。たとえ死んでもシオンの力があれば何度でも蘇る。見た目は10年前の姿そのままに,人間離れした特性を得て復活したカスカは,妹の同級生として高校に通うことに。両親を含め,かつての人間関係は断たれたものの,降って湧いた第2の人生(?)をそれなりに満喫するカスカ。だが魔術の存在を知る者たちが,死者の蘇生という不可能を可能にしたシオンと,その象徴であるカスカを見逃すはずもなく……。 ●生死を超越した兄妹の,奇妙な日常  死者の蘇生というと,『鋼の錬金術師』などに見られるように,不完全な蘇生しかできなかったり,実行に大きなリスクがあったりして,ファンタジー世界でも禁忌とされていることが多い。だが本作では,取り立ててリスクもなく,不完全どころかより完全な存在(シオン曰く「神様」)になって復活している。そんな,ドラクエ10 RMT,生とか死とかいうものを軽く超越してしまった兄と妹の,平穏なようでやはりちょっと変わった日々を描くのが,この『デッドエンドラプソディ』である。  不老不死の肉体に加え,人間離れした身体能力を身につけて蘇ったカスカも大概だが,それを実現させたシオンも尋常ではない。兄を蘇らせるという,ただそのためだけに研鑽を重ね,10年をかけて最強魔術師に成長した努力と才能には感服しきりだが,裏を返せばそれだけ兄に執着しているということ,ro rmt。倫理そっちのけで兄のために尽くそうとする様には,そこはかとなくヤンデレの気配が。一方で極端な人見知りだったりして,可愛いと怖いが絶妙なバランスで同居するキャラとなっている。  2人以外の登場人物も見逃せない。中でも最初はカスカとシオンを処分しにやってきたものの,その後は2人のクラスメイトとなり,一緒にカラオケに行っちゃったりするようになるエクソシスト,エリシアの言動は実に味わい深い。こうした何とも言えないキャラ造形が,本作を既存のゾンビものなどとは一線を画す作品に仕立て上げている。 ●死なない人間は果たして,何を糧に生きるのか  エリシアや,やはり自分たちを狙うゴーストバスターに襲われたりしながらも,クラスメイトの男の娘と戯れたり,大量のラブレターを受け取ったりと,一度死んだとは思えないほど充実した日常を送るカスカ。ゾンビでも幽霊でもなく,死んだ時の姿かたちを永久に保つことができる彼は,その気になれば普通の人間と同じように生きていくことができる。カスカに限っては,死という概念はほとんどないに等しいのだ。  では,そんなカスカは果たして,なんのために生きていけばいいのだろうか
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