株価が上昇中は気にならないが、下落してくると急に気になるのが参院選挙。

与党敗北は規定路線であり負け方が注目、というのがコンセンサスの様である。先日のロイターのインタビューでは、個人投資家は選挙結果を意識した投資行動をとる旨の結果であった。国内機関投資家は間違いなく見送り。しかし国内勢は市場の価格決定力を失っており、要は外人投資家がどう反応するかという事。外人は政局を重視するとの意見が多いが、そう単純でもあるまい。そう唱える諸氏は実際に外人投資家と話しているとは限らない。参院選は国政選挙ではなく、経済は政治抜きで拡大していると判断すれば、与党大敗による下げでも買い向かう可能性もある。建設とか大規模小売は政策の影響を受けるので例外とは思うが。


フェルドマン氏は一昨年に著作で、小泉改革の成果が株高につながったと述べていた記憶。海外投資家には影響が強いかも。目先もそうだが、中期的な観点からは傾聴に値する。やはりトヨタやキャノンといった一部優良企業の活躍だけでは、日本経済の評価=株価上昇にはつながらないのであろうか?


参院選をにらんだ投資戦略をそろそろ始動の要あり。指数では所詮レンジ相場と割り切りOPのショート拡大が有効か?証拠金管理に注意。株ポートは冷やりとする局面が何度も来るであろうが、基本戦略継続。外需系をたんたんと積み増す。資源関連は少し???の感がしてきた。鉱工業生産の電デバの在庫状況で最終確認を。


COLUMN-〔インサイト〕参院選後に迫る政治の嵐、安倍退陣なら日本売りも=Mスタンレー フェルドマン氏 (ロイター)

筆者の持論であるCRICサイクル(危機、反応、改善、怠慢からなるサイクル) は、この10年間の日本経済と政策を取り巻く環境を分析するための信頼性の高いツールとなってきた。現在、日本は「怠慢」局面を経て「危機」局面に入りつつある。7月29日の参院選で自民党が大敗すれば、その選挙結果は与党と野党の双方にとって政治危機を意味しよう。     <二大政党の危機>      自民党が参院選で大敗すれば、参院で過半数が維持できなくなる。その結果、今後の法案審議はいっそう紛糾し、成立までに多くの時間を費やすことになるうえ、自民党内の派閥争いが始まろう。  皮肉だが、民主党の大勝は一大危機を意味する。経済政策、安全保障政策、政治的連携をめぐって、党内が大きく割れていることが浮き彫りになるからだ。ここに民主党のジレンマがある。大勝した場合、民主党が政権の座にさらに近づくためには、これらの問題に取り組まざるを得ない。しかし、それは党内の抗争をいっそう深刻化させる可能性が高い。      <自民党の選択肢>      自民党はこの危機にどう反応するだろうか。苦境に立つ安倍晋三首相の下に結束するという選択肢がある。自民党議員が選挙での大敗を契機に、旧来の反改革の支持層と決別し、小泉路線を再び推進しようとする選択だ。  逆に大敗が、自民党内に残る反改革派による反撃の機会を与えるシナリオもある。安倍首相は退陣を迫られ、小泉改革は後退する結果になる。  ただ、自民党の中で再選が危ういとされる議席の多くは守旧派が占めている。これらの勢力が一掃されれば、自民党は結束力の高まった都市型の政党になることを意味しよう。反面、党の規模は小さくなり、参院では少数党になることも意味する。  一方、反改革派が安倍首相の後継に就けば「小泉チルドレン」の不満が爆発しよう。要するに自民党内で内乱が起きることになる。     <民主勝利で党内分裂のリスクが表面化も>     しかし、民主党も安心できない。勝利は敗北よりも大きな悪影響を及ぼす可能性がある。その理由は党内の様々なグループの交渉力が変化するとみられるためである。自民党が敗北した場合、民主党左派は自己の政策を一層強く押し出す可能性が高いが、そのような行動は党内右派を遠ざけるだけで、民主党の分裂につながる。  民主党右派の考え方は、安倍首相に極めて近い。自由主義経済を支持し、日本が国際社会で積極的な役割を担うことを望んでいる。仮に自民党が大敗を喫した場合、現状に満足しない右派にとっては、民主党から離脱して独自の政党を立ち上げ、交渉力を高める好機となろう。このグループは安倍連立政権に参加ないし、政策課題ごとに閣外で協力する可能性がある。     <安倍政権継続/退陣、民主分裂/非分裂の組み合わせでできる4つのシナリオ>     したがって選挙の結果については、4つの潜在的なシナリオが存在する。横軸は安倍首相が続投するか否かを示している。縦軸は民主党右派(リーダーと目される前原氏のグループという意味でMGとする)が離脱するか否かを示す。  1番目のシナリオは安倍首相続投とMG離脱の組み合わせで、改革は加速する可能性が高い。MGが交渉を有利に進めることは疑いない。しかし、MGと安倍首相は大半の重要政策において見解が一致しているため、交渉目的は政策ではなく閣僚ポスト関連となろう。最終的には衆参両院で大規模な安定した連立が生まれ、改革に向けた共通の政策の位置付けができ上がるであろう。     次のシナリオは正反対である。自民党は守旧派グループに支配されるが、民主党は分裂しない。結果的に国会が著しく党派的な空気となり、政党間や政党内部での合意が形成されにくくなる。両党の権益集団は暗黙に連携して小泉改革の一部を覆す可能性がある。     3番目のシナリオは、安倍首相は続投するがMGは民主党に残留する。このシナリオがいかなる結果を招くかは、安倍首相のリーダーシップに左右される。1つは、安倍首相が党内の派閥政治に屈する。もちろんこのケースでは、改革はさらに減速するであろう。  もう1つの可能性は、安倍首相が「一か八か」で、さらに積極的に改革を推進することである。首相は守旧派に「私に従わなければ2005年9月の小泉前首相と同様に衆議院を解散して戦う」と脅かすこと。後者のシナリオは確率が高いであろう。なぜならそうしなければ、次期総選挙に必ず負けるからである。

 最後のシナリオでは、安倍首相は辞任するがMGは離脱する。このケースは日本を小渕政権時代に戻す意味である。このケースでは守旧派が主導権をもつとみられるが、独立勢力としてのMGが新しいアイデアを出し、新政権に採用される可能性はある。とはいえ守旧派が力を維持することから、改革が現代経済の課題に見合ったペースで十分に速く実現することは考えにくい。    <改革促進から守旧派復活まで、振幅大きい選挙後のシナリオ>     上記シナリオに関する確率は、「安倍政権が存続するか」及び「民主党が分裂するか」という2つの問いに対する答えの出し方で変わってくる。筆者は、前者が8割イエス、後者は7割イエスであると思っている。  安倍政権残留の確率が高い理由は3つある。1)静かに頭を下げても首相本人にとってメリットがない、2)安倍政権を倒す人は、マクベス効果で被害を受けうる、3)小泉チルドレンが反発する──という構図である。これらは民主党で何が起きても影響を受けないことから、現実化する確率が高い。     民主党が分裂する理由は1)政権交代が近未来に迫るほど、党内の矛盾とあつれきが表面化するので、離党したい人は「今こそチャンスだ」と理解する、2)離党組の自民党に対する交渉力が大きく増幅する、3)少人数で足りるので、組織コストが大きくない─などが指摘できる。これらは自民党で何が起きても影響を受けないことから、現実化する確率が高い。      安倍政権存続8割、民主党分裂7割であれば、成長路線を加速させるシナリオの確率は56%となる。これは池田勇人元首相の時代(すなわち成長重視、果敢に動く)に戻ることを意味する。  しかし、他にもシナリオがある。安倍内閣の継続(8割)、民主党分裂せず(3割)のシナリオは、小泉初期に戻ることを意味する。  安倍下ろし(2割)、民主党分裂(7割)シナリオは、橋本・小渕に戻ることを意味する。安倍下ろし(2割)、民主党分裂せず(3割)シナリオは、宮沢・細川に戻ることを意味する。     <改革停滞なら、海外勢の日本無視が復活か>    これまでのところ、国内外の投資家は差し迫る政治の嵐にほとんど注意を払っていない。株主総会が集中し、株主総会で検討すべき事案が多い状況下、1カ月月余り先の選挙に関心が集まらない点は理解できる。しかし、株主総会のシーズンが終了すれば、政策への関心は高まるであろう。  確かに短期的な意味で、政治は市場にとって著しく重要というわけはない。政治や政策決定が日常的に企業収益に影響を及ぼすわけではない。しかしながら、1─2年のタイムスパンで見た場合、政策は極めて重要な意味を持つ。  理由は単純である。利益成長を維持するためには改革が必要だからである。当時は批判を浴びたものの、小泉/竹中改革なくして2001─06年の景気回復が可能であったと考える向きは、今となっては皆無であろう。したがって短期的な視点は誤りである。問題は、投資家が政治/政策課題に関心を寄せる数少ない期間をいかにして識別するかである。     私の見解では、次の選挙は極めて重要であり、投資家はこれを無視できないと考える。特に安倍首相が辞任する結果となった場合、仮に国内投資家が無反応であっても、海外投資家は結果に大きな重要性を見出すであろう。海外投資家は、安倍首相に対する拒絶を、小泉改革路線の否定と受け止める可能性が高く、その判断に見合った反応を示すであろう。  安倍首相が、改革に関して小泉前首相ほど積極的であったかどうかについては、すでに大きな疑問が生じていることは言うまでもない。したがって仮に首相が交代した場合、急激な影響が表れるとは限らない。  だが、政策へのインプリケーションが浮き彫りになれば「ジャパン・パッシング(日本への無関心)」が復活する可能性はある。対照的に、改革が加速すれば海外諸国は日本に再び関心を寄せるであろう。  

 ロバート フェルドマン モルガンスタンレー証券 経済研究主席 (27日 東京)