ふん!

どう?

初めてにしては
よくできてるでしょ!

は?

乾いた泥団子みたい――

ですって!?

……

ま、まあ――

確かに表面の質感が
砂に見えなくもないわね。

うんうん、

いつもは凡庸な表現しかできない
頭の足りない下僕にしては
ガンバった表現ね――。

でもすりゴマのおはぎなんて誰が作っても
だいたいそんな感じでしょ?

じゃあ次はきなこね――。

……

――うん、
だいぶ丸形に近づいてきたわね。

次はきっとカンペキに
丸くなるわ!

最後はやっぱり――

おはぎといったら
つぶあんも作らないと――

――!!!!

何、今の悪寒!?

あれ、霙姉様がすごい目で
こっちを見てる――

……

つ、つぶあんはやめ!

もち米を丸める方に
戻ろうかしら――

……

何よ、
その顔。

忙しいって言ってるのに
手伝わせたのはそっちじゃない!

こんな簡単なもの、

ちびたちを動員して
お遊びがてら
楽しくやればよかったのに――

私が手伝う必要が
どこにあったっていうのよ?

そりゃ春風姉様と
蛍ちゃんにはさまれて
おはぎ作って下僕が気になっ――

――なんでもないわ。

とにかく!

休日にご主人さまを放っておいた挙句、
作ったおはぎにケチつけたからには、

下僕はご大層なものを
作ったんでしょ?

不味いわけないわよね?

だったら――!

おはぎなんて
上手に作れる必要ないわ!

これから一生アナタが
作ってくれればいいんだから――。

ふん!

-あとがき-
べびプリ日記風SS
レシピ通りにしか出来ない、逆に言えばレシピ通りなら出来る……。
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。