「日本未来の党」結成への感想 | 霞が関公務員の日常

「日本未来の党」結成への感想

 そろそろ政治の話を書くのはやめようと思っていましたが、気になるニュースが飛び込んできたのであと1回だけ簡単に。


 滋賀県の嘉田由紀子知事が「卒原発」を掲げて「日本未来の党」を結成したというニュースについて。
 びっくりしつつも、まあ嘉田知事らしくもあるなという感想です。


 嘉田知事は、損得勘定よりもやりたいことへの思いが先に立つ方という印象です。
 知名度は全国区とは言えず、こういうニュースになれば「誰?」と思われるのは明らかなのに、あまりそういうのは気にしない感じ。


 2006年に知事選に出馬したときも最初は泡沫候補扱いでしたが、あれよあれよという間に勝ち上がり。
 今回は、脱原発に強い思い入れがあったのでしょうね。


 また、時代の一歩先の空気みたいなものをとらえる嗅覚にも優れています。
 フィールドワークを主体とする現場派の研究者として、政治的には何の力もない市井の人の声を丹念に聞き続けてきた経験から得たものでしょう。


 永田町育ちの生粋の政治家には声の大きい人の声ばかり耳に入るでしょうから、そこはアドバンテージかもしれません。
 今回は、脱原発が時代の流れと読んだのでしょう。


 また、脱原発の旗頭として比較的ふさわしいのも事実。
 現職の国会議員では新鮮味に欠け、タレントでは軽い。それなりの知名度のある政治家となると都道府県知事がちょうどいい感じ。


 47都道府県知事の中には元官僚が27人、元国会議員が8人いて、彼らはふさわしくないでしょうから、割と選択肢は少ない。
 その中で脱原発に熱心な人となると、嘉田知事、吉村山形県知事、川勝静岡県知事の3人ぐらい。この3択なら確かに嘉田知事ですかねぇ。


 そういうことで、私の感想としては、びっくりはしたけどまあありそうな感じで、強い思いがあるのでしょうから頑張ってください、という感じです。



 ただ、国政は、牧歌的(←ほめ言葉)な滋賀県政とは違って、魑魅魍魎の世界。
 思いがどこまで通じるか、なかなか難しいところでしょうね。選挙の勝敗のことだけでなく、あの小沢一郎氏に担がれる形で何ができるのかも含めて。


 それと、県知事は続けるそうですから、県政も難しくなるでしょうね。
 県議会は野党の自民党が単独過半数を握り、市長・町長も大半が嘉田知事に批判的。今回の動きで、さらに彼らの批判は強まることでしょう。
 県民の人気は高い知事でしたが、それもどうなるか。


 選挙後、政府との関係も微妙になるでしょう。


 ま、そういう損得勘定で考えれば、まったく嘉田知事には得のない選択。
 脱原発を望む人たちの思いを無駄にしないため、自分しかいないと考えて、損得抜きで立ち上がったのでしょう。


 そういうのが好きな人は、素直に応援されるとよろしいかと思います。



 以上、今回のニュースへの感想でした。
 なお、なぜ私が滋賀県政の事情通なのかは、突っ込まないでおいてください。