豚の胎児に人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を移植し、この胎児に人間の膵臓(すいぞう)を作らせる計画を東京大医科学研究所の中内啓光教授と明治大の長嶋比呂志教授らが17日、文部科学省の専門委員会で明らかにした。

 iPS細胞はさまざまな細胞になる能力があり、再生医療への応用が期待されている。中内教授は「慎重に研究を進め、将来は人間に移植可能な臓器を作りたい」と話している。

 計画では、遺伝子操作で生まれつき膵臓ができない豚を利用。この豚が母豚の子宮内にいる胎児の段階で、人間のiPS細胞かiPS細胞から分化させた膵臓の前駆細胞を移植する。もともとは豚の膵臓ができる場所に人間のiPS細胞由来の膵臓ができる可能性があるという。

 細胞は受精の約40日後に相当する妊娠初期の段階で移植する。この段階は膵臓ができ始める時期という。

 中内教授は、膵臓ができないマウスの実験で、受精卵が分割を繰り返して胚盤胞という状態になった段階で異種の動物であるラットのiPS細胞を注入、生まれたマウスの体内にラットの膵臓を作ることに成功している。