夏の甲子園…駒大苫小牧と僕
夏の甲子園――。
駒大苫小牧が優勝して、3日がたちました。
8月20日…。
あの日、僕も選手と一緒に苦しんでいた――。
僕には、あるジンクスがあるんです。
しかも恐ろしいほどよく当たるジンクスが。
僕が甲子園を見ると…
応援したほうが必ず負ける。
高校球児がどんなにがんばっていても、どんなに苦しい練習耐えてきたとしても、
必ず負ける。
私のジンクスにはかなわない。
(ごめん、高校球児たち。でも僕にもどうしようもないんだわ。泣)
そう…。
僕が応援した高校は、みな、泣きながら甲子園の土を持ち帰ることになる――。
まさに僕は、
甲子園に潜む魔物の化身。
(別名:甲子園の疫病神)
今年も例外ではなかった。
まず、手始めに…
日大三高(←犠牲者)を応援してみました。
準々決勝:日大三(東京)vs宇部商(山口)
負けました。
見事な9回逆転負けです…。泣
日大三だったら絶対勝つと思ったのに…。
この試合、きょうことビールを一杯賭けてたんですが。
日大三野球部のみなさん、すみませんでした。
たぶん負けたの俺のせいです。泣
で、僕が本当に応援していたのは南北海道代表、駒大苫小牧高校なわけなんですけど、
初戦から、極力見ないようにしてました。
だって、見たら本当に点取られるんだもん。泣
でね、
2回戦:駒大苫小牧×聖心ウルスラ…6-0で勝利。
3回戦:駒大苫小牧×日本航空…13-1で勝利。
駒大苫小牧、むちゃくちゃ強いわけなんですよ。
2回戦も3回戦もがんばって見なかったけど、こんなに強いんだったら
4回戦(準々決勝)は、俺が見ても大丈夫かなー
って思うじゃないですか。
で、見てみました。試合開始から。
準々決勝:駒大苫小牧×鳴門工
試合開始直後に2点取られました。泣
で、7回表まで見てたんですが、ボコボコに打たれて1-6で5点差。
敗色超濃厚。泣
やっぱ俺が見たら負けるんだ(T_T)って思って泣く泣くテレビを消しました。
……。
それから40分後くらいでしょうか…。
そろそろ決着ついたかなと思って再びテレビをつけたら、
駒大苫小牧・香田監督がインタビューを受けているではないか!!!!!!
(高校野球では、勝ったほうの監督しかインタビューが流れないんです)
なに?勝ったのか!!!???
わけがわからない僕。
よくよく見ると、なーんと7-6で駒大苫小牧、5点差を奇跡の逆転勝利!!
しかも僕がテレビを消した直後に逆転してるよコノヤロウ。
香田監督が涙ながらにインタビューに応える。
香田監督:「本当に…もう…自分でもわけがわからなくて…本当に、奇跡だと思います」
監督!それ俺のおかげだと思います!!!
(俺がテレビを消したから!!)
駒大苫小牧のイバラの道は続く。
準決勝:駒大苫小牧×大阪桐蔭
この試合、僕はがんばって見なかったんですよ!
だって準決勝だもの!!ここまでくるだけでもすごいじゃないですか!!
ぜひ決勝まで残ってもらいたい!
だから俺はテレビを見ない。
そう心に決めていました。
…7回までは。
時々インターネットで速報をチェックしているうちに、どうしても見たくなっちゃったんですよ。。
だって5-0で勝ってたし!!
で、ちょっとだけ見ようと思ってテレビつけたら
5点取られました。
ありえねぇ…!!
なんなんだよ。泣 都合よすぎるよ。泣
なんなんだ俺の運命は。泣
で、テレビ消したら
駒大苫小牧延長戦で執念の勝利…!!!!!!
おめでとう!!!!!!!!!
俺が見なかったからだ…!!!!!!!泣
ついに決勝戦。
決勝:駒大苫小牧×京都外大西!!
泣いても笑ってもこれで最後。これで勝てば全国制覇。高校野球児の、熱い夏のフィナーレです。
なぜかシンゴが僕の家に押しかけてきて、一緒に見ることに。
僕はシンゴに一応言っておきました。
僕:「シンゴ、俺はあんまりテレビみたくないんだけど」
シンゴ:「なんでだよ?せっかく決勝まで残ってるのに応援しようよ」
僕:「いや、俺が見ると…その…負けるんだよ。まじで」
シンゴ:「なに言ってるんだよ。そんなん関係ないじゃん。まぁとりあえず、初回だけでも見ようよ」
僕:「うん…。でも、本当に点取られるぞ…」
こういうやり取りがあった数分後…。
やっぱり点取られた。泣
(しかも大会中ひとつもなかったエラーで…俺のせいだ。泣)
シンゴ:「ほんとに取られた…」
僕:「だから言っただろ!もう見ないからな!」
ブチッ(テレビを消した)
それから数分後…。
ちょっとテレビをつけてみると、
やっぱり
僕がテレビを消した直後に駒大苫小牧が追いついている。
1-1。接戦の様子。
そしてまた僕はすぐにテレビを消した。
僕がテレビをつけている間にまた点を取られたらマズイもんな。北海道で応援している人たちにも申し訳ない。駒大苫小牧の選手のお父さんお母さんにも、あわせる顔がなくなるし、僕が北海道に帰れなくなる…。
しかし、シンゴがダダをこねる。
シンゴ:「やっぱり見ようよー。すごい面白そうな試合じゃーん」
僕:「うるさい。見たら負けるんだよ。俺は絶対見ない」
シンゴ:「え~見たいよー見たいよー」
僕:「仕方ないな…。じゃあ…
俺は外を散歩してくる。
その間お前はしっかり応援して、試合に動きがあれば携帯にメールしろ」
シンゴ:「イエ~イ!わかったー!」
てなわけで。
なぜか僕は用もなく真昼の東京(気温34度)を散歩することに。泣
しかし、この苦しい暑さも
駒大苫小牧優勝のためだ…!!
僕は必死で歩いた。
何か、自分の家から遠ざかれば遠ざかるほど、駒大苫小牧が勝ちそうな気がしてならなかった。
ギラギラと太陽が照りつける中、コンクリートの地面から地熱が湧き上がる中、汗をダラダラに滴らせて、僕は夢中で歩き続けた。
そして、真夏の青空を見上げ、ときどき心の中でつぶやく。
駒大苫小牧ナインよ…がんばっているか…?
不意に携帯にメールが入った。
シンゴからだ!試合が動いたのだ!!
このメールは吉か?凶か?
「5回、6回に1点ずつ加えて、3-1で駒大苫小牧がリード!!」
吉だった!!!!!!
僕は大急ぎで家に帰った。
すると…
シンゴ:「けいじ!何しに来た!なんで帰ってくるんだよ!!」
僕:「え?」
シンゴ:「やばいって!今ピンチなんだから!あっ…!!!」
なんと、僕が帰ってきたと同時に、
駒大苫小牧の要・主将林くんがまさかのエラー。続けざまに打たれる!!
2点…取られた!!!
3-3!!!同点!同点!!!!!
追いつかれた!!!!!!!!!
僕:「シンゴ…やはり俺はここにいてはならないようだ…泣」
シンゴ:「そうだな。それが一番いい」
僕:「試合終了のツーアウトになったら教えてくれ。そしたら行く。ギリギリまでわからないからな。俺がいると…」
シンゴ:「わかった。ツーアウトになったら教えるよ。」
僕は再び自分の家を出た。
そして、アパートの屋上へ行く。
ここで、9回まで祈ろう…。
セミの鳴き声がけたたましく聞こえる。
遠くを見つめながら、僕はシンゴのメールを待っていた…。
すると
「けいじが家を出た直後に駒大苫小牧が2点追加!!」
シンゴからメールが!!
てかなんでイチイチ俺が見ないところで点を取るんだ駒大苫小牧!!泣
しかしそんなことはどうでもいい!!とにかく2点リードした!!これで5-3。
このまま逃げ切れば…!!!!
それから数十分後。
「9回、ツーアウトだよ」と、シンゴのメール。
僕はゆっくりと屋上から降りる。
家に帰ると、テレビがついている。
でも、僕はもうテレビを見ようとは思わなかった。
もう、僕は信じている。次の一球で試合は終わる。
駒大苫小牧・2年生ピッチャー田中君が思いっきり投げ込む。
三振――。
最後は150キロの剛速球だったらしい。
駒大苫小牧、優勝。
こうして、僕と駒大苫小牧の熱い夏は終わった。
感動をありがとう、駒大苫小牧ナイン。
俺はほとんど見ることはできなかったけど、この熱い思いは届いたはず。
こころは、ひとつになった――。
まぁ、決勝戦のヒーローは俺だよね、みんな。
そうだと言ってくれ。泣