【夏の思い出2010】フジファブリックのフジフジ富士Qに行って来たよ!part.1 | ダイノジのエンタメ情報blog

【夏の思い出2010】フジファブリックのフジフジ富士Qに行って来たよ!part.1

“ミスチルのドラムの人に似てますね”と言われました、佐藤です。
なんでも、笑った時のあのなんともいやらしい顔が似ているそうですよ。

・・・そんなことはさておき、

今年の夏も数々のイベントに参加して頂きありがとうございました。

9月も、7月・8月以上に盛り沢山の内容となっておりますが、
ここで少しこの夏を振り返るレポートを更新していきたいと思います。
まず取り上げるのは7月17日に開催されました“フジフジ富士Q”

すっかりダイノジのDJでも定番曲となっている「銀河」や「虹」といった
数々の名曲や迷曲たちを世に放ったフジファブリックですが、
昨年末、ボーカルの志村さんが突然この世を去りました。

それから約半年、その志村さんの故郷で開催されたこのライブには、
全国から(それこそ海外からも!)実に16000人もの人が集まったわけですが、
その公演を見ることのできなかった人も多くいたかと思います。

このレポートは当日の事をこれでもかという程に細かく書いています。
諸事情で会場に行けなかった人にはあの場所の空気を感じて頂き、
会場にいた人にはあの出来事を追体験できるような内容となっていますので

このやたらと長い文章にお付き合い頂ければと思います…。
(ほんとにクソがつくほど長いので4回に分けて更新します。)


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当時15歳の少年であった志村正彦が、ミュージシャンを志すきっかけとなった出来事が、彼の故郷である富士吉田市、富士急ハイランド内のコニファーフォレストで開催されたコンサートに出演していた奥田民生のステージを見たことであることは、ファンの間ではすっかり定着しつつある。
(どうしても前で見たくて何度も警備員につっかかったらしい)

その同じ場所で、フジファブリックが2010年7月17日にライブを行うことは、実に半年以上前から決まっていたことなのだが、決して短くはないその半年間の間に、その特別さはそのままに、より多くの人の想いと願いを背負う形での開催となった。

そんな特別な日に、梅雨明けが発表され快晴となった富士急ハイランドでは、場内のBGMとして、至る場所にあるスピーカーからフジファブリックの曲が流れていた。アトラクション乗り場、レストラン、更にはお土産売り場にもか細い志村の声が響く。

$ジャイアンナイトのブログ-fuji1

一見、いつもと変わらぬ笑顔でお客さんの対応をする従業員の方々の表情にこそ、特定のアーティストの楽曲が流れるというその特殊さと、実際に集まった様々な柄のTシャツに、今日が特別な日であると感じていてくれていると、そう思うことのできる空気がそこにあった。この日は最後までそんな心が暖かくなるような瞬間がたくさん詰まった一日になった。

今回のチケットはライブの入場券と富士急ハイランド自体の入場も兼ねるものとなっていて、入口で公演のチケットを見せると戸惑う様子もなく「はいどうぞー」と係の人が通してくれる。たったそれだけの事が、どこかこそばゆい感じではあるがやはり嬉しくなってしまう。

ジャイアンナイトのブログ-fuji2

初めて見るコニファーフォレスト、駐車場の脇にあるその施設は想像してたよりも遥かにでかい!ゲートからステージまでまるで見世物小屋のような装飾で彩られ自然と気分もワクワクしてくる。

そんな会場でひとまず腹ごしらえ。とはいっても場内の飲食エリアには既にうんざりするような長い列ができていたので、ぱっと買える焼きそばと鳥のもも肉を骨付きのままスモークした食べ物を買って原っぱに座り込む。小高い丘のようになっている場所で、もも肉にかぶりつきながら人の流れをじっと見て考え事をしていたら…いつの間にか眠りに落ちていました。

はっ!と目を覚ますといい感じの時間になっていたので、チケットの券面を見て自分の座席に移動することに。すると、なんと最前列中央付近の良番!なんで自分ユニコーンのTシャツ着てきてしまったんだろうと呆然としていると、映像では志村が民生さんのライブを見たときの話が。それが終わると演奏のみの「Laid Back」をBGMにこの日の出演者達が紹介されていく。この日はだだっ広いステージ上にフジファブリックの楽器がセッティングされていて、基本的に演奏はメンバーが行い、ゲストボーカルが2曲ほど歌って交代するという流れ。“基本的に”といったのは例外もあるからで、それはまた後程。

出演者紹介が終わると、開演を告げるSEの曲がスピーカーから大音量で流れる。

●SE:大地讃頌(富士吉田市立下吉田中学校 平成七年度卒業記念CDより)

ええとつまり、中学生の志村も歌っている卒業記念のCDが16000人がいる会場に鳴り響いたわけです。・・・もし、自分が死んだ後に同じ事されたら、実行に移した奴をどうにかして呪い殺すと思います。ここでこれ来るか…。と少し唖然としたものの「Sugar!」の初回DVDで聴けるこの曲より、富士吉田の地に鳴り響く「大地讃頌」はその空気にすんなりと馴染んでいたと思います。

続いてメンバーが順番に入場、サポートドラマーはもはや恒例の東京事変の刄田さん・・・が何故か坊主頭になっておりました。事変のツアーの方が終わってすっきりしたのかなと。そして、本日のホスト役のキーボード:金澤ダイスケのMCにて最初のゲストの名が呼ばれる。

●奥田民生 → 「桜の季節」

フジファブリックの1stシングルであり、1st ALBUMの一曲目である「桜の季節」。この曲をこの会場で鳴らすのにこれ以上の人物はないというドラマチックな開演となった。イントロのフレーズが鳴った瞬間のあの地鳴りのような歓声をしばらく忘れる事もできそうにない。



この曲を奥田民生が公で演奏したのは、2004年に行われたひとり股旅スペシャルが初。広島市民球場で、奥田民生が、それもたった一人で弾き語りを行った伝説ともいえる公演で、アジカンの「君という花」と並んで披露され、デビューしたてでまだ知名度もアジカン程は高くないバンドの曲を演奏したということで、その後もこの話は尾を引くこととなった。志村もこの時客席から見ていたようで、事前に何にも知らされていなかった彼こそがその能面のような顔の奥底では他の誰よりも驚き、そして喜んだのではないかと思う。

クリーントーンのギターとピアノが織り成す始まりを告げるような象徴的なイントロから始まるこの曲は、Aメロ→Bメロ→サビの繰り返しという一般的な曲構成を全く無視した流れで進んで行き、転調に転調を重ねるという、まさに最初から変態の極みであった事を痛感させられる名曲。

歌は全体的にのっぺりとした印象だが、最後のサビでの「おぉー!」だとか「そーぅ!」と感情が一瞬だけ表に出る部分は、作成時から民生の声を意識していたのではないのか?と思わせるほどのハマりっぷりで、目を細めて叫ぶ民生の声に背筋がぞくっとした。間奏で、2本のギターがオクターブ違いの同じフレーズを引くという場面があるのだが、民生と総くんが向かい合いながら、それでも志村と総くんの時のその距離より少し遠いのも微笑ましかった。

曲が終わると、そそくさと民生が引っ込もうとするので客席から非難の声。

すかさず、進行・司会役のダイちゃんが『民生さんにはこのあとまた出演して頂きます』と、あんまりあっさりと言うもんだから、じゃあスカパラの時に歌ったりするのかな?なんて考えていたのが甘かった。詳しくはまたその時に。

●安部コウセイ(HINTO) → 「虹」&「モノノケハカランダ」

さて、民生の楽器が片付けられるその間、ダイちゃんの若干ぐだぐだな進行で時間稼ぎ。準備が出来たところで、『さーて』と次のゲストに持って行くのもまだ慣れないご様子。でも、このフジファブリックの中でこんな進行任せられるの、ダイちゃんくらいですもの。

入場してきたのは、ビシっとスーツで決め、ハットを被り、胸にヒマワリを挿した男。不似合いな格好でも、腰に手をあて、小走りで入ってくるその挙動はまさに安部コウセイ。メンバーに挨拶をし、観客にも愛想を振りまいたところで、早速演奏に。刄田さんがカウントしようと意気込んだその時に、安部さんがマイクを通らないところで『ラブ注入!』と言って刄田さんを笑かそうとしたのを最前の人たちはしっかり目撃していました。

そして場の空気が和んだところで正式に始まったのは5thシングル『虹』!!!軽快なスネアのリズムに、逸る気持ちをぐっとおさえ込んだような一見平坦なメロが続き、サビのメロディではその鬱屈した空気を一気に解放したような爽快さが吹き抜ける。

これ、カラオケで歌うと分かるんですが、聴いている以上にメロディに高低差があってCDのイメージを表現しようとしても意外に苦戦する難曲であったりするのです。しかし、コウセイは歌唱について小手先の技術に頼るなんてことを全くせず、一番きついサビをきついまま苦悶の表情を浮かべながらの熱唱。うーん、いい!

そしてコウセイと総くんが向き合って『せーの!』で始まったイントロは「モノノケハカランダ」



叙情的な1st ALBUMと対照的に有機的な匂いのする2nd ALBUM『FAB FOX』の1曲目。ギターとドラムを中心に展開がくるくる変わっていく様は、まさに変化を繰り返す狐のよう。そんな人を喰ったような曲に、皮肉とユーモアたっぷりなコウセイの声はよく合う。終わってまた小走りで去っていくコウセイは憎めないキャラですね。多少の肉感はありますが。

●ハナレグミ → 「ダンス2000」&「ルーティーン」

そして今回一番意外な出演だったのがこの人、ハナレグミ・永積タカシさんの出演でした。いや、ただの自分の認識不足だと思うのですが、フジファブリックとの接点が思いつかなかったもので。でもそれもですね、「ダンス2000」を歌う永積さんを見た瞬間に納得がいった気がします。

『ヘイヘイ、ベイベー!』って本物が言ったらダメでしょ、終始鳥肌が立ちっぱなし。そして何より『いやしかし何故にぃー』の語感と“にぃー”って伸ばす余韻がハマり過ぎ。よれよれの服で中腰になり、ギターをかき鳴らすその姿にもそうですが、これには参った。誰かさんが歌うと肩透かしを食らう感じですが、この人の声のビートはいかんせん腰にクる!

今までずっとフジファブリックの変態曲って変態=志村が歌わないと成立しないと思ってたわけですが、そんなことなかった。少しだけ歌う人を選ぶけれど、どこに出しても決して恥ずかしくなんかない。

永積さんが選んだもう1曲はこの日一番のマニアック曲「ルーティーン」



ストックホルムで録音された4th ALBUM『CHRONICLE』の先行シングル、「Sugar!」にカップリングで収録されたこの曲は、やはりアイリッシュな暖かい音のギターが印象的。しかし正直な話、この曲を全く聴き込んでおらず、会場で聴いていたときにはハナレグミの曲だと思い込んでいた。この日最初のバラードに、永積さんのその声に、会場全体がまろやかな空気に包まれていたと思う。

この日は各アーティストがこれしかないって曲を選んでくれて幸せすぎました。

≪part.2につづく≫

(レポートに対する感想等は 46kuro_1985@mail.goo.ne.jp まで)