震災時、
人は生まれ育った地域を離れることに抵抗を感じ
避難先からはずっと戻りたいと嘆いていた
数年経った今でも戻れず、
避難生活を余儀なくされている人も多いと思います

人はどんな人でも
「住む場所」があって地に足がついてはじめて
前向きになれる

もう2度と帰れない場所を
もう2度と帰れないと受け入れることは難しい
その踏ん切りがつかないと
心は宙ぶらりんのまま

震災で住む場所を追われた人々と
障がいや病気ゆえに社会に居場所がなく追い詰められた人
当然、違うわけですが、
どんな人でも
「納得感」が大切だと感じます
さいかいにたどり着く人の中には
周囲がグループホーム入居しかないと
本人を「説得」して連れて来られ
まあ、そんなに悪いところじゃないんだな
くらいで入居することもあります
たとえ自分から調べて入居を希望していても
納得しているかと言うとそうでもない

ともすれば実家で暴れて入院
病院から退院してそのままグループホームへ
実家に戻ることなく、そのまま入居だったりすると
やはりこれも納得感がない

さいかいでは
各病院のPSWおよびSWのみなさんには
よくよくご本人の了承および納得感を引き出して頂き、
その上でまずは見学から、とご案内します

どこでどう生きるにしても
ご本人の想いがなくては
前を向けないのは当たり前です

まず自分の現状を受け入れ、
周囲に受け入れられてはじめて
安心して暮らせる「居場所」が出来る

この心理状態にもっていくのが難しい
なかなか人生に納得なんて出来ないですもんねぇ

それでも
やはり、ハウジングファーストという考え方は大切で
DV被害から逃げ、あるいは家族と距離を置く必要があったり
様々な理由で、全く住む場所がなくなってしまったりと
今、地に足つかずふわふわしてしまっている人には
まずは寝る場所を確保する必要があると思います
生活保護の人なんか
病院に長期入院になると
家賃が出なくなって、一旦住所を
病院に移さざるを得ない状況になってしまうこともあります
だけど病院に長居するよりは
どんなボロ屋でも暮らせる場所を見つけ
地に足つけた生活から
安定、目標、夢・・・
そこではじめて前向きになれる

さいかいでは
今、2軒目のグループホームを準備しています
定員最大20名。
グループホームは本来、疑似家族であるべきで
規模の大きいグループホームはどうなんだという
議論がありますし、さいかいも批判にさらされることもあります

しかし
少なくとも福岡では圧倒的にグループホームが足りていません
さいかいの2軒目も、ろくな営業回っていないのに
噂だけで定員をはるかに超える問い合わせが殺到しています
(オープンが遅れて
お待たせしているみなさんには申し訳なく感じています)

それが福岡の現状です

話題の病棟転換型居住系施設
僕らも反対は反対だけど
反対の声をあげている人たちの中で
一体どれだけの人がグループホームを作りましたか?
この議論が出てからしばらく経ちますけど
はたして、どれだけの受け皿を用意できたのか?
地域に受け皿がないから病院の中に作ってやるんだという
乱暴な論理を真っ向から否定するためには
やはり、地域の福祉屋が
グループホームをどんどん増やしていくしかない。
どんなに難しい患者さんでも、地域に出してくれ、
受け入れ、支える仕組みはすでに出来ている。
一緒に協力して、その人に幸せになってもらおうよ!
そう胸を張って言える状況でしょうか?

さいかいでは、2軒目、3軒目、5軒、10軒と
文字通りどんどん作っていきたいと考えています
スタッフの確保とサービスの質の担保については
真剣に考えていかないといけないところではありますが
現実問題、足りていないんだから、作るしかない

現行法において
グループホームの運営、経営は
単体ではたいへん厳しいです
日中活動の運営をやっていれば
赤字を補てんできますが
グループホームで稼ごうと思えば
相当難しい案件を中心に
火中の栗を拾っていくしかない
でも、それが出来るグループホームは本当に少ないもので、
さいかいでも、スタッフの想いに支えられながらも
正直おそるおそるやってる感じです
この収益の問題がグループホーム開設の促進につながらず
本当に支援が必要な人のもとに
なかなか支援の手が伸びない状況とも言えるかもしれません

今、全国でグループホームに入居している人たちの多くは
実は、内心びくびくしながら暮らしているのではないでしょうか?
さいかいにもそういう人は少なからずいると思います。
病状が悪化してここで暴れでもしたら追い出されるんじゃないか
ちょっと誤解を与えるようなことをしたら
支援を受けられなくなるんじゃないか?
ここしか居場所がないんだ。
実際、一度暴れたら即入院即退居というところもあります
事情や病状に関係なく自傷他害絶対NGなんて
これってどうなのかなと感じています
この状況を打開するためには
グループホームを増やすしかないのです
グループホームの数が増え、入居者が選べるようになるだけで、
もっと堂々と、もっと自由に暮らせるんじゃないでしょうか
普通の賃貸と同じように流動的になることで
本当に安らげる「居場所」を見つけられるようになるんじゃないか?
スタッフとの相性や他の入居者との人間関係で
苦しい想いをしていても、環境が変われば
ずいぶん暮らしぶりは変わってくるんじゃないのか?
心からの「居場所」が出来れば、
自傷他害や問題行動の多くが落ち着いていくものでしょう

今、グループホームを増やさなければ
ただそれだけの想いでいますが
本当はもっと億単位で収入のある社会福祉法人さんで
やって頂ければよいのだと思っています
うちのような小さな事業所では限界があります
その限界を超えてどこまで行けるか
挑戦し続けるしかありませんねぇ

「ハウジングファースト」

今の障がい者福祉は「就労」中心なので
この理念を根付かせるのは
至難の業かもしれません
でも、必要なんですよ。実際・・・