ずいぶんと――

派手にやられたな。

出先からママが送ってきてくれた
おみやげのお菓子が、

まるで超新星爆発でも
起こしたかのように
めちゃくちゃだ。

宝石のようなお菓子たちを
ヴェールのように包み込んでいた
美しい包装も儚く散り――

もう虹子の落書き用紙にも
なりそうもない――。

だがそれも仕方がない。

宇宙は常にエントロピーの
拡大を続け乱雑さを増している。

いっぺんの狂いもなく
静置された状態など、

一瞬の幻に過ぎない。

宇宙も私の部屋も
麗のご機嫌も、

そしておみやげのお菓子も――

人の思惑になど構わず
薦を刈った後のように
乱れてしまう定めなのだ。

片付けを手伝いつつ
床に直に触れていなそうな
欠片を食べた立夏によると
大変美味しかったらしいから、

皆で味わえなかったのは
とても口惜しいが、

あれは宇宙の深淵に消えたのだ。

思い悩んでも仕方がない。

それにしても――

別の部屋から
お菓子の匂いを嗅ぎつけて
たどり着くなんて、

さすがは私たちの妹だ。

将来は立夏や夕凪とともに
おやつ争奪戦の一角を担う
逸材に成長しそうだv

台所担当も
うかうかしていられないな。

ふふふ――v

それとも――

箱からかすかにママの匂いでも
感じ取ったか――?

長期の出張でしばらく
帰っていないママのことを
思い出して、

寂しくて箱にじゃれついたのだろうか?

包装をむいてもむいても
一向に姿が見えないママを思うと、

よけいに寂しくなって
止まらなくなって――。

だったら――

今夜はママの代わりに
私たちとともに
眠ろうか――あさひ。

ママの代わりにはなれないが、
そうしたら少しは
寂しくないだろう――。

もちろんオマエもいっしょだv

その方があさひも寂しくないからな。

それに――

将来の予行演習にもなる。

私たちの子どもを
寝かしつける時の――なv

-あとがき-
べびプリ日記風SS
昨日の今日で寒すぎませんかね……