まだ少しだけ
世界がフワフワして見えるけど――

熱も咳もおさまって、

ようやく――
日常に戻ってきたわ。

旅行から帰って
一息ついたから、

今週は毎日電車に
乗りに行こうと思って
姉さまたちやあの人と約束まで
していたのに、

とんだ失態だわ!

ぶり返して
小雨ちゃんや立夏ちゃんに
迷惑もかけられないから

もちろん今日は
大人しくしてるけど――

それと昨日昼間ずっと部屋に
いれてくれたあの人にも――

……

まったく――

貴重なお休みなんだし、

今日は自分が
いっしょに出かける約束だったから、

だなんて言ってないで――

どこかに適当に
遊びに行けばよかったのに!

寝入りばなに
こまごまと動くから、

全然眠れなかったんだから!

そりゃ、
何だか寝ちゃうのが
もったいない気が
したのもあるけど――

……

そう、

だから――

あれは悪い夢か――

それか寝ぼけて
海晴姉さまあたりと
間違えたのよ。

あの人が――

おでこに、
キス、だなんて――

……

なんで!?

夢のはずなのにおでこに
くちびるの優しい感触と、

あの人の温かさが
まだ残ってるみたい――。

それに思い出しただけで

顔が熱くなって
胸がふわふわして、

――足元が急に何にも
なくなったみたいになって、

でも落ちてるみたいに
不安になるんじゃなくて、

姉さまに抱きしめられたみたいに
ホッとする感じがする。

まさか、
本当に――?

……

違うわ!

あの時は青空の声も聞こえたし、

きっと夢よ!

風邪を引いている誰かの部屋に
小さい子を入れるはずないもの。

それは、絶対――。

でももし――

もし本当だったら――

……

そんなの私
死んじゃうもん!!

-あとがき-
べびプリ日記風SS
青空の時は寝てました