石塚真一氏(もう名前だす)は篠原氏のご遺族ともめていたようですね。
全然不思議に思いませんでした。
だって現実の篠原さんのキャラクターとは全く逆のこと書いてたんだもの。
しかもすべてイメージの悪いほうに。
「フォール」のことにしてもそう。
幾多の困難な救助経験から日本では「航空法違反」の「ヘリ長吊救助法」編みだし幾多の遭難者を救い、その実施中に亡くなられた篠原氏。
「フォール」なんてことをやらかす「牧」などと一緒にされたらたまりません。
「しょせんマンガ」どころの話ではなくなっています。
小栗旬が「あれは実際にある。」ってしゃべってる。」ということを記しておきます。
「「岳 -ガク-」ティーチインイベント@東宝」
・・参加者:「映画を観て、初めて山岳救助隊のお仕事を知りました。」
・・小栗さん:「ガイドさんや救助隊の人に聞いても、あそこは難しい選択みたいです。衝撃的ですよね。」
まああくまで物語の中の設定の話をしているのかもしれませんが。
そうは受け取ってない人からコメントをいただいた身としては、そこまで楽観的になれません。
・・・
篠原氏はどんどん仕事を採ってくることで、リスクの高いレスキュー飛行を会社に認めさせていました。
長野オリンピックのレスキューを請け負って見事成功させた際も、長野オリンピック組織委員会と東邦航空松本営業所の間で契約が結ばれています。
一国を代表するイベントに東邦航空本社ではなく、松本営業所所長 篠原秋彦で契約している。
こんなこと普通あり得ると思いますか。
営業マン・社会人としても有能な方であったことがわかります。
「トーホーエアレスキュー」だって、古巣の東邦航空株式会社を下請けで使うという形の会社でした。
それが、「岳」(もう名前だす)では、会社のお情けでレスキューさせてもらっている赤字営業所の所長なんて描写していました。
悪いことに「岳」の読者の99.99%以上の人間は「空飛ぶ山岳救助隊」など読んでいないんだから、作者がしったげに篠原さんの名前を出すたびに、「赤字営業所長の牧」をイメージするわけです。
そりゃご遺族は怒るよ。当たり前。っていうか悲しむよ。
発行部数を考えたら取り返しのつかないことやったと思いますよ。
連載開始が2007年(wiki)で、映画で平山ユージと共演して調子こいてのが2011年5月、2011年10月発行の15巻で「ご遺族の方々へのご報告をしないまま今日に至ってしまいました。」って言ってることは、映画化の話もご遺族にしていなかったってことかい。
篠原さんのお墓に花持って行けとまでは言いませんが、挨拶の一つも送ってなかったのか・・。
そんで自分は平山ユージと映画出演・・・。
てか普通に関係者に取材してたら、篠原氏のご遺族なんて真っ先に挨拶しなけいけない相手になるんじゃないの。あのマンガで唯一のモデルにされた実在に人物なんだから。
岳の内容におかしなところが多かったを考えると、ろくに取材もしてなかったんでしょう。
だからそういう機会がなかったんだと私は思います。
「岳」読んでてなんかおかしいって感じるのは、結局作者がおかしかったっていうのが原因なんだということで、納得できました。
連載していた雑誌の編集者もまともに機能していなかったようです。
・・・
「空飛ぶ山岳救助隊」はヤマケイ文庫に収められていますので、機会があれば手に取って読んだいただければ幸いです。
「昔友人が死んだからレスキューしてる。」なんて貧弱なステレオタイプに落としこまれた「牧」なんかよりも、はるかにおもしろい人ですから。
かごの鳥どころか上から押さえつけられているような日本の航空行政のなかで、民間事業者でありながら「ヘリコプターによる山岳遭難救助」のパイオニアとなり、関係者から「神様」と呼ばれている篠原秋彦氏のことを知っていただきたいと思います。
ほぼ寡占状態にあった「山小屋物資輸送」の世界に単身切り込んでいって、その世界のトップに君臨するようになった営業マンの記録、でもあります。
山やヘリコプターに興味のない人にも読んでいただいても得るところの多い一冊であると信じます。