最近、有吉佐和子の「和宮様御留」を久しぶりに読み返しました。

終焉に近付きつつあった江戸幕府が、孝明天皇の妹、和宮の降嫁により公武一和を計ろうとした際の秘話をモチーフとした、長編小説です。

改めて感じたのが、
公家ことばの美しさ。
そして面白さ。

沢山ありますが、
例えばこんな感じ・・・。


「お冷やのおずる」=「冷やし素麺」
「おすそ・おみや」=「足」
「おひろい」=「歩くこと、徒歩」
「くこん」=「お酒」
「おとう」=「御手洗い」
「しずまる」=「就寝する」
「けもじ」=「奇妙な」
「むつかる」=「泣く」
「おしまい」=「お化粧」
「おぬる」=「熱」
「おするすると」=「差し障りなく」
「おさじ」=「主治医」
「すずしろ・からもの」=「大根」
「おまわり」=「おかず(副菜)」
「おひなっていただかされ」=「起きて下さい」


ごく一部の人々の間とは言え、
150年ほど前の日本ではこんな言葉も使われていたのですね。

今はもう途絶えてしまったのでしょうか。

雅やかだなあー、と思いました。



追記:この小説の秀逸な点は、一見華やかに見える皇妹降嫁の大舞台の陰で、犠牲にされた名も無き女性の精神崩壊の過程を残酷な迄に描いているところ。太平洋戦争における特攻隊の青年たちと何処か重なります。