ああ――

わかってはいたのに――

こんなに胸が苦しくなるなんて。

お家のみんなよりも
たくさんのお友達に囲まれて――

準備も後片付けもなしに
美味しいお食事だって
いただけて――

温泉にも入れて、

たくさんの素敵な景色も見られて――

それなのに、

王子様、あなたがいない。

それだけで
こんなにも寂しくなるなんて。

――少しだけ、

理不尽です。

ヒカルちゃんは
王子様とふたりで行けるのに、

春風はひとりで行くしか
ないなんて――。

わかっているの。

春風は王子様より
たまたま早く生まれて――

ヒカルちゃんは王子様と
たまたま同じ年に
生まれただけだって。

だから王子様と
修学旅行にこれなくても、

仕方ないんだって。

それに蛍ちゃんや
小雨ちゃんや星花ちゃんだって、

お台所は任せて
たまには羽根を伸ばして
来てって行ってくれたから、

修学旅行を
いっぱいい、ーっぱい!
楽しもうと思ったのに。

ダメなんです――。

あなたのいない世界では
感じるもの全部が、

色をなくしてしまうの。

――春風ったら。

すっかり王子様無しじゃ
ダメな体になっちゃいました。

帰ったらそんな体にされちゃった責任、

とってもらわなくちゃ、きゅんv

でも――

あなたがいない夜は
とても長くて――。

朝を迎える前に
胸にぽっかりと空いた穴に吸い込まれて
春風は消えてしまいそう――。

ああ――

王子様、
あなたのぬくもりを
感じられないなら――

せめて息づかいだけでも
聞かせてください――。

あなたの春風は今――

海晴お姉ちゃんに
借りた携帯電話を抱いて、

眠れぬ夜を
過ごしています――。

-あとがき-
べびプリ日記風SS
とっても寒いんだ、パトラッシュ……