シリウス号は物資補給のために、パティシエという港町に
停泊していた。
船長 『あとでアレがねーコレがねーってさわがねぇように、各自補給を
怠るなよ!』
ソウシ 「いくつか調達したい薬があったんだ。ちょうどよかった」
ハヤテ 「ナギ兄! 今回食材の買出しメモはこれだけか?」
ナギ 「ああ。あとはオレが直接、市場に行って仕入れてくる」
ハヤテ 「わかった。つーことで、頼んだぜ、トワ」
トワに押し付けるハヤテ。
トワ 「僕は雑貨を買ってくるだけで手一杯ですよ!」
ハヤテ 「ついでに買ってくればいいだろ?」
トワ 「ついでにって・・・こんなに持てませんよぉ~・・・」
食材メモと雑貨のメモを両手にため息をつくトワ。
主 「トワくん、私が一緒に行こうか?」
トワ 「え!そんな・・・○○さんと買出しなんて・・・。すごく嬉しいですけど・・・」
シン 「○○は、オレの酒の相手をすることになってるんだ。トワ、お前は
一人で行って来い」
主 「シンさん?そんな予定ありましたっけ・・・」
シン 「今、オレが決めた」
主 「・・・・・・」
ハヤテ 「勝手なこと言ってんじゃねーよ、シン。○○はオレと・・・
えーと・・・町の視察だ!」
船長 「一番大事なのは、この街で最高の酒場と女をみつけることだけどな!」
ナギ 「○○は市場で食材選びを手伝え。好きなものを仕入れてやる」
ソウシ 「困ったな・・・。○○ちゃんには必要な薬を一緒に見てもらおうと
思ってたんだけど・・・」
それぞれが勝手すぎるよな・・・!(´Д`;)
船長 「おら!お前ら、○○を困らせてるんじゃねーよ。自分の仕事を忘れるな!」
船長に、街になんか用事あるのか?と聞かれた主人公は・・・。
主 「実は・・・チョコを・・・バレンタインの・・・」
一同 「チョコ!?」
ソウシ 「そうか・・・もうそんな季節だったね・・・。男ばかりの船じゃ気にしたことも
なかったけど・・・」
トワ 「あの・・・○○さんは誰にチョコレートをあげるんですか?」
主 「え、えっと・・・それは・・・」
口ごもる主人公。
船長 「なんだ!オレのか!? カワイイ奴だなあ」
主 「ええっ!?」
リュウガ船長に肩を抱き寄せられる主人公。
あの・・・ちがうんですけど・・・(°д°;)
主 「あ、あの・・・船長・・・」
ハヤテ 「船長、早とちりはカッコ悪いっすよ。オレに決まってるでしょ」
・・・ゴメン・・・ハヤテデモナインダ・・・(;´▽`A``
シン 「アホが。お前のワケないだろ。○○、甘すぎないのにしろよ」
う~ん・・・どうしよ・・・( ̄ー ̄;
主 「え・・・あ・・・」
ソウシ 「私は気持ちだけで十分だよ」
ナギ 「チョコがほしいなら、さっさと買い出しに行くぞ」
しかし・・・みんなで主人公を取り合うとは・・・。
さすが、ゲームだな・・・( ´艸`)
トワ 「僕は・・・逆チョコって言うのをしてみようかな・・・男から女性に
あげてもいいってきいたことあるし・・・」
主 「あの・・・でも、知らない街でチョコレートを売ってるお店を見つけられるか心配で・・・」
ハヤテ 「ふうん・・・○○は方向音痴だからな。見つけたら教えてやるぜ!」
シン 「フン・・・いちいち手間のかかるヤツだ・・・」
ナギ 「市場に行けば大抵のものは手に入る」
ソウシ 「大通りを見つければ、お菓子屋さんがあるかもしれないね」
トワ 「僕、買い出しのついでに探してみます!」
主 「すみません。みんなよろしくお願いします」
船長 「よし! チョコレートのためにも、お前ら街に行って来い!
オレは酒場で待ってるからな!」
(みんなに渡せば、丸く収まるよね・・・?)
シリウス海賊団はパティシエの街に入っていった。
ところが・・・この街のどこに行っても、チョコレートは見つからなかった・・・。
主 「私の探し方が悪いのかな・・・」
ソウシ 「○○ちゃん!」
ソウシが商店街のほうからやってくる。
ソウシ 「チョコレート見つかった?」
主 「それが、全然・・・」
ソウシ 「やっぱり・・・この地方はカカオの流通が規制されてるみたいなんだ」
主 「そうなんですか?だから、どこに行ってもチョコレートが・・・」
ソウシ 「うん・・・。残念だけど、この街でチョコを見つけるのは難しいかもしれないね・・・」
ハヤテ 「○○!」
手を振って走ってくるハヤテ。
ハヤテ 「○○!そこの福引でチョコが一年分当たるみたいだぜ!」
トワ 「もう!みつけたのは僕なのに!待ってくださいよー!」
主 「ハヤテさん、トワくん・・・」
ソウシ 「でも・・・チョコレートはこのあたりでは貴重なもののはず・・・。それが
一年分・・・?」
主 「とりあえず、行ってみましょうか?」
ソウシ 「そうだね。けど、少し警戒したほうがいいかもしれない・・・」
(ソウシさんの言うとおり、貴重なチョコが一年分って・・・。福引の商品にしては
豪華気もするけど・・・)
主人公たちはハヤテとトワの案内で福引の場所に行ってみることにした。
福引の屋台には仮面をかぶった男の人が立っていた。
福引屋 「いらっしゃい。この街で買い物をされたなら、ぜひ福引を!
一等はチョコレート一年分ですよ!」
主 「福引には福引券が15枚必要って書いてありますけど・・・」
トワ 「あ、僕、雑貨を買ったときに3枚もらいましたよ」
ソウシ 「私も薬を買ったときに3枚」
ハヤテ 「オレは野菜を買ったときに2枚もらったけど・・・」
主 「これじゃたりませんね・・・」
ナギ 「ここに4枚ある」
主 「ナギさん!」
市場で買い物を済ませたナギさんが魚を片手に福引券をくれる。
主 「これで12枚・・・」
トワ 「あと3枚ですね」
シン 「コレをやる」
主 「シンさん!」
シン 「酒を買ったときにもらった券だ。これで足りるだろう?」
主 「はい!ありがとうございます」
シン 「一等が一年分のチョコで2等がラム酒のタルか。○○、二等をあてろ
それ以外だったら・・・どうなるか、わかってるな」
ううっ・・・。シンの意地悪・・・。
主 「あの・・・私はチョコがほしかったんですけど・・・」
シン 「オレはチョコより酒のほうがいい。どうせなら、オレの好きなものをよこせ」
福引屋 「15枚そろったようだね!さあさあ!お嬢さん、どうぞ!」
主 「は、はい・・・」
トワ 「がんばってくださいね!○○さん!めざせ一等ですっ!!」
ハヤテ 「絶対になんか当てろよ!!お、四等、生ハム・・・?おい、
これ当てろよ○○!!」
ソウシ 「肩の力を抜いてね。でも、もちろん、残念賞の飴玉もいいとおもうよ」いk
ナギ 「・・・三等の海の幸セットでもいいぞ」
シン 「ラム酒のタルしか認めないからな」
本当に好き勝手言って・・・ヾ(▼ヘ▼;)
(そ、そんなにいろいろ言われたら、プレッシャーが・・・!)
緊張で震える手で、主人公は一気に福引の機械を回す。
主 「えいっ!」
トワ 「出た玉の色は・・・」
ハヤテ 「茶色?茶色って何等だよ」
福引屋 「おめでとうございます!特別賞です!」
ナギ 「特別賞?」
シン 「そんなの書いてないぞ」
福引屋 「特別賞はバレンタイン王国へのご招待券!世界一のチョコレートで
アナタ方をおもてなしいたします!」
主人公は福引屋さんから、特別賞と書いてある封書をもらった。
福引屋 「それをもって、港にいらしてください。バレンタイン王国にご案内しますよ」
バレンタイン王国の言葉に顔を見合わせながら、主人公たちは一度、船長の待つ
酒場に戻ることにした。
酒場では早くもリュウガ船長が酔っ払っていた。
船長 「んー?福引でバレンタイン王国への招待状が当たったって?」
主 「はい。特別賞とかで・・・」
ハヤテ 「どうだ、オレのおかげだぜ?オレが福引を見つけたんだからな!」
トワ 「見つけたのは僕ですよ!」
シン 「それに、○○が特別賞を当てたのはハヤテの力じゃないだろ」
ソウシ 「よかったね、○○ちゃん。とりあえず、チョコレートには会えそうじゃない?」
主 「はい・・・。でも、バレンタイン王国ってどんなところなんでしょうか?」
ナギ 「さあな。だが、めずらしいチョコレートだったら、厨房にも回せ。
いいな」
主 「は、はい」
トワ 「あれ?皆さん。バレンタイン王国のこと知らないんですか?」
主 「トワくんは知ってるの?」
トワ 「はい!バレンタイン王国はチョコレートですごく有名な国ですよ!
街にチョコレートの噴水があるそうです」
船長 「なんだか、胡散くせぇ国だな」
トワ 「そうでしょうか?夢があっていいと思いますけど・・・」
トワくんは、海賊らしからぬキャラです・・・。
かわいいです・・・( ´艸`)
トワ 「それに、外部の人間はめったに入国を許可されないって話ですよ」
ソウシ 「それは・・・ちょっと気になる情報だね・・・」
シン 「どうしましょう?船長。行ってみますか?バレンタイン王国・・・」
船長 「ハッハッハ!このシリウス海賊団が、そのご招待とやらを無下にできるわけねえだろ!」
ドンッとリュウガ船長がテーブルに足を置いて笑う。
船長 「外部の人間がめったに入れないところ・・・最高じゃねえか!」
シン 「では、決まりですね」
船長 「バレンタイン王国に出発だ!」
全員 「アイアイサー!」
(めったに外部の人がこない、チョコレートで有名な国・・・。普通の国ならいいんだけど・・・)
特別賞の封筒を開けて、主人公たちはそこに記されている船着場に向かうことにした。
パティシエの街から用意された船でしばらくゆられて・・・、
シリウス海賊団はバレンタイン王国の船着き場に着いた。
主 「わあ・・・おおきなお城がある・・・」
ソウシ 「○○ちゃん、ちょっと待って」
一歩踏み出した主人公の肩にソウシさんが軽く触れる。
主 「どうかしましたか・・・?」
シン 「この国・・・普通じゃないな・・・」
主 「え・・・?」
ナギ 「これだけ大きな城下町だっていうのに、人気が全然感じられねえ」
主 「そういわれれば・・・」
(人の姿が全然見えない・・・)
ハヤテ 「おい!いつの間にか、案内役の福引屋がいないぞ!」
トワ 「あれ!? さっきまでそこいたと思ったのに・・・」
船長 「いいねえ・・・実にすばらしい胡散臭さだ。お宝のにおいがプンプン
しやがる。お前ら、手分けして探索だ」
シン 「了解です」
船長 「あー、○○は一人じゃ危ねぇから、誰かと一緒に行け!いいな」
主 「はい」
(誰と一緒に行こう・・・?)
A:ハヤテ
B:シン
C:ソウシ
D:ナギ
E:トワ
ワタクシ・・・Dのナギに行きます!
プロローグ・・・ THE END
続きはまた明日・・・