稲川





稲川さんの究極の怖い話、

生き人形の第7部。




『え、いや~~・・・』


『行こうよ?

ね?

あなたが大事にしている人形だから、

行こう?』



僕がね、

知ってる霊能者がいたんですよ。


大変な霊能者であった。



だったってのは、

残念ながら、

もういない・・・




久慈玲雲さんて方で、

巨漢のおばちゃんなんだけど、

凄まじい力を持ってたんですよ。


原宿に事務所があるんで、

そこへ連れてった。




人形をくるんでね。




行ったんですよ。




会ったら、

喜んでくれたんだけど、

向こう、

読んだんだね、

私の事を。




勘弁してくれ。


って言うんですよ。


『ねえ先生、お願いだから・・・

私、信じる信じないは別だけど、

あの、気持ちの問題だから、

どうにかならないか?

もし見れるのなら見てくんないか?』


って言ったんですよ。

その人形を。




そうしたら先生が、


ダメだ。


って言うんですよ。




一体これ、

何に使った人形だ?!


って怒ったんですよ。




この人形の周りには、

凄まじい数の怨霊が憑いてる。

で、怖いのが、

この中に、

動物の霊や、

子供の霊が憑いたら怖いですよ?

って言うんですよ。




無邪気なだけに、

怖いですよ?


って言われんですよ。


で、イヤだってのを、

無理矢理お願いしたんですよ。


『なら、わかった。』


ってやってくれたんですよ。




いろんな話をしてる中で、

一番この中で強い霊は、

この子に取り憑いてる霊は、

昔ねえ、

って言うんですよ。


七つになる女の子がいるんだけど、

この子、

赤い着物着てねえ、

日本舞踊踊るのよ。


って言うんですよ。




この人形?

赤い着物着てねえ、

花柳流踊るんですよ、

舞台で。


125cm。

体つきも似てますよねえ。



でも、

先生はわかんないんだ。

だって、

くるんでんだから、

白い布で・・・




空襲でねえ、

右手、右足飛ばしてんのよ・・・


って言うんで、


うぇぇええ!』って。





『対の人形いるでしょう?』


って聞くんだ、

私に。


『ええ・・・。』


『少年の人形でしょ?』


って言うんで、


『ええ・・・。』


連れてってないんだ。


青い着物を着たって言うんで、


『前野さん、

青い着物だって。』


って言ったら、

前野さんが、


実は昨日ねえ、

青い着物を着せたんだよ。


って言うんですよ。


この人形には力が無いけどね

でも、

いずれこの少女人形に引っ張られてね、

って話をしたんですよ。




その後もいろいろ話しをして、

それで、挨拶して、

早々に帰っちゃったの。




2日経って、

原宿に用事があったんで、

お礼に行こうと思って行ったらね、

事務所、閉まってるんだ。





それからまた1週間経って、

近くに行ったんで、

お礼に行ったんだ。


事務所、閉まってんだ。





私、知らなかったんですよ。




後になって、

私の友人で、

あの”微笑”って雑誌ありましたよねえ?

その記者の、

荏原さんって友達なんだけど、

彼が、

教えてくれたんだ。







その人形を見た、

その日に倒れて、

3日後に、

病院で死んだそうですよ・・・


久慈玲雲さん・・・





あれやこれやで、

もう4人、

死んじゃったの。




で、

これは一切、

こういう世界、

聞かせちゃいけないなって、

思ったんですよ。





そしたら、

日本テレビが、

是非ともって言うんですよ。


弱い。

ずーっと長い事、

レギュラーやってるとこだし。

NOとは言えなかったな。


ただ、

その時どうしても、

冨士に行かなくちゃならない用事があって、

時間がないって言ったら、


『頼むよ稲川さん、

5分でいいから。』


っていうから、


『じゃあわかった、

でも5分じゃ話できないよ?』


って言ったら、

すいませんけど、

お願いしますって。


日本テレビの隣に、

別棟があるんです。

レンガ造りの。



そこの、

2階か3階の和室に入ったから、

私、冗談で、




こういう部屋ってねえ、

似てる部屋が3つ4つあると、

祟るよ?


って言ったんです、

冗談で。




そうしたらディレクターが、


『やめてくださいよ稲川さ~ん・・・

これ、

同じ部屋が3つあるんですよ・・・。


『いや~~、

冗談、冗談。』


って笑ったんです。




私が座ってる。

カメラが正面から撮るわけだ。

照明たいてるわけね。

それで、

音の音声さんがいるわけだ。

ディレクター、

うちのマネージャー。


全部で6人、

8帖の部屋。




でも、

音がうるさいってんで、

クーラー切っちゃったんですよ。

暑いはずでしょ?普通は。

それが、

暑くない・・・




そうこうして、

話が盛り上がってる時に、

冗談で言ったんだよねえ。


き・て・る・ね・?


って言ったんですよ。

本当、冗談だよ?


『きてるね?』


『来てますか?』


どうせ編集できるんだもの。


『きてるね?』




ホイッと見たら、

うちのマネージャーの影が、

うつってるんですよ、

こっちの壁に。

影が、

ギューっと伸びたんですよ。


あれえ?と思いながら、

話が一番盛り上がった瞬間に、




ボーーーーン!!


と飛んだの、

時計が。

腕時計が。

ボーーーーンと。




ところが、

腕時計のこの、

革ベルトの部分ね、

ここに、

ピンが残ってないんですよ。

見たら、

時計本体の方に、

ピンが残ってる。


絶対、

破れるじゃない、

革のベルト。


ピンは時計本体にあるのに、

破れてないんですよ、

革のベルト・・・




音声さんが、

機材を置いて、

私を拝んでいるんだ、

怖くて。

カメラさんも置いちゃった。


それで、

一応の話を撮り終えて帰っちゃった。





次の週、

私、韓国でロケやってた。

帰って来たんですよ。

みんなに聞かれたんだ、


あれ、なんですか?稲川さん・・・




生番組の中で、

稲川さんの怖い話という事で、

紹介したらしいんですよ。

そのシーンを・・・


ところがその時に、

スタジオのインカム、

つけてますよねえ、

みんな。

スタッフも。




飛んだって言うんですよ、

ポーーーーンと。

聞こえなくなったって。

全然、

音が入んなくなった。


しょうがないから、

シートがありますよね?

タイムシート。

それですすめたって、

生番組を。




ただ、

私の映像を流した時だけ、

音は飛んでるんだけど、

どっから聞こえてるのか、

知らないけど、




11時~分をとれ~、

11時~分をとれ~

11時~・・・


ずーっと言ってる音が入ってる。

わからないんだって。




あれは稲川さん、

どういう意味なんですか?


私もわからない全然、

そんなの・・・





あまりにも、

そんな事があるもんでねえ、

怖くなっちゃって、

これ、

やめようやって話になったんです。

やめよう。

一切みんな、

縁を切ろうよって話になったんです。





そんな時に、

大阪の、

ABC朝日放送から、

ぜひやってくれないか?って話が、

きたんです。