モロッコでテロリストに間違えられた件 | ゲイ バックパッカー 世界一周の旅♪

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こんにちは。

ヒロです。

現在、モロッコに滞在してます。

地中海を船で渡りアフリカ大陸に来ました。

モロッコは、飯が美味しく、人は親切で、見どころが多数あり、

と良い国です。

しかし、この国で、とんでもない事件に巻き込まれることになります。

その事件は、マラケシュのテニス会場で起こりました。

現在、マラケシュは、Marrakech Grand Prix women's という国際テニス大会が行われています。

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(その会場で行なわれていたサイン会)

僕は、世界トッププレイヤーであるイタリアのスキアポーネ選手のプレーを見たくて会場に2日間通いました。

そして、2日目の午後、17時発のカサブランカ行きの電車に乗車するため試合の途中で会場を後にしようとしました。

早足で会場を立ち去る僕、

途中で会場スタッフに声をかけられて「アンケートに答えて欲しい」と言われました。

「東洋系の外国人は珍しいからアンケートに答えて欲しいのかな?」と思い親切心でアンケートに答えました。

そして、アンケート用紙を書き終えたので係員に渡し、去ろうとしたら、

「いや。ちょっと一分待って欲しい」と言います。

列車の発車時刻が迫ってるので、時間に余裕がない旨を伝えても、

「いや。一分でいいから」としつこく食い下がる係員。

すると、突然、後ろから誰かに組み伏せられました。

振り返ると見知らぬ中年男が、僕の体を押さえつけています。

状況が飲み込めず唖然とする、僕。

さらに、その中年男は、僕のジーンズの裾をめくり、靴下の中に隠してあるセキュリティベルトを引っ張り出して、

「なんだ!!これは!!!!」

と大声で怒鳴ります。

その声に反応して、周囲の人々は、全員立ち止まって僕を凝視してます。

ふと周囲を見渡すと、明らかに一般人とは異なるガタイの良い男たち数人が、僕を取り囲んでいます。

それを見た瞬間、状況は飲み込めないものの「これは、一歩間違えると大変なことになるぞ」と直感で悟りました。

photo:02



まず、僕は、足首のセキュリティベルトを開いてクレジットカードしか入っていないことを説明しました。

すると、僕を取り囲んでいる連中は「えっ!?」という驚いた顔をしました。

そして、組み伏せられることからは逃れられました。

しかし、誰もいない別室に連行され、また数人の男たちに取り囲まれました。

どうやら、この場から簡単には逃れられないようです。

そこで、中年男に、

何の目的でモロッコに来た?

何日、マラケシュに滞在してる?

どこからマラケシュに来た?

などと、次々と矢継ぎ早に質問されます。

「ひょっとして、僕はテロリストに間違われたのだろうか?」

そんな思いが頭を駆け巡ります。

どうやら彼らは現地警察のようです。

だから、彼らの質問に答えるものの、

僕は英語、彼らはフランス語を使うのでコミュニケーションが上手く取れず埒が飽きません。

一先ず、彼らに安心感を与えるために、笑顔でゆっくりと質問に答える、僕。

内心、意味も分からず拘束されて、はらわた煮えくりかえるほど、ブチ切れていましたが、ここで思いのままに怒鳴るわけにはいきません。

なぜなら、警察の機嫌を損ねたら、適当な罪を着せられて監獄へぶち込まれる可能性があるからです。

それこそシャレになりません。

ここで一つ説明します。

発展途上国に居住経験のあるかたなら、ご存知だと思いますが、

外国人が現地警察と喧嘩しても勝ち目はありません。

それどころか、警察の機嫌を損ねると、でっち上げの適当な罪を着せられて監獄にぶち込まれる可能性があります。

だから、現地警察とは、用がない限り関わらないのが1番です。

もし、仕方なく関わることになれば「コトを穏便に済ますことに終始する」のが得策です。

そのために必要なものは金です。

地獄の沙汰も金次第。

実際、発展途上国の警察は、"警官"というよりも、"合法マフィア"です。

さて、しばらく、現地警察とよく分からないやり取りが続きました。

そこで、英語がペラペラのアジア系の男性が現れました。

彼を見た瞬間、ホッとしました。

フランス語しか話せないアラブ人に取り囲まれている状況では、どう見ても僕が不利ですからね。

そして、そのアジア系男性が色々と説明してくれました。

彼の説明によると…

「現在、世界規模でテニス賭博が行われている。

これは違法行為だ。

君は、試合を観戦しているときに携帯電話を使った。

だから、携帯電話を使用してギャンブルを行った疑いが掛けられている。

まずは、君の身元確認のためにパスポートを照合している。

次に、確認のために、君が持っている携帯電話を私に渡しなさい。

そして、上着やポケットに何も隠していないか確認する」

と言います。

寝耳に水ですよ!

まあ、調べられて困ることは何もないので、警察の言うとおりにしました。

すると、どうやら、僕が、犯罪とは無縁の人物であることに気づいたらしく、アジア系男性は少しずつ表情を緩めました。


そして、世界規模でテニス賭博が行われ大問題となっていること、

それを取り締まるために警察が必死であること、

本来、テニスの試合会場で携帯電話を使用することは禁止されていること、

などを話してくれました。

確かに、試合観戦中に携帯電話を触ったことは事実です。

その点は、僕に非があります。

しかし、僕にも言い分があります。

携帯電話を触ったと言っても、ほんの数秒です。

さらに、その会場にいた多数の観客が携帯電話を触ってました。

それにも関わらず「何故、僕だけ?」と思ったわけです。

後から、冷静になって考えてみると、この事件には"人種的な偏見も含まれているのではないだろうか?"と思いました。

確かに、あの会場で試合を観戦していたのは、大多数のヨーロピアンと少数の地元モロッコ人で、東洋系の男性は目立ったと思います。

これで、僕が家族でも連れていれば話は別だったでしょう。

家族連れは安心感を与えますからね。

実際、現地警察は「なぜ1人で旅行しているのか?」と根掘り葉掘り聞いてきました。

しかし、不運にも、僕は一人旅の旅行者でした。

だから、地元警察には「アフリカで行われるテニス試合とは無関係の東洋系男性。そいつが、なぜ1人でここに?」と思ったのかも知れません。

そのように思い注視してると、

「試合観戦中に携帯電話を触り、さらに足首に何か隠している!…これは怪しい!」

となったのかも知れません。

その後、パスポート照合が終われば解放される予定だったのですが、一つ問題がありました。

それは、パスポートに世界各国の出入国スタンプが押印されていたことです。

当然、警察にしてみれば、

「世界中を点々として…こいつは一体何処に住んで、何をしてる奴なんだ!?」

と思います。

だから、

どういう経緯でモロッコに入国したのか?

どこの国の、どの会社に勤めているのか?

VISAは、どうやって取得しているのか?

などと、根掘り葉掘り聞いてきます。

だから、"無職"では、さらに怪しまれそうなので、適当な会社をでっち上げて嘘で誤魔化しました。

モロッコ現地警察に世界を旅するなんて発想は無いようです。

「そりゃ、貧乏弱小国家のモロッコ人には、世界一周旅行に出るような金も発想も自由もないだろうよ。

日本人とは違いVISAも簡単に降りないしね。

世界一周なんて一部の先進国の人間だけに許された特権だよ。

お前らみたいな三流国家の人間は無理だよ」

と内心、毒づいてましたが、当然、そんなことは口に出しません。

結局、パスポート照合が終わり、僕は解放されることになりました。

最後に、地元モロッコの警官が言い放った言葉が印象深かったです。

「お前は、いつマラケシュを去るんだ?

今すぐ、この会場を出ていけ!

この会場には、二度と来るな!

そして、マラケシュを去れ!

お前みたいな奴は、二度と、マラケシュには来るな!」

その言動は、まるで汚い犬を追い払うかのようでした。

容疑が晴れたにも関わらず、

"何故、こいつに、そんなこと言われなきゃならないの?"

と、内心思いましたが、何も言い返しませんでした。

なぜなら、仮に、相手が一般人だったら、顔に唾ぶっ掛けて、殴り合いの喧嘩になってたでしょうけど、現地警察を相手に喧嘩しても勝ち目はないからです。

それと同時に、

"俺、モロッコに住んでるわけじゃねーし、別にどー思われてもいいや"

と考えてました。

いつの世も、旅人は気楽な身分です。

photo:03


(国際大会であるため、日本国旗もあったのですが、僕は会場に入ることさえ断られました)

しかし、仮に、僕がモロッコ在住邦人だった場合、どうすればよいのでしょうか?

先日、モロッコで会った、現地在住邦人の言葉を思い出しました。

「モロッコ人は、差別が大好きなんだよ。

英語で話しかけると、

"なんだお前は?アラビア語もフランス語も話せないのか!?

じゃ、仕方ないから英語を話してやるよ"

と馬鹿にして英語を話すんだけど、
その英語がブロークンすぎて、全然分からないんだ。

そして、モロッコ人を"アフリカン"と呼ぶと怒るんだよ。

俺たちはアフリカンじゃないって!!、てね。

どうもモロッコ人は、アフリカンは黒く醜く卑しい連中と思ってるみたい。

だから一緒にされたくないみたい。

そして、中国人を物凄く馬鹿にしてる。

中国人というか、モンゴロイド全体を。

モロッコで、チーニーと呼ばれて絡まれると大変だよ。

モロッコには中国製品が大量に流通してるけど、モロッコ人は中国人が馬鹿で無能だから、ろくなもの作らないと思ってるしね。

こちらに住むと、現実がわかるよ」

これが在住者の言葉です。

彼女は、仕事の都合で仕方なくモロッコに住んでいて、早く日本に帰りたいと嘆いてました。

どこの国でも、住めば現実があります。

旅行者は、短期間でその国の良い部分だけを見ているのかも知れません。

僕に言わせれば…

モロッコ人は、他国の言葉であるフランス語にではなく、自国の言葉であるアラビア語とベルベル語に誇りを持ってもよいのでは?、と思うし、

モロッコ人がアフリカンじゃなきゃ一体何なの?

アフリカを否定的に捉えるのは、自分たちのルーツを否定するようなものだし、何よりアフリカンに対して失礼なのでは?、と思うし、

モロッコ人は、中国人が馬鹿で無能だからロクな物を作らない、と言うけど、

皮肉にも、

その馬鹿で無能な中国人(モロッコ人が言うには)が住む中国よりも、モロッコは遥かに貧しく、旧宗主国のフランスに頼りっきりの弱小国家であるという事実…

まさか、モロッコで、こんな経験するとは思いませんでした。

エニイ ウエイ!!

今後、テニスの試合会場で携帯電話は触りません。

そして、結局、この一件が原因でカサブランカ行きの電車には間に合わなかったのです。

旅をしてると色々と経験しますね。

トホホ…。

こちらは、モロッコで僕と似たような経験をされかたの体験談です。
http://www.sakaguti.org/honmon%20page/morocco/tanger/tanger.htm