物語図化法コンサルの古謝です。

ブリジストンが発表した「エアフリータイヤ(空気を入れる必要がないタイヤ)」の続きです。
100年以上も基本構造が変化していない「空気入りタイヤ」を別な方法で実現しようとするわけですから、一筋縄では行かないんだろうなってタイヤのことなんて考えた事もない私にも想像つきます。だから、ここに盛り込まれている技術全てを理解しようとも思いません。

でも、ただの紹介記事ではすませたくなかったのです。
何故かというと、そこには「曲がりを防止する」技術が盛り込まれていることを直観したからです。

タイヤに求められている事って沢山あるし、タイヤの部材によっても求められていることが違います。ここでは、内部の空気が関連することに限定しましょう。ひと言でいうと「乗り心地」なんでしょうけど、そのために、①「振動を吸収する」そのために②「圧力を受けた時、適度に変形する」③「圧力がないとき、円形に戻る」④「振動を減衰させる」みたいな関連がありそうです。

私が着目したのは②「圧力を受けた時、適度に変形する」です。
自転車や自動車のタイヤを想像してみます。凸凹道を走っているとき、小さな石ころがあっても気になりませんが、大きな段差があるとグンッて踏ん張る感じがありますね。

ということは、「小さい圧力のときには、圧力に応じた変形をするけれども、大きな圧力を受けたときには変形しにくくなる」と表現されそうです。だって、車が段差を超えるときホイールにガツンなんて当たることないですもんね。

だから、多分タイヤに加わる圧力とそのときのタイヤの凹み(変形)の関係は下図のようになりそうです。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-タイヤ変形特性

圧力が小さいときには圧力と凹み量が比例しているけれども(変曲点手前)、圧力が大きくなると凹み量はどんどん小さくなる(つまり踏ん張ってくれる)。

そこで、エアフリータイヤが角部(段差)を超えて行く時の映像を見たとき「なるほど!!」って関心してしまいました。これです。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-AFT乗り越え拡大

角の右上あたりに、フニャっと左に傾いた三角形が見えますよね。これって、この記事に書いた「トラス構造」でしょ。
http://ameblo.jp/gijutsu-mieruka/entry-11189016312.html

ということは、まさに今角部(段差)を乗り越えようとしているとき(=大きな圧力がかかったとき)のエアフリータイヤの内部にはトラス構造が形成されていて「それ以上変形するのを防いでいる」ということですよね!

モデル的に描くとこんな感じかと。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-AFT初期状態
ほとんど圧力がかかっていないとき、スポーク同士の間隔が開いているのでスポークの可動範囲がおおきい(黒い矢印)=小さな圧力でも簡単に凹む。

石ころみたいなものを踏んで、ある程度変形量が大きくなると…
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-AFTフレキシブルトラス形成
隣のスポークと接触して、傾いたトラス構造を作る(左に傾いた赤い三角形)。すると、それ以上の力が加わっても変形量がぐっと小さくなる。

大きく変形してもいいとき=トラス構造なし
変形を小さくしたいとき =トラス構造形成


というように、材料形状と配置の工夫で自動的にトラス構造をコントロールするように出来ているんですね。私はこの構造に勝手に「フレキシブルトラス構造」って名前を付けました。

これは凄い!!
本当によく考えられてるなぁって関心したのでした。