私は慌てて洗濯カゴを持ち上げ、玄関へ向かう。



居間へ駆けて、鳴り続ける受話器を手にとった。



「はい、癒希(ゆき)です」



『……』



元気よく名乗った私とは違い、受話器の向こうは静かだった。



何も言わず、しんとしていて。



間違い電話かな?そう思ったけれど、もう一度私は声をかけてみた。



「あの…どちら様でしょうか?」



そっと、受話器を両手で掴んで問いかけてみる。



少しの沈黙があってから…低い、男の声がした。



『…高杉だ』



頭の中に響く、その声は確かに“高杉”だと言った。



まさか、なんて。考えすぎなのかな。



さっきみんなのことを考えていたから、そう思ってしまうのかもしれない。



だから、違う。同じ名前の…違う人だよ、きっと。



そう思うのに、私の体は素直で。



…自然と口が動き出していた。



「晋、ちゃん…?」



ポツリとつぶやけば、何故か頬を雫が伝った。



そうだよね、声が似てる。



似てるんじゃない、彼の声なんだ。



『江戸から帰ってきてる』



ボロボロと涙がこぼれて何も返せずにいる私に



彼はそう言って、すぐに電話を切ってしまった。



慌てて「あっ、晋ちゃん!?」そう叫んでも、電話が切れたむなしい音が聞こえるだけ。



“江戸から帰ってきてる”…?



ガチャリと受話器を置いた私は、着物の袖で涙を拭った。



彼が…晋ちゃんが、生きていた。



今、ここに帰ってきてる。



慌てて玄関に出た私は、全速力で家をでた。



―――――――嬉しい、嬉しい嬉しい!



昔、心の中にしまった想いが少しずつ熱を帯びていく。



心臓が高鳴って、頬が染まっていく。



早く会いたい、彼に…今すぐに。



ずっと広がる草原を駆け抜ける。



人一人いないその場所に――――…彼は、立っていた。



強く、風が吹く。



横に流れる髪を耳にかけて、私はその場に立ち止まった。



「…久しぶりだな、癒希」



どこか心を鷲づかみにされるような、低い声。



鮮やかな着流しを身にまとい、さらさらと揺れる紫色の髪。



ニヒルに上げた口角。



片目には眼帯がつけられていて…あの時よりも随分と、大人だった。



変わらない綺麗な容姿に、つい見とれて立ち尽くす。



たまらず思いが募って、目頭が熱くなった。



やっと、会えた。



ずっと会いたかったんだ。



「晋ちゃん!」



勢いよく走り出して、彼の前で止まる。



目が合えば、目を細めて笑みを浮かべる彼。



「…久しぶり、私――」



やっぱり、こらえきれなくて涙がでた。



それでも明るく再会したくて、ニッコリと笑って見せた時。



「えっ…?」



急に視界が真っ暗になって、目を見開いた。



気づけば、目の前にいる彼に強く抱きしめられていて



私の首元に顔をうずめ、小さく囁いた。



「…会いたかった」



胸を締め付けられるような、甘い声。



囁かれた耳元が熱くて、思わず頬が赤く染まっていく。



驚いて、言葉を返す事も出来ない。



ただ体を固まらせて抱きしめられる私に、彼はまた口を開く。



「癒希…?」



名前を呼ばれて顔を上げれば、そっと体が離れる。



だけども距離は近くて、私はポーッと彼を見つめたまま。



なんでこんなことになってるんだろう。



ポカンと見上げる私に、ククッと喉を鳴らす晋ちゃん。



「変わらねぇな、なんにも」



そっと頬を支えられて、どこか甘い視線で見つめられる。



「なんで、いきなり帰ってきたの?」



頬を支えていた手は優しく頭を撫でる。



ポツリと呟いた私の言葉に彼は口を開いた。



「無性に会いたくなった、癒希に」



語尾を囁くように言った彼は、目を細める。



驚いて目を見開いていると彼の顔が近づいた。



グッと頭を引き寄せられる。



…一体、何をしようとしてるんだろう。



それより――…あ、そうだ!!



「ねぇ!みんなは!?銀ちゃんと小太郎くん!」



いきなり大声を上げたからビックリしたのか、こちらから離れて目を見開く彼。



数秒間ほどの沈黙が流れると、晋ちゃんは不機嫌な表情になった。



ムッとして私から目をそらし腕を組む。



「…空気読めねーのかお前は」



ボソリと呟くように怒った言葉に、キョトンと頭をかしげる。



え…空気読めないって、何が?



目をパチクリとさせて彼を見ていても、目を合わせてくれない。



「別に、生きてる…どーでもいいだろ」



面倒くさそうにそう言えば、こちらをチラリと見た。



「ど、どうでもよくないよ!…でも、生きてるんだ。よかった…!」



3人とも、生きていた。



江戸のどこかでそれぞれ生活しているんだ。



…だったら、連絡くらいくれてもよかったのに。



だけどもすごく嬉しくて、自然と顔がほころんだ。



中でも晋ちゃんが…晋ちゃんが会いに来てくれたことが一番嬉しい。



“無性に会いたくなった”なんて、昔から彼は口が上手い。



「そうだ、お腹減ってない?食べて行ってよ!」



そういえば、と顔を上げる。



いつ3人がお腹を空かせて帰ってきても大丈夫なように



ずっと料理を練習してたんだ。



だから、ぜひ食べていって欲しい。



顔を見上げてニッコリ笑い、彼の手を握る私。



そのまま引いていこうとした―――――けれど、



握り合った手を、何故かまた彼の方へ引かれてしまった。


「わっ…」



思わず声を上げれば、気づけば彼の腕の中。



…まったく、女慣れをしているというのがよく分かる。



私と晋ちゃんは幼馴染で、私は晋ちゃんが好きだ。



昔からずっと、長い長い恋。



だからそんな遊びのようにこの想いを壊したくは無い。



複雑な気持ちで眉を寄せれば、彼は抱きしめる力を強くした。



そして、あの甘い声で、囁いた。



「…ずっと好きだった」



ストンと、心の中に落ちてくる言葉。



嬉しいのに、体は素直に熱くなるのに



「―――嘘だ」



また私を騙して遊んでるんじゃないかと疑って、そんな言葉がでた。



バッと彼から離れて顔を見上げる。



キョトンとこちらを見る彼を睨んで、目をそらした。



「もう騙されないよ。江戸でもそうやって遊んでたんでしょ?」



フンと口を尖らせれば、彼は喉を鳴らして笑った。



ほら、すぐ笑うもの。



馬鹿にして笑うこの笑みが――――嫌いで、好きだった。



私をからかって、私が怒れば笑って頭を撫でてくれる。



最後には「悪ィ」と、馬鹿にしたようにだけど謝ってくれるのだ。



――――…だけど、今回は違った。



頭を撫でられるまでは一緒。



くしゃくしゃと髪を乱されて、彼を見上げる。



口角を上げた彼の顔が、ゆっくりとこちらへ近づいた。



そして、コツンとおでこをくっつける。



目を開いて固まる私とは裏腹に、余裕の笑みを浮かべて



「嘘じゃねーよ」



そう言って、キスをした。










「今度は2人も連れてきてね?」



家に入り料理を作った私は、彼にそう言ってみた。



「…無理だな」



こちらからそっぽを向いてそう言う彼に、頭をかしげる。



――――それを知るのはきっと、今じゃないんだろう。



いつか、私にも知る日がくる。



「そういえば晋ちゃん」



「あ?」



「…誕生日、おめでと」



忘れてたけど、8月10日だったね。







――――――――――――――――――――



無理やりのおめでとうでしたね(*^▽^*)←


優鈴さま、リクありがとうございました!


よければ次回もリクしてください♪


そして読んでくださったみなさん、ありがとうございました!!



晋ちゃんおめでとう~!ポチッ



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次はSYURA様からのリクエスト