コリリスという名前の黒葡萄、2021年からフランス政府の登録する「フランスで栽培される葡萄カタログ」に載っているという。
閑話休題、似たような名前の京都の洋食、期待して訪問したが冬場にコーンポタージュなど供する店だったとはガッカリ。「予約が取れない」と云われても全く普通としか思えない店はこの店だけでは無いように思う。
本題に戻ろう、オリジンについての説明をコピーすると
La variété Coliris a été obtenue par l'INRAE. Il s'agit d'un hybride interspécifique issu d'un croisement entre le Bronner et un descendant de Muscadinia rotundifolia.
最初の文章はどなたでもご理解頂けるはずだが、次はアンペログラフィをご存知無い方には理解できない内容であるはず。全文を自動翻訳すると次のような日本語となる。
Coliris 品種は INRAE によって取得されました。ブロンナーとムスカディニア・ロタンディフォリアの子孫との交配から生じる種間雑種です。
INRAE とはL’INSTITUT NATIONAL DE RECHERCHE POUR L’AGRICULTURE, L’ALIMENTATION ET L’ENVIRONNEMENT の略称で国際農業栄養環境研究所みたいなフランス国営機関。
ブロンナーと呼ばれる葡萄は3つあり、古くから知られているのは正式名称 BRONNERTRAUBE ブロンナートラウベであり、果皮色ロゼのワイン用食用葡萄である。
しかしここで述べられているブロンナーとは果皮色ロゼのブロンナートラウベではない。
VIVC から COLIRIS を調べると次のデータが現れる、掻い摘んでコピーすると
Prime name COLIRIS
Color of berry skin NOIR
Variety number VIVC 27557
Country or region of origin of the variety FRANCE
Species VITIS INTERGENERIC CROSSING
Pedigree as given by breeder/bibliography BRONNER × MTP3179-90-7
Pedigree confirmed by markers
Full pedigree YES
Prime name of parent 1 BRONNER
Prime name of parent 2 VRH3179- 90- 7
Parent - offspring relationship
Offspring
Breeder INRAE - UMR 1287 EGFV (Ecophysiologie et génomique fonctionelle de la vigne) ISVV (Institut scientifique de la vigne et du vin)
Breeder institute code FRA059
Breeder contact address I.N.R.A UMR 1287 EGFV (Ecophysiologie et génomique fonctionelle de la vigne) ISVV (Institut scientifique de la vigne et du vin)
コリリスの母親葡萄は正式名称 BRONNER でありそのパスポートデータは次の通り
Prime name BRONNER
Color of berry skin BLANC
Variety number VIVC 17129
Country or region of origin of the variety GERMANY
Species VITIS VINIFERA LINNÉ SUBSP. VINIFERA
Pedigree as given by breeder/bibliography MERZLING × GEISENHEIM 6494
Pedigree confirmed by markers
Full pedigree YES
Prime name of parent 1 MERZLING
Prime name of parent 2 GEISENHEIM 6494
Parent - offspring relationship
Offspring YES
Breeder Becker, Norbert
Breeder institute code DEU455
Breeder contact address Staatliches Weinbauinstitut Freiburg
Abteilung Weinbau
Year of crossing 1975
ここでいうブロンナーとは1975年にドイツで人工交配により生まれた果皮色白の葡萄である。ブロンナーはお分かり頂けたかもしれないが「ムスカディニア・ロタンディフォリアの子孫」とは何か？
コリリスの父親はVRH3179- 90- 7 という葡萄で、その親子関係を6代遡るとNORTH CAROLINA 6- 15 というアメリカ合衆国原産の黒葡萄が現れるが、そのノース・カロライナ6-15 の父親葡萄がMUSCADINIA ROTUNDIFOLIA G52 という「種」が異なるMUSCADINIA ROTUNDIFOLIA MICHAUX VAR. ROTUNDIFOLIA に属する黒葡萄ということが分かる。
ここで初めて本来のオリジンに登場した「ムスカディニア・ロタンディフォリアの子孫」ということが判明する訳である。
さてこの葡萄コリリスは耐病性に優れておりヘクタール当たり10～15トンの生産能力を持つ優れたワイン用黒葡萄とのこと。近い将来植え替えが進む可能性の高い葡萄であろう。