子宮平滑筋肉腫
子宮筋腫という良性腫瘍の診断で手術をしたところ,
病理組織検査で実は,
肉腫という悪性腫瘍であったという,
婦人科領域では時折経験するパターン.
その後,多発肝転移,多発肺転移出現し,
大学病院での抗がん剤治療,
がん専門病院での臨床試験と治療は続いたが・・・
残念ながら,いずれも効果を認めることはなく,
「あとは緩和」の宣告となる.
当院受診時には,PET-CTにより
多発肝転移,多発肺転移,膵転移,腹腔内リンパ節転移が
指摘されていた.
さて,当院での低用量抗がん剤治療を導入し,
先の「あとは緩和」の宣告から,
なんやかんやで1年半が経過した.
以前にも言及したが,
細胞の分裂速度の早い肉腫の場合,
抗がん剤が“当たる”と治療に対する反応は早く,
治療効果を確認しやすい.
逆に,分裂速度のゆっくりとした腫瘍で,
しかも,腫瘍マーカー等のサロゲートマーカー
(surrogate marker:代用マーカー)が
病態把握の指標になりにくいような症例だったりすると,
低用量抗がん剤治療が,効いているのか効いていないのか
判別しにくかったりする..
がん診療を進めて行く上で,
“腫瘍の増殖スピード”のことは,
常に頭の中をぐるぐると回っている.
★φ(-_- 。)・・・
※当院での低用量抗がん剤治療症例が
2012年4月の時点で総数400症例を超えました.
その中からの経験症例を少しずつ紹介していきたいと
思います.
※低容量抗がん剤治療・・・
細かいことをいうと微妙な定義の違いはあるようですが,
当院ではがん休眠療法,メトロノミック療法と呼ばれて
いるものとコンセプトは同じと捉えています.
本ブログでは低用量抗がん剤治療の呼称を使用します.
※当院の治療は,同一がん種においても使用する抗がん剤の
内容・投与量は個々の患者さんの病態・治療歴・その他の
諸条件により様々です.
そのため,提示した患者さんに行っている薬剤使用法が,
ブログをご覧頂いている患者様にそのまま適用できるという ものではありません.
読者の皆様に,そういった誤解を与えないために本文中では
使用薬剤についての記載を省いてありますことをご了承くだ
さい.
2012年4月
銀座並木通りクリニック
http://www.ginzanamiki-clinic.com/