ようやく
通りかかったな――

私の、
かわいい弟よ。

星のゆらめきよりも
短い夏休みの間――

どれだけ
オマエと過ごすことを
望んでも、

忙しなく動きまわる
星々の巡りが
それを許さなかった――。

だがここで巡りあった
運命を私は逃しはしない――。

さあ、私の近くに来い。

冷たい麦茶と
とっておきのあんこ玉を手に――。

あ――

あんこ玉は台所の
茶箪笥の中だ。

店の箱ですぐに
わかるはずだ。

頼んだぞv

私は――

いかにして自然に
風邪をひくかの
思考実験で忙しいのだ。

どうしたらこの夏――

宿題からの開放の
快感でこの身を満たすかの、な。

それとも――

妹たちのために
ビニールプールを
準備してやったり、

付きっきりで看病したり、

夏祭りに連れて
行く約束は出来ても、

私と遊ぶことは
出来無い、と――?

だが仕方がない、

ならばそれも運命だ。

私がこのまま
全く誰も気にとめることなく、

太陽に近づきすぎた
彗星のように干からびても――

それは茶飲み話にもならない、

宇宙のごくありふれた
不幸に過ぎな――、

くちゅんv

……

――そういえば、

昨日今日と
午前中は観月と
どこに行って来たんだ――?

観月は嬉しそうに
秘密じゃ、などと
言っていたが――。

何だかオマエと観月に
近づくと鼻がむずむずしてな。

今だって――

ぅっちゅん、っちゅんv

……

――そうか、
オマエたち秘密で――

ネコでも飼っているんだな。

その毛のせいでこんな――

っちゅんv

なに、
言わなくてもいい。

かわいい弟たちの
小さな秘密くらい、

ばらしはしないさ――

その代わり――

おっと、
抱きついたくらいで逃げるなv

くしゅんv

ほら、
こうして弱ったふりをして
オマエにくっつき、

くしゃみを連続でしていれば――

多少熱は低くとも
仮病とは疑われまいv

魚心あれば水心。

オマエは私が
“風邪”の間そばにいるといい。

ついでに食事の世話も
頼もうか。

フフフ――

それから――

誰もいなくなったら、

私の布団に入ってくるといい――

夏休みの残りの期間を
2人でぐうたらし倒そう♪

っちゅんv

-あとがき-
べびプリ日記風SS
世代交代する気はないようです