「リンパ液と肩こり」 その二 (全2章)
今回の主訴の部位=「左首(顎のエラの横付近)から左肩甲骨上内側」・・・このルートは顎・口・鼻付近の炎症時に、膿などが通るリンパ管のルート(浅頸リンパ管、深頸リンパ管など)です。
おそらく(歯科医院で確認する必要が有りますが)、虫歯か歯肉炎などの炎症産物がこのリンパ―通路を流れて、疼痛(左肩こり)とフェイスラインの腫れを生じさせていたのかもしれません。
ところで、
その女性患者さんが帰宅されてからの学生たちとのカンファレンス・・・
久しぶりに学生たちにお目玉を食らわせました。
なぜなら担当の学生が「マスク」をして診察をしていたからです!
「マスクの着用がなんでお目玉やねん?」
と皆さんはいぶかしがるでしょう。
でもももうお分りでしょう!
今回の症例のポイントは「におい」です。
つまり患者さんの「病的な臭い(今回は口臭)」これも診察の重要なポイントだからです。
カンファレンスで担当学生に「口臭は分かっていましたか?」と問うと、その学生は「全く分かりませんでした」との事。。。当たり前だのクラッカー、、、マスクをしているのですから臭うはずがありません。
これで後手に回ってしまいます。
もし最初から口臭に気づいていたら、もっと早く診察できたでしょうに・・・
そして整体治療の対象でない事が分かったでしょうに。。。
講義では常々下記の事を学生たちに言っています。
今回の症例はその意義を学ぶいい機会だったかもしれません。
「虫歯は有りませんよ」と回答した。でも実際は虫歯or歯肉炎がありそうだ。
「歯、歯肉、リンパ管」を持ってきたがそれを出さず(☚問診で否定)、代わりに「左首から左肩甲骨上内側」を訴えた。☚これも患者のウソのうち。
「痛い所=首から肩甲骨上内側」-「悪い所=歯or歯肉」
今回は整体治療の対象患者ではありませんでした。
その意味で「面白なかったなあ~」とお感じの方もおられるかもしれません。
しかし私的には、今回の様に専門医へ紹介すべき患者さんをいち早く発見できるか否か、その「危機管理能力(理念と指導目標参照
) 」は、最も重要な整体師養成目標だと考えています。
整体師養成は「神の手(神様)」を創るのではなく「人間」を創っていく作業です。
決して整体師一人で全ての疾患を治療できるものではありません,限界があるのです。
当然私も含めて。
今回お目玉を食らった担当学生も、その点を理解して頂ければうれしいです。
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