優秀な技術者の観察力

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技術の見える化スペシャリストの古謝です。

初めにのところで、優秀な技術者に共通の特徴として「優れた観察力」のことを書きました。
このことをもう少し考えてみます。

広辞苑で「観察」を調べると「物事の真の姿を間違いなく理解しようとよく見る」と書いてあります。そうなんですね。「間違いなく理解しよう」とする姿勢が重要なんだと私も思います。「仮説に基づいて見る」と言い換えてもいいかも知れません。

優秀な技術者が何かの技術問題を解決しようとするとき、必ず何かの仮説を持っていました。たまに虚心坦懐に見ることが重要ということも耳にしますが、こと技術に関して私は賛成できません。

「モノの身になったつもりで考えろ」という人もいました。検討している物質を「このヒト」と呼ぶ人もいました。どちらも「間違いなく理解しよう」とする姿勢の現れだったのかなって勝手に想像しています。「自分がこの材料だったら、ここを通るときちょっと痛いかも」なんて仮説をイメージし易くなるのでしょう。

擬人化することで、自分自身が検討している技術の場面そのものの一部になったように感情移入できるのではないでしょうか?慣れないとちょっと照れるのですが、自分自身がそこのメンバーの一人になったつもりで見ることで、それまで見えなかったことが見えてくることもあるような気がします。
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ヒラミヤさんでのびっくり3

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技術の見える化スペシャリストの古謝です。

ヒラミヤさんからの公開OK情報の続き、この事例の最後になります。

前回の記事で、極板のタール汚れ具合を①=(1.5~2)×②くらいかなって想像しました。
ホントのところどうだったか?こうでした。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-極板のタール付着

端っこ①の汚れが一番というところは合ってますが…
これはどう見ても②の5倍以上は色が濃い(汚れている)ですよね。
みんなでびっくりしました。

前日に推定したことはハズレでした。
でも、あの気流の図を作らなければ、この汚れ度合いの差に気づかなかったのです。

画像を見た人は「何でこんなわかり易い色の差に気づかなかったの?」と疑問に思うでしょう。
でも、発見のきっかけなんてそういうものなんです。

タバコのタールっていわゆる「ヤニ」です。とにかくメチャクチャ臭い!!
検討メンバーは私を含め全員非喫煙者です。気持ちの上ではヤニがべったり付いた極板なんて見たくないんです。だから、確かにヤニがベッタリくっついていることがわかれば「もういいや。早く片付けよう」って思ったのかも知れません。

でも、自分が想像したことを図に表現して、①=(1.5~2)×② という半定量的な基準を設定することで、「実際の汚れ方はどれくらい違うんだろう?」っていうように視点がフォーカスされました。こういうように見るポイントが明確になることが大事なんだと思います。

これ以降の具体的な進め方は記載できませんが、大きな方針転換の一歩になったことは確かです。
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ヒラミヤさんでのびっくり2

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公開許可をいただいているヒラミヤさんでのびっくりの続きです。

物語イメージ法では「そのモノになり切って考える」ために、主人公(or主役)を取り組み範囲の中から決めます。この事例では、なくしたいものということで「粉じん(≒タール)」と決めました。
※きれいにしたいものの方を取り上げて「空気」としてもOKです。
この主人公がある場面でどんな振る舞いをするか、あるいはどんな現象を起こすかを想定します。

そのとき重要なキーワードは「変化」です。
そして、起きている変化を手触り感を持って推定するために図を描きます。
重要キーワードは「エネルギー・力」「流れ」「分布」です。
説明だけだとややこしいですが、そのときの図はこんな感じです。

$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-気流分布推定

<考えたこと>(キーワード:流れ、力、分布)
⑴ファンの位置等から、集塵ユニット両端の気流が中心部より強い
⑵端の2枚の極板①②の気流の強さの差は1.5倍~2倍程度
⑶付着するタールは通過する気流の量(強さ)に比例する
⑷だから、極板に付着したタール量は①≒(1.5~2)×②

⑷を図にするとこんな風になります。
$観察力/想像力を鍛える図化のブログ-汚れ度合い推定


このとき、まだ測定はしていません。(実は手段がなかったのですが)
なので、上記⑴~⑷は完全に想像の世界です。特に⑵⑷の定量値なんていい加減です。
でもいいんです。
まず、自分の頭の想像力を思いっきり働かせておいて、それから観察や測定をやると…
見えてくるものが違って来ます。

こうやって、いい加減でも何でも「図を描く」ために考えることで、思考がフォーカスされます。
このいい加減な図がホントにそうなのかどうか知りたくなります。

そうやって、もう一度極板の汚れをよーく見てみました。
その結果は、また明日ということで…


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ヒラミヤさんでのびっくり1

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物語イメージ法について、能書きを並べるよりもまずは実例からご紹介しましょう。

ヒラミヤさんでタバコの煙用の空気清浄機の集塵能力アップを検討していたときのことです。
(ヒラミヤさんから公開許可を頂いた記事です)
この空気清浄機の基本原理は静電吸着です。
タバコの煙を吸い込むわけですから、極板にはタールが付着します。
タールが付着している様子の画像がこれです。
アルミニウムの極板にタールがべったりとくっつき、茶色く変色しているのがわかります。
当然、非常に臭いです。

観察力/想像力を鍛える図化のブログ-極板全体

あまりの臭さに、ヒラミヤの方達と「いや、凄いですねぇ」というだけで早々にしまい込みました。
そのとき見たのはその程度でした。



はじめまして。
技術の見える化スペシャリストの古謝です。
(ちょっと照れる肩書きですが…自分で付けてみました)
私は富士フイルムという化学品メーカーで10年以上、件数にして150件くらいの研究開発をお手伝い(支援)してきました。その中で「優秀な技術者に共通な進め方」があることに気づきました。それは「図を使って考えている」ということです。それによって、彼らは鋭い「観察力」手に入れていました。

このブログで目指していることは「優秀な技術者の観察力」を誰にでも身につけられるようにすることです。

もう一つ気づいたことは「優秀な技術者に共通の進め方」を広めることは優秀な技術者に任せられない(こともある)ということです。何故か?それはその進め方が彼らにとって「当たり前」だからです。「現象をしっかり観察しろ」なんて確かに当たり前なんですが、必ずしも誰にでもできていないものです。そして、この当たり前の進め方はどこにも書かれたものがないこともわかりました。私はこの進め方を再整理して「物語イメージ法」という名前を付けました。

現在、「物語イメージ法」を使って川崎にある株式会社ヒラミヤというところで「喫煙ブース」の開発をお手伝いしていて、ほとんど毎会合何かしら新しい発見があります。ヒラミヤさんに公開許可を頂いた会合内の「びっくり」も交えながら「物語イメージ法」の紹介をし、いろんな方達と意見交換が出来ると嬉しいです。