リクエスト*桂夢小説*そんな人だから | I LOVE 銀魂~夢小説~

リクエスト*桂夢小説*そんな人だから

第三回リクエスト企画


もなか様からのリクエスト


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そんな人だから









丸い月が夜空を飾る。



物静かな道を1人歩けば、近づく古びた建物。



閉められた障子の窓からは明かりが差し、中からはかすかに人の声が聞こえる。



「もう集まってるんだ」



ポツリと呟いた私は、被っていた傘帽子を少し傾けた。



―――今日は桂さん率いる攘夷浪士の集まる日。



早めに来たつもりだったんだけど、もう来てる人達もいるんだ。



久しぶりに着る袴。



いつもは着物で過ごしてるから、なんだか着心地が悪い。



攘夷浪士の身、そんなことは言ってられないのだけれど。



「みなさん、お久しぶりです」



ガラリと襖を開け、元気よくそう挨拶をする。



女性こそいないが、みんないい人達……だ。



「おーう、詩織!久しぶりだな!」



「もう始めてるぞ~」



…やっぱり、前言撤回。



目の前に映るのは、真っ赤な顔で焼酎やらビールやらをかがげる男共。



中はすでにお酒臭くて、まるで宴会のような状態になっていた。



「…今日って、なんの集まりなんですか」



話し合いとか、そういうのじゃないの?



え、何。誰かの誕生日パーティーとか?



ふつふつと湧き上がる怒りを抑え、真顔で傍にいる浪士に問えば



「いつも通り、攘夷について報告しあう会だろーが!」



―――お酒特有、怒り口調で一升瓶をかかげた浪士を



スパァァンと良い音を立てて叩いた。



「馬鹿か!結婚式でハメはずした親戚のおじさんかお前は!」



なんなのだ、攘夷浪士ってなんでこんな。



もっとピシッとしてて、武士らしいものだと思っていたのに。



こんなにたるんでいるとは…



それもこれも、すべてあの人のせいだ。



「桂さん!!」



桂 小太郎



あの人の…いや、あいつの!!!



わいわいと騒ぐ浪士に紛れた、長髪のあの男。



あやつこそ、この中のリーダー…狂乱の貴公子、桂小太郎だ。



名前を呼びかけた私に笑顔で振り向いた彼。



「久しぶりだな、しお――…」



“り”と私の名前の最後の言葉を言わせる前に、得意技のとび蹴りを決めた。



ドシャァァァという音を立て飛んでいった桂さんを気にすることなく、浪士達はお酒を飲み進める。



まったく、せっかく会って報告会だというのに。



せっかく…桂さんに久しぶりに会えたというのに。



私はお酒の匂いが嫌いだ。



こんな場所に長時間もいたくない。



「あ、相変わらず元気だな」



いたた、と頭を抑えながら立ち上がった桂さんを見てムッとする。



「私…帰ります」



うつむけば、口からでた言いたくもない言葉。



正直、またいつ会えるかわからない桂さんの傍にもう少しいたい。



でも、お酒の匂いにそろそろ頭がフラフラしてきた。



とび蹴りのときに落とした傘帽子を拾い上げ、彼に背を向ける。



まだドンちゃん騒ぎを起こす浪士達の間を通ろうと…足を踏み出したとき。



「待て」



掴まれた右手に振り向けば、優しい顔をした桂さんがいた。



そのまま手を引かれ、すぐ傍にあった襖を開ける。



ふわりと風が入ったかと思えば、そこはベランダとも言える場所だった。



キョトンとしたままそこに出ると、桂さんは襖を閉める。



先程までの空間とは別世界のように静かで、かすかに男共の騒ぎ声が聞こえた。



「確か、酒の匂いが好きではなかっただろう」



ここからは、綺麗な月が見える。



隣から聞こえたその言葉に顔を向ければ、負けないくらい…綺麗な顔立ちをした彼がいる。



―――あれは、初めてこの攘夷浪士に仲間入りした時のことだった。



歓迎会が開かれ、お酒の席になったとき。



『私、お酒が苦手で…匂いでもダメなんです』



そう言った私の言葉を聞いていたのか聞いていなかったのか



浪士達は無理やりに私にお酒を飲ました。



そのとき、慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた桂さんを覚えてる。



でもその時はもう目が回ったようにフラフラ状態で、かすかにしか覚えていない。



だけどその後、体調の悪くなった私を…彼は、桂さんは歓迎会に参加せず



ずっと看病してくれたのだけはすごく鮮明に覚えている。



あの頃から私は桂さんの傍にいたいと心から思った。



浪士としてもそうだけど…1人の、女としても。



叶う可能性なんてない、とそう分かっていながらも。



「はは…すいません、私少しここで休んだら帰るので、桂さんは行ってください」



またここで桂さんを引き止めてしまったら、あの時と同じ。



桂さんだってお酒が好きなんだから、迷惑をかけてはいけない。



だけども、彼は口角を上げて私を見た。



「いや、もう少しここに居たいのでな」



酒はあとでいい、そう言いながら空を見上げた桂さん。



さらりと長い黒髪が風にゆれる。



かっこいい、と思わず呟いてしまいそうになり



ハッとして顔をうつむかせた。



…ここに、居たいだなんて。



勘違いするようなことを言わないで欲しい。



「いいんですか?本当に。というか、なんでみなさんお酒飲んでるんですか」



チラリと後ろから聞こえる声を一瞥してからそういえば



桂さんはあっけらかんと答える。



「飲みたいからだろう」



「…いや、それでいいんですか」



おい、と突っ込むように彼を睨む。



だけどもフッと口角を上げて笑った桂さんは、そのまま言葉を続けた。



「そういう、息抜きの日も必要だ」



ただでさえ、真選組に追われ…肩の力を抜けない日々。



毎回堅苦しい報告会を繰り返すなど、息が詰まるだろう。



だからこそ、こんな日が必要なのだ。



そう、彼は言った。



――――――そうなんだよね。



私は、彼のこんなところに惚れていたのだ。



いつもは馬鹿みたいにふざけてばっかで



ドがつくほどの天然ボケ



攘夷志士たちのリーダーとは思えないような彼なのに



一度刀をふらせて見れば、怖いものなんてなくて



こうやって密かに浪士達のことを思っていて



誰よりも優しい心を持ってる。



だから…そんな彼が率いるこの攘夷志士を、私は好きでいるんだ。



――月明かりが当たる、綺麗な横顔をチラリと見る。



そして、心の中で…そっと呟いた。



「そういうとこが、好きなんです…桂さん」



誰よりも、尊敬しているそんな彼を―――…って、え?



前を見ていた私は、ハッとして彼を見た。



すると、キョトンと目を丸くしてこちらを見る桂さんの姿。



ほんのりと顔が赤くて、私はポカンと口を開けてしまった。



待って、もしかして私今…口に出して言ってた?



外の空気に冷えていた体が、徐々に熱くなる。



彼と視線が合ったままそらすことのできない私は、カチンと硬直状態。



い、言ってしまった…この声をだして。



あわあわと赤面していく私に、やっとか視線をそらしたのは桂さんだった。



そしてコホンと咳払いをした彼に、やっとか硬直状態の解けた私は口を開いた。



「ちっ違うんです!今のはそのっ、わ、私


桂さんみたいな年中ふざけてる人、好きになんかなりませんし…あの、その」



開いた口は閉じず、べらべらと言わなくてもよい言葉を発していく私。



素直に、今のをそのまま告白にしておけばよかったものの。



頬が熱くて彼から顔をそらす。



「あ、あああほらっ!月がすごくきれ――…」



慌てて空を見上げ月を指差し、話題を変えようとした。



その時、肩にそえられた手。



そのまま右側に体を傾けられ、誰かに肩を抱き寄せられた。



「今の、告白かそうでないかはっきりしてもらいたいのだが?」



距離が、近い。



頭上で聞こえたのは桂さんの声。



何故かその彼に肩を抱き寄せられていて、そんな言葉をかけられる。



一気に心臓が鳴り出した私は、うつむいた。



「べ…別に、どっちでも無いです…けど」



つくづく、素直じゃない。



ボソリと呟いた私に、桂さんの笑い声が聞こえた。



「そうか――…なら、俺から言わせてもらう」



何を言い出したかと、顔を上げる。



“俺から言わせてもらう”?



どういうことだ―――そう思ったときには、もう



息を止めてしまうほどの数センチの距離に、彼がいた。



「俺は、詩織が好きだ」



すっと細めた瞳でそう囁けば、優しく唇が触れた。



驚いて目を見開いた私を気にすることなく



甘く触れ続ける、長いキス。



ドキドキして、胸が苦しくてギュッと閉じた瞳。



冷たい風なんて感じさせないくらい、熱い体温にそのまま身をまかせた。



今、桂さん…言ったよね?



“好きだ”って。



頭の中で繰り返すその言葉に、顔が熱くなる。



今も触れ続けている唇に恥ずかしさを覚えた。



「んっ…」



苦しくて、彼の肩を叩く。



そうすれば、名残惜しそうにゆっくりと彼は離れた。



「っはぁ…桂さん、あの…」



肩を上下させながら、2人の吐息は混じり合う。



まだキスをできそうな距離から離れない彼は、そっと私の頭を撫でた。



「…何か問題でもあるか?」



思わず顔が熱くなるような甘い声色で、そう囁く。



風に遊ばれる長髪が顔にかかってくすぐったい。



見つめ合っているのが恥ずかしくて思わず目をそらした私は



そのまま、小さな声で想いを告げた。



「私も、好きで…んっ」



最後まで言う前に、彼はもう一度私の口を塞いだ。



“知ってる”というかのように熱く触れ合ったキスに



いつのまにかお酒のことなんて忘れていた。







「たまにはこんな息抜きも必要だな…週に7回は」



「…それ、毎日です」



うんうんと頭を頷かせる桂さんに



私はクスリと笑みを零した。








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とりあえず、もなか様。


すいません!!!!!←いきなり


ツンデレじゃねーじゃん!って感じですよね!?


申し訳ないですo(TωT )


でもヅラの小説は初だったので楽しかったです!


リクありがとうございましたヾ(@^▽^@)ノ


リベンジしたいので、よければまた次回リクしてください><♪



読んでくださった皆様、ありがとうございました!



ポチッとしていただけると幸いです(/ω\)!



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