ワインの裏側表側 あまり取り上げることのないコート・デュ・ローヌのワインです。大体甘いワインが好みではないのでローヌ系は敬遠するようにしていますが、たまには買ってセラーに並べることもありそのまま忘れ去ってしまうことがしばしば。

コート・ロティ、ラベルの上部にはドメーヌ・ド・ロジェとありますがこの名称の農園の管理者がルイ・ドルヴォンと云うことと解釈します。

コート・ロティの現在の法律についてレジフランスのサイト を見ると(左側のメニュー)ここでもアペラシオンの廃止について記載があります。ですがこのアペラシオンはローヌではなくプロヴァンスの範囲であるはず。

Article AOC " Pierrevert ピエールヴェール" (abrogé)、そもそもこんなアペラシオンが存在していたとは、全く存じませんでした。このアペラシオンについてはこちら をご覧下さい。

さてコート・ロティ、昔のお話ですがあの馬鹿高い従価税の時代(ワインの課税は1985年に改善されたばかりです)4,000円もしなかったギガルの畑名付きのコート・ロティ、例の点数付け評論家によって5万円以上にもなってしまいましたね。安いときに知っているワインは高くなったら絶対に買わないのが普通であります。高いワインを飲んでみたいという気持ちは分かりますが、無名なワインの中に驚く程美味しい物が実際に存在します。

先日取り上げたDRCのワイン、ワイン大学メンバーの長老でオテル・リッツを定宿としておられたT氏が当時のリッツのソムリエに用意して頂いたワインを彼の別荘で飲ませて頂きました。ホテルの料理長を迎えて本格的フランス料理を味わいながらの贅沢なテイスティング、1980年代終盤のことだったと記憶しますが1960~1970年代前半のLa Tâche 、RSV、リシュブールの後にRCを味わい、最後に1962年のネゴシアンボトル(確かアントナン・ロデ)の単なるヴォーヌ・ロマネを飲んだとき皆の顔色が変わりました。「これが一番美味しいやん^^」高いワインだけが美味しい訳ではないという貴重な体験でしたが。

ワインは本を読んで覚えるものではなく実際飲んでそして比べてナンボのものだと云うもの。またマニアの人と飲むより実際ワインの生産に携わっている人々と飲む方がホンモノに出会う確率が高いと考えます。ワインビジネスに関わる大半の人は骨董商と変わらないと私は確信しております。


さてこのコート・ロティ裏ラベルによると畑は7ヘクタール、シラーが97パーセントに白品種ヴィオニエが3%植えられているとのこと。実際に白品種を混ぜているのでしょうね。生産者のサイトは見掛けませんがこちら に結構詳しい記述があります。価格は25 à 28 € とあるので輸出価格は20ユーロ以下と考えます。

コート・ロティの現在の法律はこちら 、シラーが主要品種でヴィオニエはブレンドする際も植え付け面積比率に於いても20%以下となっています。また醸造に関しては品種ごとに醸造するのではなく混醸の場合のみ認められるとのこと。生産できるのはローヌ川右岸3つのコミューン、上流から Saint-Cyr-sur-le-Rhône サン・シル・シュル・ローヌ、Ampuis アムピュイ、 Tupin-et-Semons テュパン・エ・セモンのみですがその葡萄畑の範囲は昔から比べるとかなり拡大された模様です。

葡萄品種シラーについては以前こちら で述べましたがお疑いの方がおられるみたいなのでこちら をご確認下さい。葡萄品種のルーツについてはまだまだ未解明であります。今後の展開を見守りたいと思います。ヴィオニエはこちら でご覧下さい。

さて遅くなりましたが結論です。
まことに奇妙なコルクにビックリ、両端面に樹脂でしょうか透明のゲル状物質が塗ってあり、コルクの横漏れはないのですが見た目に気持ち悪い。ヴィンテージ2003年の割りに色は正常ながら若干エッジはオレンジがかっています。

香りは甘く味わいも甘くしかもまろやか。珍しく重くない北部ローヌであったことを報告したいと思います。