全てのモノに
御霊は宿る。

中でも丁寧に
永く使われてきたものは
強いオーラを得て
付喪神となるのじゃ。

離れの掛け軸、
晴れの日の雅な食器、
母上がおばぁから受け継いだ
シロガネの指輪――

これらは文字通り
九十九の時を超え生を受け、

強きオーラで
身近なものを守っておる。

ありがたやありがたや。

もちろんそれぞれ
性格があるようで――

おばぁの母上の、
嫁入り道具の大鏡なんぞは
かわゆいものが大好きで――

時折幼きものを
鏡の中に連れていき共に遊んだり、

そのものの姿を借りて
こちらで遊ぼうなどと狙っておる。

いつもすぐに帰してくれるが、
気まぐれを起こさんとも
限らんし、

ゆめゆめ油断めされるな、
兄じゃ!

クフフv

古いものといえば、

姉じゃたちのお下がりの
国盗り合戦はまだ続いておるの。

着られなくなったものでも
妹へと受け継ぎ、

それでも担い手がなければ
麗姉じゃの学校の
祭りで売りに出す。

見た目はかあいいが
天女の羽衣のごとく薄いゆえ
ユキ姉じゃが寒くて着れずに
余ってしまう吹雪姉じゃの服や、

豪奢過ぎてわらわが着ると
むず痒い気持ちになるゆえ遠慮する
マリー姉じゃの服も含めて、

ちゃんと次の担い手が
見つかってよきことじゃのv

そういえば兄じゃのものは
我が家には次の担い手がおらぬが、

やはり麗姉じゃに託すのか?

もしよければ
肌守りに適当なものをくれぬかの。

なに、兄じゃのものなら
なんでもよいぞ!

ご覧のとおり、
多少大きいものでも
ちゃんと着るからのv

兄じゃの強きオーラの
残滓を身にまとえば、

わらわもキュウビも百人力――

夏の元気な物の怪もイチコロに
出来るのじゃが――。

夏のまとわりつくような
粘ついた闇の中を、

心地よきオーラの
兄じゃとともに駆けまわる――

ああ、興奮じゃv

兄じゃ殿――

今宵わらわは
縁側にて控えておる。

ぬばたまの闇にうごめく
無数の物の怪から
わらわを守る――

愛のこもった一品を
お待ちしておるぞv

もちろん夏の危険な夜遊びのお友は
兄じゃのお古ではのうて――

兄じゃそのものでも、
良いがの?

クフフv

-あとがき-
べびプリ日記風SS
昨日(7/25)のSS「ぽっちゃり!?」の続き。
姉妹と夏休みを謳歌したい