1979年発表。
文庫1冊、412ページ
読んだ期間:3.5日
[あらすじ]
近未来のアメリカ。
レイ・ギャラティはある競技に参加する。
ロングウォークと呼ばれるその競技は、14~16歳までの少年達100人で競われる、ひたすら歩くだけの競技。
優勝すれば賞品は思いのままだが、最後の1人が決まるまで、一切の休息はなく、決まった速度でから遅れた場合、警告が与えられ、それが4回目には容赦なく射殺されると言う死のゲームだった。
レイは競技に参加するウォーカーたちと徐々に親密になって行くが、彼らは命をやりとりするライバル同士でもある。
最後に生き残るのは誰になるのか…
キングがバックマン名義で出版した作品の一つがコレ。
実は彼が大学生の時に書いたものを若干手直したものとの事で、そんな若い頃からこんな作品が書けたと言うのはさすがキングですね。
本作は、作品内の日常とそこに住む登場人物の心情を切り出したものであるため、状況説明や時代背景はほとんど書かれていないため、なぜロングウォークと言う競技が当たり前のように行われているのかは全く分かりません。
ウォーカーが歩く先には地元の見物客がたむろしていたり、TV中継があったり、他人が死ぬところを見るための野次馬根性丸出しの人間達の姿があります。
人が死ぬ見世物が当たり前になっている世界は、「バトルランナー」でも描かれていますね。
原作の「バトルランナー」は読んでませんが、シュワルツェネッガー主演の映画は観ました。
彼らしい大味なアクション映画になっていたと思います。
本作の世界観はほとんど記述がないので良く分かりませんが、軍が強い力を持っており、50年代にドイツと戦争していたらしい事がほんの少しだけ出てきます。
ウォーカー達がなぜこの致死率99%の競技に参加したのかの理由がはっきりしない者もいます。
主人公のレイもそうで、結局なぜ参加したのかは漠然としています。
レイの回りにいるウォーカー達の中にもたまたま選抜試験がやっていたので参加したら合格してしまい、取り消し期間もなんとなく過ぎてしまって参加した者がいるなど、とにかく色々な面で説明はされていません。
しかし、彼らウォーカーが挑んでいく競技中の心理描写と無残に殺される脱落者達の姿の詳細さはさすがにキングです。
排泄行為も歩きながら、眠るのも歩きながら、飲食も歩きながら、射殺された死体をまたぎ、熱にうかされ、妄想に取り付かれ、体中の痛みにさいなまれながらひたすら歩き続けるウォーカー達。
結婚して子供が生まれるオルソン、レイを支え続けるマクヴリーズ、常に最後尾を一人で歩く不気味な存在のステビンズの意外な生い立ち、ロングウォークを取り仕切る冷静冷酷な少佐など、登場人物一人一人が生々しく描かれ、ラストでは勝ちの栄光など微塵もなくなった優勝者の心理描写で唐突に5日間の幕を閉じるエンディング。
この無造作な投げ捨てるような終わり方がこの手の小説の真髄ともいえるのではないかな。
なので、綿密な背景描写や明確な解答を求める読者には全く向かない小説ではあります。
やってる事は単純でひたすら歩くだけ。
結末すらも読む前から分かってしまうこのテーマを400ページを超える物語としてしっかり読ませる力量はさすがです。
最近は古典SFばかり読んでいたので、かなり新鮮な気分で読めました。

文庫1冊、412ページ
読んだ期間:3.5日
[あらすじ]
近未来のアメリカ。
レイ・ギャラティはある競技に参加する。
ロングウォークと呼ばれるその競技は、14~16歳までの少年達100人で競われる、ひたすら歩くだけの競技。
優勝すれば賞品は思いのままだが、最後の1人が決まるまで、一切の休息はなく、決まった速度でから遅れた場合、警告が与えられ、それが4回目には容赦なく射殺されると言う死のゲームだった。
レイは競技に参加するウォーカーたちと徐々に親密になって行くが、彼らは命をやりとりするライバル同士でもある。
最後に生き残るのは誰になるのか…
キングがバックマン名義で出版した作品の一つがコレ。
実は彼が大学生の時に書いたものを若干手直したものとの事で、そんな若い頃からこんな作品が書けたと言うのはさすがキングですね。
本作は、作品内の日常とそこに住む登場人物の心情を切り出したものであるため、状況説明や時代背景はほとんど書かれていないため、なぜロングウォークと言う競技が当たり前のように行われているのかは全く分かりません。
ウォーカーが歩く先には地元の見物客がたむろしていたり、TV中継があったり、他人が死ぬところを見るための野次馬根性丸出しの人間達の姿があります。
人が死ぬ見世物が当たり前になっている世界は、「バトルランナー」でも描かれていますね。
原作の「バトルランナー」は読んでませんが、シュワルツェネッガー主演の映画は観ました。
彼らしい大味なアクション映画になっていたと思います。
本作の世界観はほとんど記述がないので良く分かりませんが、軍が強い力を持っており、50年代にドイツと戦争していたらしい事がほんの少しだけ出てきます。
ウォーカー達がなぜこの致死率99%の競技に参加したのかの理由がはっきりしない者もいます。
主人公のレイもそうで、結局なぜ参加したのかは漠然としています。
レイの回りにいるウォーカー達の中にもたまたま選抜試験がやっていたので参加したら合格してしまい、取り消し期間もなんとなく過ぎてしまって参加した者がいるなど、とにかく色々な面で説明はされていません。
しかし、彼らウォーカーが挑んでいく競技中の心理描写と無残に殺される脱落者達の姿の詳細さはさすがにキングです。
排泄行為も歩きながら、眠るのも歩きながら、飲食も歩きながら、射殺された死体をまたぎ、熱にうかされ、妄想に取り付かれ、体中の痛みにさいなまれながらひたすら歩き続けるウォーカー達。
結婚して子供が生まれるオルソン、レイを支え続けるマクヴリーズ、常に最後尾を一人で歩く不気味な存在のステビンズの意外な生い立ち、ロングウォークを取り仕切る冷静冷酷な少佐など、登場人物一人一人が生々しく描かれ、ラストでは勝ちの栄光など微塵もなくなった優勝者の心理描写で唐突に5日間の幕を閉じるエンディング。
この無造作な投げ捨てるような終わり方がこの手の小説の真髄ともいえるのではないかな。
なので、綿密な背景描写や明確な解答を求める読者には全く向かない小説ではあります。
やってる事は単純でひたすら歩くだけ。
結末すらも読む前から分かってしまうこのテーマを400ページを超える物語としてしっかり読ませる力量はさすがです。
最近は古典SFばかり読んでいたので、かなり新鮮な気分で読めました。
