反知性主義が国を滅ぼす | 『月刊日本』編集部ブログ

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日本の自立と再生をめざす言論誌

 ここのところ日本の力が相対的に強くなっています。この流れに上手く乗ることができれば、安倍政権は北方領土問題を解決し、尖閣問題も平和的に収めることができるでしょう。

 

 しかし、強大化した権力は得てして慢心に陥るものです。力が強くなったからといって、中国のようにその力を背景に強引な政策を推し進めれば、周辺諸国から反発を招いてしまいます。

 

 力を背景とした強引な政策は、知性を拒否し、否定するところから生まれます。これは「反知性主義」と呼ぶことができるでしょう。このような風潮は中国だけでなく、既に日本でも見られます。その典型が麻生副総理の「ナチス発言」です。麻生氏を擁護する声もありますが、そのような態度がそもそも反知性主義的です。

 

 オリンピック決定の興奮もあってか、日本ではこの件がすっかり忘れ去られているように見えますが、国際社会はこのことをしっかりと覚えています。彼らはこれからも安倍政権の一挙手一投足に、特に歴史認識問題に目を光らせていくでしょう。

 

 弊社では9月26日に、この反知性主義の問題を取り扱った、作家・佐藤優氏の新著『超訳 小説日米戦争』を刊行いたします。また、本書刊行を記念いたしまして、9月29日(日)14時より、新宿ネイキッドロフトで佐藤優氏の講演会&サイン会を開催いたします。ロフトでしかできないようなお話をご披露いただけると思います。ご予約はネイキッドロフトのHPで受け付けております。是非ご参加ください。

 

 ここでは、『超訳 小説日米戦争』に関連して、弊誌9月号に掲載した佐藤優氏のインタビュー記事「戦後はまだ終わっていない」を紹介したいと思います。

 

 

『月刊日本』9月号

「戦後はまだ終わっていない」より

 

―― 安倍政権は麻生発言、国際社会からの批判を過小評価している。

佐藤 そう思います。だから麻生副総理は発言を撤回したものの、謝罪には至っていないのです。過小評価する原因は主に二つあります。一つは、安倍政権が反知性主義に陥っており、海外から自分たちがどのように見えているか、わからなくなっていること。もう一つは、参院選で圧勝した安倍政権はパワーエリート化しているということです。日常的感覚を超越してパワーゲームにしか興味が無い人々には、自らの行動、発言が国家と国民の利益を毀損しているという現実が見えないのです。

 

知的退廃に歯止めをかけよ

―― 反知性主義は国家の方針を誤らせる。

佐藤 かつて大正12(1923)年に、樋口麗陽という作家が『小説 日米戦争未来記』という空想小説を著しました。樋口は20世紀末に日米戦争が起こると予測して、その時にどういう事態が起きるかをシミュレートしています。実際には、樋口の予想よりもはるかに早く日米戦争は勃発したのですが、樋口の予想の多くが的中していました。樋口はその小説で、反知性主義、言い換えれば決断主義で突っ走って日米戦争に突入すれば、いかに危険な事態が起きるかを警告していたのです。

 私はいま、この小説を現代語に超訳して、解説を付して出版する準備をしています(弊社より9月下旬刊行予定)。それは現在、反米を煽る反知性主義的言説が増えていることに危機を感じているからです。

 「戦後レジームからの脱却」を徹底するならば、結局は、アメリカともう一度戦争することになります。しかし今の日本にそんな体力はありませんし、反知性主義の熱狂に押し流されて開戦などすれば、今度こそ日本は終わるでしょう。

 そうならないためには、まず反知性主義という内なる敵をうち破る必要があります。(以下略)

 

インタビューの全文は弊誌9月号をご覧ください。(YN)








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