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参考になった度 ★★★☆☆ ← あくまで私感です

11冊目は、「超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート」です。

◇感想
 ・ユニクロを展開するファーストリテイティングの会長兼社長の柳井正氏が
  「人生でナンバー1の経営書」と評価する、プロフェッショナル・マネジャー
  (ハロルド・ジェニーン著)を分かりやすく解説したビジネス書です。

 ・ハロルド・ジェニーン氏は、1959年に通信会社ITT(インターナショナル・
  テレフォン・アンド・テレグラフ・カンパニー)の社長兼最高経営責任者に就任し、
  17年間の就任中に80か国、350社に及ぶM&Aを行い、
  "58四半期連続増益"を打ち立てた、経営者として大成功を収めた人物です。

 ・そのハロルド・ジェニーン氏の経営哲学がまとまった書籍ですので、
  その実体験に基づく経営哲学に興味があり、読んでみました。

 ・この本を読むと、ジェニーン氏は、徹底的な「現場主義」、「成果主義」、
  そして「絶対にあきらめない強情さ」を兼ね備えた人物であったことが伺える。

 ・しかし、憶測の域を出ないが、
  これだけの大企業の経営者でありながらジェニーン氏は
  ワンマン経営者だったのかもしれない(ワンマンで出来ることも相当凄いことだが)。
  そう思うのは、人材を育てるという観点が見えないことと、最高経営責任者である
  自分自身が全てを決断していくという姿勢が全面に表れているからだ。
  ジェニーン氏が引退した後、グループが解体しているのも、そのような理由から
  かもしれない(後を継げる人がいなかったのではないだろうか)?

 ・内容は、非常に参考になる。何か参考になったかは後述する。

◇参考になったところ
 ①現場主義
  ・「問題は現場で、顔と顔を突き合わせて処理していきなさい」
   「事実をチェックする。そのこと以上に重要な経営上の仕事はほとんどない」
   「何かをするなと命じるのは構わない。しかし、本人が納得しないことを
    させたかったら、納得するまで説得しなくてはならない」
   「数字は企業ではない。企業の絵にすぎない」

  ・上記の格言は、ジェニーン氏の過度なまでの現場主義を表している。

  ・経営者という立場から、様々な決断を迫られる機会が多かったハズだが、
   その際、表面的な数字や報告は当てにならないと言っているのだ。
   現場に自ら出向き、直接話を聞いて、正確な事実を把握した上で
   決断しないと、判断を誤ってしまうということである。

  ・これは当たり前のことのようだが、会社で上の立場になると
   非常に多くの人と接し、膨大な数の決断をしていくわけであるから、相当難しい。

  ・大概は偉くなると、隅々まで目が届かなくなり(全てを見るのは不可能と悟り)、
   この現場主義的な考えは薄れていく。

  ・私は、ジェニーン氏のこの現場主義が正しいのかどうか分からない。
   というのも、これは、誰でもできることではないし、
   後継者が育ちにくいという弊害を生むと思われるからだ。

  ・自分のスタンスをどこにおくか、今後、考えていくことにしようと思う。

 ②成果主義
  ・「なんだかんだ言っても、”業績”というただ一つの基準によって評価されてしまう。」
   「経営者とは”実績”をもたらす人間のことである」

  ・この格言は、ジェニーン氏が過程は関係なく結果が全てだという成果主義を表している。

  ・マネージャーとして、やれる限りのことをやり尽くす前に、
   不満な結果を甘受してはならないという、ジェニーン氏の思いが伝わってくる。

  ・自分を律する意味で、意味深い言葉だ。
   精いっぱい仕事をしてきたとき、「自分は出来る限りのことをやった」と過程を認めてしまい、
   成果が出ても出なくてもしょうがないと思ってしまう。それでは、ダメなのだ。

  ・ここでもう一歩踏ん張れるかどうかが、
   他人よりもすぐれた結果を出す人と出さない人の違いなのかもしれない。

 ③絶対にあきらめない
  ・「経営するということは、その事業計画と予算を決めたら、
   売上であれ、シェアであれ、達成すると誓ったことを
   成し遂げねばならないことを意味するのだ!」
   「唯一の本当の間違いは、”間違いをおかすこと”を恐れることである」
   「自分に問いかけたときに出てくる答えはいつも同じ。もっとよく働けだ!」
   「ある問題を解決するために22の方法を試み、それでもまだ成功しなかったら、
    23番目の方法を試さなければならない」

  ・上記の言葉から分かるように、ジェニーン氏は決して諦めない。
  ・採算が合わない、筋が悪いと言って、すぐにその事業を縮小するのではなく、
   どうやったらやりようかあるか、諦めずに追求すれば必ずあるというのだ。
  ・一方で、「選択と集中」という言葉がある。
   注力すべき事業を取捨選択して、そこに人材やお金を集中投資していく手法である。
  ・これらは一見、相反するものに見える、
   しかし、これはどちらも正しいのだろう。要は、「自分が何をやりたいか」だ。
   ビジョン(やりたいこと)を定め、そこに人材やお金を集中し、
   決して諦めないことが必要なのだ。


超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート
柳井正・解説 プレジデント書籍編集部・編
プレジデント社
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